ゆうみお R18 お休み中

あまみや。

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いっぱい優しくしてくれる優馬くん

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介護…下の世話などあります注意

表と裏あります(前半表 後半裏)



ーーー

《表》

(郁人side)



帰り道で車に跳ねられた。


何日も意識が戻らなくて、戻ったとしても体が動くことは無かった。


「手足も動かない、1人で生活は出来ないしトイレだって自分の意志で出来ない」



1人で動くことが出来なくなって、入院中からずっと車椅子で過ごしていた。



「それでね、桜木さん、そろそろ退院になるけど………面倒をみてくれる人っているかな?」


看護師にそう言われて、真っ先に親が浮かんだ。けど、



(ずっと病気で迷惑かけてたのに、これから先また一生迷惑かけるなんて)



そう思ったら実家には連絡出来なかった。




「……ていうわけなんだけど、…どうすればいいかな。」


入院中友達が1人ずつお見舞いしに来てくれることがあった。



でもだんだん来てくれる回数が減って、そのうち、




「んー…まぁ、どうにかなるよ!頑張れよ」
「え………、……そんな」



相談しても誰も真面目に取り合ってなんてくれなかった。




(どうしよう……どうしよう、誰か助けて)




「それってつまり介護みたいなものだろ?…ごめん、俺も勉強とかあるから………」
「海斗……待って、行かないで」


「僕がなにかしてあげられればいいんだけど………ごめんね」
「澪………、ねぇ、1人にしないで」



「ごめんね桜木、ボクももうここには来れないかも」
「ねぇ、なんで?莉音、待ってよ、」





なんで、





なんで誰も助けてくれないんだろう









(誰も…誰も助けてくれなかったらどうしよう)


怖い、死にたくない




手足が動かないせいで、涙すら拭けなかった。







…………そんなある日のこと。





「大丈夫か?郁人」



久しぶりに友達がお見舞いに来てくれた。




「ゆ………優馬」
「忙しくてあんまり来れてなかったな、…大丈夫?体調」




なんだかいつもより優しい優馬に、少しだけ甘えたくなった。



「大丈夫…だよ。来てくれてありがと」
「おう…?リンゴとか持ってきたから切ってやる、ちょっと待ってろ」




…………優しい。





(………優馬は、………、いや、無理だよね)



介護なんてしてくれるわけない。




なんて思っていたのに、少し期待してしまった。




「ねぇ………優馬、お願いがあるんだけど」
「ん?」



駄目元で言ってみた。





「……………って言う事なんだけど、お願い……出来ないよね………ごめ「別にいいけど」……、……え?」



幻聴かと思った。




「ぇ……いい、って、介護だよ?いいって」
「だから別にいいって、困ってるんだろ?」



それはそうだけど、

当たり前だ、他に頼れる人がいないんだから。




「…うん」
「いつ退院?」
「明後日…かな」
「じゃあ準備しとく!またなー」




そう言って綺麗に切られたリンゴを皿に置いて、颯爽に部屋を出ていった。




「ぇ……あの、りんご……食べられない」





どうすれば…………








「……あら、桜木さん。リンゴなんてどうしたんですか?」


タイミングよく看護師が来てくれた。




「あの……貰ったんですけど、食べられなくて」
「そう…ですよね?わかりました、私が手伝いますよ」



リンゴは全部食べました。






ーーー



「ぅ……、…ッう”、く、」


トイレが自分の意志で出来ない為、突然漏らす事がある。


(高校生にもなってこんなの履かなきゃいけないなんて)



なんて泣きそうになりながら、でも泣いても拭くことは出来ない。


ナースコールを押すのも難しい。




(優馬も、こんなの見たら幻滅するよね、嫌だって思うよね)


せっかく助けてくれそうな人が出来たと思ったのに。



(僕って、…………生きてる意味あるのかな)





