ゆうみお R18 お休み中

あまみや。

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双葉澪

絶対逃がさない

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成人済 優馬がサイコパス
何がなんでも澪を部屋に閉じ込めておきたい優馬


ーーー


(澪side)


同棲して数ヶ月、学生時代から薄々気付いていたけど……僕と優馬は結構気が合わない。


ささいなことでも喧嘩してしまうし、どちらかが謝るまでずっと険悪なこともある。



今だって、小さなきっかけで口論になってしまっている。



「澪…!好き嫌いするなっていつも言ってるじゃん!!…作るの大変なのに、」
「だってほんとに苦手なんだってば……食べたくない…!!」


苦手な野菜を残してしまって、本当に子供みたいな喧嘩だったと思う。



そのうちどちらかが謝れば済む話、……でも、





その日は少し、違った。




「…やだってば、食べたくないって言ってるのに………、…ッ



優馬なんか嫌い…………ッ!!!」







………そう言って、ついカッとなって腕を振って、……お皿にぶつかってしまった。



「「…ッ!」」



ぶつかったお皿がそのまま床に落ちて、大きな音を立てて割れたお皿と残してしまった野菜が床に散らばってしまう。



「っあ………うそ、」




流石にまずいと思って、喧嘩もそっちのけで顔色が青ざめていく。



……優馬に怒られる。そう思っていたのに、





「…大丈夫?怪我してない?」






………優馬は、





「っ…ぇ………あ、…うん、」






怒ることも無く、急いで割れたお皿の破片を片付け始めた。



「あ、優馬…ごめんなさい、」
「危ないから近付かないで、…先お風呂入っていいよ」




僕と目を合わせず、物置からチリトリとほうきを持ってきて片付けていく。



かなり怒らせてしまった、けど心配してくれた、なんて不安と安心がごちゃごちゃになって、




逃げるようにお風呂に入った。






ーーー


あの日から数日後。


優馬はあの日の翌日からは何事も無かったように優しい優馬に戻っていて、それに安心してもう忘れるくらい経ったころだった。



「澪、お昼食べたら買い物行かない?この前の食器、新しいの見に行こうよ」




…優馬も僕も仕事が休みで、のんびりした後のお昼ご飯。


それに頷いて、その時ようやくこの前の喧嘩を思い出すくらいだった。




(食器……どんなのあるかな)





2人で出かけるのも久しぶりで、少し楽しみだった。












………それなのに








ーーー



「良いの買えてよかった!あ、帰る前にトイレ行ってくるな」



気に入ったお皿も買えて、満足した気分で荷物を持ちながらショッピングモールの中の人気の無いベンチで待っていた。



(お腹空いた……メロンパン食べたい)




なんて思っていたら、





「………?」





正面から……見た事のない男が、こっちに歩いてきた。




近付いてくるので不思議に思っていたら、






「…………え…?」






目の前に来た男にいきなり手首を掴まれた。





「な、なにッ」




特に何も言わず突然大きな手に掴まれたのが怖くて、少し声が上擦ってしまう。




「ッや…、なに、やだ!!」




大柄でかなり力の強い男にそのままトイレの方まで引っ張られていた。



荷物はベンチに置きっぱなしで、それに構う暇もなく無理矢理引きずり込まれた。








「………なにッ、だれ、」




男子トイレの中の個室に連れ込まれて、ようやく手が離れたと思えば蓋の上に体を投げられて、


何も喋らなかった男がにたりと笑った。




「澪クンだぁ…♡本物の………すっごい可愛いなぁ」






………なんて、








「……ッや、」





悪寒がして、怖くなって逃げようとしたけどドアの前に男がいて逃げる事ができない。




「こんな子を好きにしていいなんて……最高だなぁ」
「え、…っやだ、なに、触んないで」




男の手は止まることを知らず、服の中に入って脇腹、腰、




……胸のところにまで湿った手のひらがのぼってきて、気持ち悪くて吐き気がした。




「離して、お願い」
「…あーもううるさいな」



これから何をされるのか分からなくて、吐き気も止まらなくて苦しい。


言葉だけで抵抗していたら、…男はナイフを僕の頬に向けてきた。




「………ッ!!」




刃物を向けられたことで体が固まって、怖くて何も喋れなくなった。




「うんうん、次喋ったら殺すからね~」




にやにやと笑う男に、声を出す事でしか抵抗出来なかったのにそれすら封じ込まれてただ怯えていることしか出来ない。





(なんでこんな事に………)





優馬の助けを待つしかない。


それにきっと……優馬はこのトイレに入ったから、どこかの個室にいるはずで、




お願いだから気付いてと、肌をなぞる手のひらに怯えながら待ち続けた。







ーーー





……どうして、






(なんで………助けに来てくれないの)