一生治らないと言われた手足を見て、やっぱり泣いてしまった。






ーーー

あっという間に退院の日になった。



「立てる?ごめん、ちょっと触る」


手足に触れられても感覚が麻痺して何も感じない。
車椅子に乗るのにいつも通り長い時間がかかった。



「荷物これで大丈夫だよな、じゃ、行こっか!」
「…うん」




受付まで押してもらって、少し話しながら歩いた。







「あ、桜木さん」
「…!こんにちは、看護師さん」



この前リンゴを食べさせてくれた看護師。

この人は普段から優しくて、印象が良かった。




「今日で退院ですか………寂しくなるけど嬉しいです!……そちらは、」
「あ、俺は友達です、この子両親が近くにいないので、面倒は俺が。」



看護師は「まぁ……」と言って、それから優馬少し話してた。



「介護とかはした事ないけど、妹の面倒とか見てるし……俺は両親が他界してるのでほんとに親くらい人の面倒見られるから、大丈夫かなって」

「はい、大丈夫です、ちゃんと把握してます」

「ありがとうございます、……じゃ、そろそろ行こっか」




僕が看護師に挨拶をする間もなく、ハンドルを持って看護師の元から去っていった。





「優馬…………僕も挨拶したかったんだけど……」
「え、そうなの…?ごめん、戻る?」
「…え、そこまでしなくていいよ…………」






ーーー


受付が終わって、久しぶりの外に出ると昔の事を思い出した。



(小さい頃も手術が成功して、ようやくここから出られたんだよね)



その時の青空が、今日の空と似ていた。



「買い出しは終わってるから真っ直ぐ帰ろうな、体に負担かかるかもだし」



歩きで連れていってくれた先は、





「…………あれ…?」
「なに?」
「優馬の家はこの道は曲がった方が」
「こっちでいーの、黙ってついてこい」
「えぇ…………」



なんか不安になってきた………………





やっぱり着いた場所は優馬の家じゃなかった。




「ここ…僕の家じゃん…!!」




なんで………………




「僕てっきり優馬の家に行くのかと…………、……っ、もしやここに置き去りにするの……?」
「そんな事しないし…………一緒に住んで面倒見てやるってこと。…お前も慣れないとこより自分の部屋の方が落ち着くだろ?」



まあ、そうだけど。…………でも






「でも優馬………妹さん達は?まだ小学生だよね」
「…妹?」
「うん…もしかして迷惑かけてないよね?」
「なんだよそれ、そんなこと言うなら面倒見てあげない」


…………なッ




「そんなのずるい!!!」
「冗談だよ冗談…………」
「はぁ…………ていうか妹さんは「大丈夫だよ」……え?」



急に声が低くなった。

表情もなんだか怖い。




「………大丈夫、お前が心配する事じゃないから」




…………



無表情が急に笑顔に変わった。



「……なんて!親戚が近くに住むからって面倒見てくれてるんだ!今のちょっとビビってたろ?」


その答えを聞いて、少し安心したけど、



「な……ビビってない、そういう理由なら…でも」
「だーもう!ネグレクトする訳じゃないし家帰るよ!そんなのいいから中入ろうぜ」



無理矢理車椅子を押された。




「わ…………ちょ、ちょっとまってこれどうやって登れば」
「他のアパートの住民呼んで持ち上げるの手伝ってもらうか」
「えぇ~…………恥ずかしい………………」



そう言うと優馬は2階に行って僕の部屋の隣に住んでいる人を呼んできた。



「あ……こんにちは、葉月さん」
「桜木さん…!!噂は本当だったんだ…………」




とりあえず運んでもらった。






ーーー


「詳しいお話はまた今度!お体に気をつけてくださいね」



なんとか2階まで持ち上げてもらって(めちゃくちゃ恥ずかしかった)自分の部屋に入る事が出来た。



「先に中入って色々準備してたんだ、ちょっと散らかってるかも」
「……えっと、…どうやって入ったの?」
「病院でお前の鞄から借りたんだけど?」



いつの間に………………






「とりあえずソファでも座れよ、ロフトはもう使えないし…………物置にでもするか」
「うん…別にもう好きに使っていいよ」



どうせ何を置いたって僕は使いこなせないんだし。




「あの……優馬」
「お?」


こんな事、本当に言いたくないけど。




「…僕、自分の意志でトイレが出来ないっていうか…………その、漏らす事とか、あって」



惨めで恥ずかしくてたまらない。



「知ってるけど……それって出す前に分かるのか?」
「ちょっと分かるけど…………動けないからどうすることも出来なくて、いつの間にか漏れてるっていうか」




本当に僕は何を言ってるんだろう。




「じゃあ来そうだったら教えてよ、トイレ連れてくから」
「でも、体が動かないから時間かかるよ」
「それならそれでいいよ、間に合わなければ掃除すればいい話だし。…それだけ?」



…………そんな、




(なんでそんなに、受け止めてくれるんだろう)




この人の事、別に好きでも何でもなかったのに。





(急に優しくならないでよ………………)








ーーー



ご飯を作ってもらった。

ソファに座って、動くことが出来ないから優馬に食べさせてもらった。


「……ん」
「…おいし?」
「うん…………」


優馬の料理は美味しいし、本当に助かる。


けど食べさせてもらう度に自分が何も出来ないんだと惨めな気持ちで仕方なくなる。



(泣いちゃ駄目、泣いちゃだめ)



泣いても隠すことすら出来ない。




もう、生きている意味すら分からない。


手足が動かない僕が1人で出来る死に方は、




(……これしか知らない)




歯で舌を甘噛みした。



けどやっぱりその先は怖くて出来なかった。




(…………)






ここまで暗くなってしまったのは怪我のせい、それと、



「ねぇ…優馬」
「うん」
「なんで…澪達、来てくれなかったんだろう」




あの話をもちかけてから一切会いに来てくれなかった友達。



「都合が悪かったのかもな、お前が気にすることじゃないよ」
「……そうなのかな」
「はぁ…全くお前はよく喋るな、うるさいから喉もやられておけば良かったのに」



……たまに優馬、気に触ることを言う。


それが少し怖いけど、でも喧嘩なんてしたら僕が死んでしまう。



そこは聞き流そうと思った。





「あ、そういえば風呂はどうしてたの?」
「体拭いてもらってた、服の下から………」
「なるほど、着替えはしてたよな」
「うん…でも大変だからシャツとかチャック付きのパーカーとか…………簡単に脱げるやつ」



着れる服も限られてくる、ニットとか好きでよく着ていたのに、これからはパーカーとかシャツとかの生活になってしまう。


「じゃあ今度買ってくるな!」
「うん……あ、…優馬」


もういらないであろうものを、優馬にあげようと思った。



「僕の口座…………暗証番号と、財布にキャッシュカード入ってる」
「え……」
「優馬に全部あげる、…って言ったらあれだけど、家賃とか生活費とか、しばらくやっていける分はあると思うから……そこから」


家賃もそこまで高くないし、生活費は……介護を考えるなら少しは出費多くなるかもだけど。




「僕が持ってても仕方ないから…………」
「これ、節約すれば数年はやっていけるじゃん……」
「うん、あと実家からも送られてくるから、当分はそれでなんとかなると思う」



本当はそれは、将来の為に貯めてきたものだけど。



「そうだ…入学手続き、辞退しなきゃ」


せっかく合格した専門学校。

4月から仙台に引っ越そうと考えていたのに、




「……あれ、そういえば優馬…専門学校」
「あ……うん、それなんだよな、今考えてたんだけど…………俺も仙台だし、2人で引っ越さない?」



…………え




「僕も行くの…?」
「お前が入学が出来ないのは残念だけど、そっちの方が俺も都合がいいから。家賃も今より安いところに住んで、…どうかな?」



まぁ別に、もうどうだっていいけど。



「まぁ…なんでもいいよ、好きにしていい」




もう正直、自分のことなんかどうでもいい。


ただ、優馬に嫌われるのだけは嫌だ



1人で死んでいくのが怖いから。






ーーー


それが決まってからすぐに引っ越した。




「優馬……ねぇ、これ目立つよね」
「別に変なことしてる訳じゃないし、…あ、あっちだ、アパート」


人前を車椅子で歩くのは怖かった。


視線がちらちらとこっちを見られるのが嫌で、でも表情すら隠すことが出来なくて、



アパートにつくまでずっと俯いてた。





「到着!」


部屋はワンルームだった。




「わぁ……」
「一部屋の方が見やすいと思ってさ、それに家賃安いし!さて、ご飯作るな!」



新しい家の台所は少し小さかったけど、それでも出来た料理は変わらず美味しくて、




「服とか一緒に買いに行こうな、…大丈夫、俺がいるから怖くないよ」


不安そうな目をしていたら気付いてくれる。



(優馬って…………こんなに優しかったんだな)