もうあれから数十分が経過している。




ずっと声を我慢していて苦しい、隅々まで触られて気持ち悪い。



…怖くて、吐きそうなのに、




「じゃあそろそろいれちゃおっかな~」






優馬は助けに来てくれなかった。







「い"…ッ!」
「きついね~♡処女で可愛いなぁ」




散々体を触られて舐められて、


もう限界なのにさらに追い打ちをかけられた。



「な…んでッ、そこ、ゆび……いたい"ッ」
「何言ってるのこれからもっとぶっといの入るんだけどなぁ」



指を入れるなんて有り得ない。



この人……頭おかしい。





(何されるんだろう、…怖い)





家に帰りたい





「ぅ……うぇ"」
「あーあ泣いちゃった………泣くのはまだ早いよ?」




もう限界だったところに、この男は有り得ないくらい追い打ちをかけてくる。




「………ッう"?」
「ほぐれてきたしもういれちゃうね~♡」




………もう、訳が分からなくて、





「ぇ"、あっ、なに"ッ?!やだやだやだやだ…………ッ!!!」
「うおっ、どんどん入ってく」






痛い、






「や"めて"ッ!!お願いだからッ!!」
「…またうるさくなってきたなぁ」





………っ、






「ちょっと黙ろっか♡」





男はさっきの刃物の先で性器の入った腹をなぞってきた。




「ひ……ッ」
「ここ切ったら赤ちゃん産まれてこないかな~、勿論ぼくと澪クンの子供だよ♡」





…………気持ち悪い






「ふーッ、ふーーッ」




息が上手く出来なくて、体が圧迫されているのが苦しくなった。






………それからもずっと、気を失うくらい酷い暴力は続いて、




「肉の音すごいね~パンパンいってるよぉ」

「澪クン大好きだよ…♡おじさんの赤ちゃん産んでッ」



「……あ、気絶しちゃったかぁ」





酷いトラウマを植え付けられたまま……腹に圧迫感を感じたまま意識を失った。






ーーー



あれから数時間後、ようやく意識がはっきりとしてきて、気が付けば自宅の寝室のベッドで眠っていた。




(………夢?)





…きっと悪い夢だった。そう思ったけど、




「………ッ!!」




起き上がった瞬間に感じた酷い倦怠感に腰とお腹の痛み。腹になぞったような傷。




………夢じゃなかった。





また吐きそうになっていたら、部屋に人が入ってきた。





「おはよ澪!よく寝れた?」






…………優馬







「ゆ………ま、……………僕」







知らない人に連れ込まれて、暴力を受けて、




思い出すだけで怖くなって、……でも、






「…うん!大丈夫、言わなくても分かるよ。


だってあの人俺が呼んだんだし」






………まだまだ、そんなものでは済まされなかった。





「え………」
「隣の個室でずっと聞いてたよ、……ほんと、可愛かった」




……この人が何を言ってるのか分からない。





「……どういうこと?」






あんなの、






「…あれが怖いなら、もう外には出ない方がいいと思う」






……………








ーーー



あの男の行動は優馬の計画だった。



「怖い思いしてさ、また外に出たら同じ目に遭わせる。…絶対逃がさないよ、助けだって呼ばせない」



計画通りで、家から一歩でも出ればあの男がまた連れ去りに来るらしい。




「う"………、…ぇう"」
「ははっ、大丈夫大丈夫、出なきゃいいんだから。……あ、そうだ」



優馬は吐き気が抑えきれない僕を放って立ち上がって、サイドテーブルの上にあった僕のスマホを手に取った。




「んー…アドレス消すのめんどくさいな、それに電話使えたら意味ないし、………



……まあいっか、壊すね」






そう言って、なんの躊躇いもなくスマホを床に叩きつけた。



「ひ……ッ」



それを何度も踏みつけて、もう電源がつかなくなるまで端末がボロボロになって、





「………うそ、」






……………どうしてこんな事するのか、理解出来なかった。






ーーー



あの日のことがトラウマで、外に出られなくなった。




「ただいま澪!今からご飯作るから………澪?」




それどころが日に日に体調は悪くなっていくばかりで、




「おぇ"……ッ、……ぅ"、」
「あー…、可哀想に、……胃酸しか出てないし、なんか喉通るもの作るから」



…何よりも怖いのが、あんな事を計画した優馬が優しいこと。



ご飯も寝る時も前以上に気遣ってくれて、それが怖くて仕方なかった。




「お粥…食べられる?」
「………」




本当はそれどころじゃないけど、逆らうのが怖くて無理矢理食べた。





「食べたらちょっと横になろっか。」







ーーー


「何も考えなくていい、外なんて出なくていいんだよ、ずっとここにいて、俺の物になって、……嫌いにならないで」




………そう毎日のように言い聞かされる事ですら恐怖を感じてしまう。



怖いのに気持ち悪いのに、逃げられないのがさらに恐ろしくて、





次第に精神的にも壊れていった。






ーーー



たまに玄関まで歩いてみると、優馬は追いかけることも無くリビングからその様子を見ているだけだった。


それもどこか余裕のある、微笑んでいるようにすら見えるそんな様子で。




………それで本当に逃げられないんだって理解した。






(……逃げたい)