少しだけ嬉しかった。






買い物だって、ちょっとだけ楽しみで、だけど、



まさかあんな事になるなんて思わなかった。






ーーー



それから少し日が経った頃。




「こんなのどうだ?お前に似合うと思うけど…………」


優馬は色んな所に連れて行ってくれた。



服を見て、美味しいものを食べて、人目なんて気にしなくていいって優しく笑ってくれて、



歩いているうちに段々、僕も人目が気にならなくなってきた。



だから、あの人達の視線にも気が付かなくて、




「はぁ……ちょっと疲れたなぁ、…ごめん、トイレ行ってくる」
「あ……分かった」



休憩スペースで、1人で待っていた。






(1人か…………怖い)



何されても抵抗も出来ない、1人だとやっぱり人目も気になる。


誰にも会わないといいけど…………なんて思っていたら、



「ッ!」



肩に手を置かれて、びくんと跳ねた。




(誰…………?)



誰なのかも分からないうちに車椅子のハンドルを動かして、その人は僕を自分の方向に向かせた。




「……!」
「ここで何してんの?桜木」




中学の時のクラスメイトだった。




「な……なんで」
「は?地元にいるのは当たり前だろ、そんな事より、何それ」



…………どうしよう、どうしようどうしよう





(優馬………早く、帰ってきて)





この人達は中学の時、僕をいじめていた。



あの頃は抵抗も出来たから気にもしていなかったけど、今は…………まずい。



「あ……えっと、」
「なんかそんなに怯えてんのウケるね、おい、その辺のトイレでも連れていこうぜ」



「いやだ」と言う事しかできず、無理矢理外に連れていかれた。




「助けて、たすけて、優馬」






ーーー


人通りの少ない公園のトイレに連れてこられた。



「で、どうするよこいつ」
「とりあえず殴るか、てかこいつなんで車椅子なんだ?」


こんな所、誰も来てくれるはずない。



優馬だって見つけてくれるわけない、もう終わりだと思った。




「ッ!」
「おい、答えろよ」



頬を叩かれた。



「…やめ、て、」
「抵抗でもしてみろよ、まぁ……出来るならな!」
「ぁ”…ッ、ぅ、…ぃ”ぁッ」




何度も何度も叩かれて、ようやく終わったと思えば腕を掴まれた。



「やだ……ッ」


そのまま地面に投げ出された。


「…なぁ、こいつ手足駄目なんじゃね?」
「あー、なるほど、じゃあ何でも出来んじゃん」



動けない、どんなに願っても動いてくれない。





(ねぇ、動いて、お願いだから、動いて、なんで動いてくれないの)



もうやだ、




なんで僕がこんな目に、







「ひ…………ッ」
「じゃあレイプ動画でも撮るか」



撮られたくない、見られたくない、




笑われたくない、殴られたくない、





こんな事になるなら、あの時死んじゃえばよかった。






「ぁぐ…………ッ!!」
「あはっ、ウケる」



お願いだから撮らないで、





「撮らないで…ッ、や”ッ、お願い、…ッごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい」



訳も分からず謝った。



「何謝ってんだこいつ、まぁいいや」
「ゆるして、ごめんなさい……ごめんなさい!!!」




もう痛い思いしたくない




「お願いします、……おねがいします、」




もう、こんな人生なら、






「殺して…………お願いだから、殺して下さい、」







生きていたくない





「はあ?…じゃあ死ぬくらい痛めつけてやるよ!」
「ッあ”!!やだッ、殴らないで、」



苦しい、痛い、





「優馬…………ッ」








名前を呼んだ、その時。






「…………!」
「ちょっと、友達勝手に撮らないでくださーい」



同級生が持っていたスマホが奪われた。




「ゆう……ま」
「ごめん、遅くなって、………あーあ…痛そう」




やけに冷たい目をしていたのが気になるけど、持っていたスマホの動画を消した。



「んー……どうしよ、ゴミ箱とかありそうだし面倒だから壊す?」
「…なッ、やめ、やめて下さい」



優馬を見た途端急に怯えだした同級生。




(あれ……なんで)



確かに目が怖いけど、だからかな…………



……それより、助けに来てくれたことが少し嬉しかった。



「…ちゃんと消しとけよ、分かった?」
「はい…おい、行くぞ」



うつ伏せになった僕と近くに立つ優馬だけ残して、同級生たちは去っていった。




「優馬…………」




優馬は乱れた服や体勢を直してくれて、車椅子に座らせた後、



「ごめんな……怖かったよな、1人にしてごめん」




なんて、頭を撫でながら、





「…………」




優馬が来てくれて安心した。





それでもやっぱり、








ーーー



「ご飯…………今日も駄目そう?」



精神を病んだ僕は、その日から一歩も家から出ていない。

自分が昔抗えていたいじめっ子にも無抵抗で犯されてしまうような、何も出来ない人間だと知ってしまってから、



怖くて、外に出られなくなった。



(また……襲われる、触られるのが怖い、人と会うのが怖い)



信頼出来るのは、





「ごめんな、俺がいたのに」





この人だけだ…………






「ううん……悪いのは、僕」


何も出来ない僕が悪い




それでも、外は怖い。





(これって…………誰が悪いんだろう)









ーーー



夜、寝ていたらなにか話し声が聞こえた。 



「ゆうま…………?」



トイレの方から聞こえる、電話しているような声。



遠かったからあまり聞こえなかったけど、





「だからさぁ…………、…………って言ってるじゃん、…………なんだよ、お前はもうあいつを見捨てただろ」





…………誰と何の話をしているのか、寝ぼけている頭じゃ考えられなくて、




「はぁ?なにそれ、…………するようなら、………………」





また、眠ってしまった。







ーーー



「優馬……昨日、誰かと電話してた?」


朝聞いてみた。



「…え、まぁ…うん、ごめん、聞こえてた?」
「ううん……でも、声の感じがちょっと怒ってたみたいだったから…………」
「……!まぁな、あんな時間にセールス電話なんて来たら怒りたくもなるよ」



…………あぁ、そういうこと。




「それよりお前、段々顔色も良くなってきたな、大分痩せたけど…………ご飯、食べてみろよ」




そう言われて、今日は気分も良いから食べる事にした。






「…………美味しい」
「良かった…!まだまだあるからな」




本当に、この人がいて良かった。






ーーー

それから数週間。



「たっだいまー」
「あ…おかえり、優馬」



優馬が学校に通い始めた。



「お、そのアニメ見てたんだ」
「うん…この子がいてくれて良かった、買ってくれてありがと」


AIの音声認識サービスを買ってくれた。


「ア〇クサなー、形もなんか可愛いよなぁ」
「ねぇ…………それに声だけで何でもしてくれるし、僕みたいな人の為にあるよねぇ…………」



これはいい買い物………………




「……ところでさ郁人、今日、誰か来なかったか?」
「別に来てないよ?」
「そっか、分かった」



……最近優馬はよくそんな質問をしてくるようになった。



まぁ、宅配とかなら僕が出れないから、聞いておく必要もあるしね。




「…………ねぇ、優馬」
「うん?」





でも今はそんな事よりも、




「優馬は……僕から離れないでね」




この人の事が大事になっていた。




「……勿論!ずっとこんな生活、続けばいいな!」





本当に、この人だけを愛している。






これからもずっと、…………僕は優馬の物。






「…………ね、愛してるよ、優馬」







ずっと、ずっと、ずっと、こんな日常が続けばいいのに、





「俺も……郁人のこと、」









なんて、思っていたのに、












次の瞬間…………呼び鈴が鳴った。












ーーー



《裏》
(優馬side)



郁人を手に入れる為に、自宅学習期間の少し前くらいから、計画を実行した。



まずは事故。

足くらい動かなくなればいいな、なんて思っていたらそれよりも上手く手足が動かなくなったのは好都合だった。



「なぁ…郁人、手足が麻痺して、もう動かないらしい」
「そんな………なんで郁人が」
「とりあえずお見舞いに行こう、俺達が出来るのは…それくらいだけど」



友達は皆交代してお見舞いに行った。



だけど俺は、他の事もあってなかなか出向くことが出来なかった。




「……なぁ、海斗」
「…何?」



そして俺は、今度はこの3人を落とすことにした。




「郁人を轢いた犯人ってさ、お前ん家の会社の社員だったよな」
「は…なんで、それ、知って……まだ」
「なぁ、そんなの示談にしちゃえよ、そうすればお前が将来社長になる会社に泥を塗らなくて済むぞ?」