少し走れば友人の家がある。



そこまで走れば………そう思うのに怖くて、




「外は怖い人沢山いるよ?澪は怖がりなんだから、怖いもののないこの部屋にいるのが一番だよ」



そう言われるのすら怖かった。







(……………出たい)





こんな場所から。







ーーー



そんなある日のこと。



優馬がお風呂に入っている時だった。





(……今なら逃げられる、…でも)




逃げて外に出て、またあんな目にあったら……そう思うと呼吸が出来なくなって、



…それでもこんな生活を続けるくらいなら、もういっそかけに出た方がいいんじゃないか、



逃げる逃げないが選べなくて、…風呂場の扉が開く音がして、





思わず逃げてしまった。





ーーー


外の風は冷たくて、薄着で出てきてしまったことを後悔した。


でもそんな事をしている場合じゃない。



必死で友人の家まで走った。




………走って、走って、






もうすぐというところで、後ろから人の気配を感じた。




「え………」




その視線がなんだかとても嫌な視線で、



怖くなって………無我夢中で走った。







ーーー



もうすぐ、もうすぐで逃げ切れる。



この扉を開けて、友人の部屋の階までのエルベーターに乗ってしまえば




………そう安堵しそうになった瞬間。





「………ひッ」



背後に人影を感じて、体がかたまった。




(あ………あの人だ)





姿は見ていないけれど、何故かそう確信していた。


急いで開いた扉を通り、もう1枚を通ろうとした瞬間。





「……………あれ……?」





どういう訳かマンションの自動ドアが開かなかった。




………そして、




「……あ、」





気付いてしまった。





(うそ…オートロック)




………言われてみれば、僕が住んでいるマンションにもこのマンションにもオートロックがついているわけで、




あまりにも抜けていた。いつも解除は友人がやっていたから分からない。




「ッ………」









もう……………逃げられない。










「ん"………ッ!!」
「ははっ、やっとつかまえたよぉ…残念だったね、澪クン♡」





あまりにも浅はかだった。







ーーー



2回目は暴力が増して全身が痣だらけになった。



「こういうのもやってみたかったんだぁ……、可愛いなぁ、本当に可愛いよぼくの澪クンは」



頬も、腹も鳩尾も何回も殴られて、



また性器をいれられて、沢山泣いて、吐いて、



手首が冷たい地面に押さえつけられて身動き取れなかった。





………本当に、考えが甘かったんだと、自分の馬鹿さを恨んだ。






ーーー



帰ってきた頃には夜が明けていて、人に見つかるとかどうでもよくて朝方、5時くらいに家に帰ってきた。


寝ないで部屋にいた優馬は微笑んで「おかえり」と言って、痣だらけで痛む体ではもう一歩も歩けなくて玄関で倒れていた。




「……ふふ、痛そうだね。…大丈夫?」






………こんな事になるなら、もう、





(もうどうでもいいや………)






酷く無気力で、もうすぐ眠ってしまうだろうと察した中、小さな声で「ごめんなさい」と呟いた。






ーーー


数ヶ月後。



「最近澪と連絡取れなかったから……心配で」
「あぁ、スマホ今壊れててさ、そういえば言い忘れてた」


友人の1人が家に来た。



あれからというもの、優馬は直接殴ってきたりはしないので、あの日の痣を治してはいたけれど精神面では治る気配はなかった。



「澪……久しぶり、なんか大人しいね」




……今この人に「助けて」と言えば救われるかもしれない。




でも、




『あいつにも言ったら澪と同じ目に遭わせよっか、あいつも外に出られなくなるな』





…なんて言われていて、今更助けてなんて言えなかった。





虚ろな僕に気付いて「大丈夫?」と聞いてくる友人にも何も言えなくて、



「さっきまで寝てたから眠いんだよ、…澪、ちょっと寝てていいよ」
「あ…そうなんだ。大丈夫だよ、休んできて」



そう言われたので隣の寝室に行って布団の中に入る。



今はもう1日中ベッドの上にいる生活をしている。



ご飯もまともに食べれなくなって痩せていき、それに気付いていたらしい。




「澪、ちょっと様子がおかしいんだけど………優馬、何かした?」




そう心配してくれてたけど、





「………、……あー………実は今澪と喧嘩しててさ。今もすごい険悪で………、……出来るだけ表に出さないようにしてたんだけどな」




そう嘘をついた。








「………あ、なんだ。なるほど……………」






………気付いて欲しいのに。







もう誰にも頼れる気がしなくて、





「あいつ鋭くて面倒臭いな…あ、澪。今日のご飯何がいい?」





きっとここにいればもう何も怖くない。



怖いことなんてないからと必死に自分に言い聞かせた。






「……澪?……わっ」





ずっとここにいていい。






「……優馬、大好きだよ」








ここにいれば安全だから。









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