実際あの社員は俺が誘拐して衰弱させた上、洗脳までしてあの事故を起こさせた。




「そんなの…父さんが出来るわけ」
「俺はお前達を心配して言ってるんだよ、……なぁ、分からない?」 




それでも乗り気じゃなさそうな海斗をまずは落とす事にした。





「あ、澪!ちょっと用があってさ、放課後付き合ってくれない?」


これからする事を大事な澪にもさせるのは気が引ける。



だから澪には「見て」落ちてもらう事にした。




「だ…誰、ひッ……!!」



澪を連れて目の前で海斗を複数の男達に犯してもらった。


何が起きているのか分からない澪は怯えながら固まっていて可愛かった。



散々殴られて、口に性器を押し込まれて、犯されて、




「なぁ分かった?この動画SNSにあげられたくないならさ、黙って示談にしろ、…分かった?」



絶望したような表情で壁に寄りかかる海斗にそう言ってその場を去った。





「なー、未来斗!ちょっと見てよ」



そしてその動画を、海斗の事が好きな未来斗に見せた。




「これ晒されたくなければ、莉音の事本気で殴って。…あ、顔はあいつにバレそうだから腹とか体狙えよ」

「優馬……何言って、」

「あ、本気でやらなかったらすぐ分かるからな、そしたらお前も同じ目に遭わせる」




未来斗は今にも俺を殴ってきそうだったけど、動画を使って脅し続けた。



「み…未来斗、何するの、やめ…………ッぁ”!!」
「ごめん、ごめんなさい、あの人の為だから」




素直に見てて面白かった。



「澪ー、どう?面白い?」
「ねぇ…何でこんなこと、するの」
「…助けない澪も同罪だろ?何被害者ぶってんの?」


怖がって庇いもしない癖に、





「…………」





本当、簡単だった。







ーーー


その後未来斗もしっかり海斗と同じ目に遭わせた。



「やだ…ッ!なぁ、なんで」
「本気でやってなかったからー、…そんな事よりお前さ、郁人が面倒見て欲しいって言ってきても断れよ、少しでも良いとか言ったら殺すぞ」



海斗にも莉音にも、澪にも同じ事を言った。





「え……いい、って、介護だよ?いいって」
「だから別にいいって、困ってるんだろ?」




そして無事、俺が郁人の面倒を見る事が出来た。



それから卒業式を迎え、学校から澪の安否がわからなくなった頃、誘拐した。



「ん…ッ、ん”ーー!!!」
「大人しくしてろよー」



妹達をしばらく親戚に預けて、その間に俺の家に澪を監禁した。


それでも預ける期間も無理があるし、俺も進学を控えているからずっとこうしてはいられない。




「引っ越しかぁー……、……ん?」
「あの……優馬、その、」



考えていたら、少しよそよそしい感じで郁人が話しかけてきた。



「あ……もしかしてトイレ?」
「……」コク



初めてだ。



「もうちょっと我慢してな、…よし、と」



便座に座らせるまでが大変。

人1人を動かすのってかなり難しい。




「………下、おろすぞ」
「うん…」



出来る状態までしてあげて、ふと上を見たら郁人は恥ずかしいのか悔しいのか、苦しそうな表情だった。



「ごめん、慣れるまでは我慢して」
「……なさい」



すっごい興奮するけど。


けど、思ってたのとは違った。


てっきり俺がこいつを辱めている気でいたけど、



「え……?」
「ごめんなさい…こんな事、させてごめんなさい」



謝られた。



涙を拭うことすら出来ず、ボロボロと服が濡れる。




(あぁ………隠したい表情ですら、隠すことが出来ないんだ)




なんだかそう思うと、






すごく興奮してしまう。





(俺は………今の郁人が好きなんだ、どんな表情も隠すことの出来ない惨めで恥ずかしい思いをした郁人が好きなんだ)




…………ようやく分かった。






(……郁人が手も足も動かなくなって、本当に良かった……!)






途端に、嬉しくてたまらなくなった。








「……じゃあ終わったら名前呼んで、外にいるから」
「……うん」





ドアを閉めて背を向けてから、ずっと嬉しくて楽しくて笑っていた。


そして終わってからも、




「じゃあ拭いてあげるから、座ってて」
「…、……ぅ…ん」




紙を出しておって、足を上げて拭いてあげた。




「ぁ…あの、優馬、」
「別に平気だよ、いいから俺を頼って?」




…………あぁ、また泣きそう。


恥ずかしいんだよね、惨めな気持ちでいっぱいなんだよね?




生きてて、申し訳ないんだよね。







「ごめ……なさ、ッヒク"、ごめんなさい、」
「謝らないで、恥ずかしくないから、大丈夫だから」
「ごめんなさ、……恥ずかしい、です、迷惑かけて、ごめんなさい」



……面白い。


もっと泣いて、謝ればいいのに。







ーーー


体を拭く時も郁人は泣いて謝ってきた。



「っひ、…ぅぐ、」
「ごめんなー、服の下見られたくないんだったな、ごめん」



楽しくてたまらない


こんなに楽しいなら一生やっていられる






「こんな事できるの俺だけだから、俺以外はもう頼るな」




毎日そう言って、洗脳させた。








ーーー


仙台に引っ越せばもうあいつらと関わることも無い。


「澪、ここが澪の新しい家だぞ」



俺の目的は澪も郁人も手に入れること。


その目的の為に澪も手放す訳にはいかない。



古くて誰も住んでいないようなアパートに澪を監禁した。



「……ッ、…………たすけて、」
「あ、騒ぐようならまた口も縛ろうな、…大丈夫!あいつを手に入れたら澪にも構える時間、あげられるから」


頭を撫でた後また手足を縛った。


「次は明後日にご飯あげに来るから、じゃあまたな」




そう言って部屋を出た。







「………は?…何で、」



でもその後予想外なことが起きた。





「…何、いきなり電話かけてくんな」
『優馬……引っ越したって、どういうこと』


未来斗が電話をかけてきた。




「郁人も澪も連れて引っ越した、それだけ」
『な…なんで澪まで』
「あぁもううるさいな、見つけてきたら動画流すからな」


それより今から郁人をいじめていた奴らを脅しに行かなきゃいけないのに。





……それでもうざいくらいに友達思いなあいつが、諦めることは無かった。




「しつこいって言ってんだろ!!」



郁人がレイプされた後も、あいつは執拗に居場所を探してきた。





『やだ、諦めない、優馬だって本当は動画……脅す為だけに使ってるだけなんだよな、なぁ』

「…だからさぁ、いい加減にしろって言ってるじゃん、…なんだよ、お前はもうあいつのこと見捨てただろ」

『な…見捨てたのは優馬のせいだろ…!!』

「はぁ?なにそれ、まだそんな態度するようなら、また動画撮ってもいいんだけど?」





それでも諦めていない様子のあいつに、俺は少し焦っていた。




(早く……洗脳しないと、目が覚めたら大変な事になる)



今まで俺がしてきたことが、未来斗のせいでめちゃくちゃになる。




「……優馬?…わっ」
「ごめ……もう、我慢できない、」



動けない郁人と無理矢理セックスして、精一杯優しくし続けたら案外早くおちてくれた。




「………あの人達より、痛くないから、大丈夫」



なんて、少し泣きながら、





(ここにあいつが来るのも時間の問題だ。……もっと、もっと遠くまで逃げるには)







なんて考えていた矢先のこと、









「俺も……郁人のこと、」










部屋の呼び鈴が鳴った。








「……ぁ………………」






駄目だ、逃げられない





「優馬……?誰?」
「…大丈夫、ちょっと奥の方にいて」




外の主を確認した後玄関が見えない死角まで郁人を移動させた。



…………そして、包丁を見えない場所に隠し持った。








(邪魔させない、……ここは、俺達だけの場所だ)









ずっとこの日常を、守るんだ。








そう決心して、扉を開けた。














ーーー




車椅子郁人くんシリーズ化したい。




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