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雪島真冬
心神喪失
しおりを挟む残酷注意
真冬大好きなおじさん(きもい)の話
ーーー
目の前に俯いて動かない恋人がいる。
小さな肩をさらに小さく見えるくらいおろして、リビングの隅で体育座りをしていた。
「真冬君」
落ち込んでいる恋人を慰めるのもその恋人の役目だ。
そう思いその立場である俺は真冬の肩を優しく掴んだ。
「……っ、」
それで驚いたのか真冬はハッとして顔を上げた。
泣いたあと、赤い目、乱れた髪。
「大丈夫だよ、俺がずっと一緒に「…~」…一緒にいるからね!!」
言い終えるのと同時に真冬の口の中に舌を入れた。
こんな事をするのは恋人だから。落ち込んでいる真冬を助けたいと思ったから。
だから例え真冬の目線が俺じゃなくてその後ろだとしても、
構わず舌を絡めた。
抵抗も何も無い、無気力で光のない真冬の目。
ぐちゃぐちゃに舌を絡めて、離した途端糸が引いた。
「はぁ……真冬くん、愛してる、おじさんはずっと真冬くんのこと愛してるからね」
何も返事はなかった。
ーーー
「真冬くんっ、セックス気持ちいいね!俺たちの子供どんなかな??」
セックス中も真冬は反応してくれない。
何かは言っているようだけど聞こえなかった。
「好きだよ真冬くん、赤ちゃんいっぱいつくろうねっっ」
何日も何日もこうやって2人で過ごした。
ーーー
「~っ、…、、」
たまに夜中トイレに起きると、真冬はリビングの同じ場所で泣いている。
俺に気付くとその顔を上げてびっくりして怯えている。
だから今日は自然体を見ようと、リビングのドアのガラスから見ている事にした。
「………っひ、…ひく、」
こんなに静かでも真冬の声は聞こえにくい。
神経を研ぎ澄ませた。
「……ぁ…さん、…………と……さん」
...
そこで聞くのを辞めた。
ーーー
「真冬くん、もう忘れよう……?…ううん、無理か」
やっぱり、早く処理した方がいいのかもしれない。
「でも2人ともなると大変なんだよな~」
まだ分裂させてないし、でもそろそろ臭いがきつくなってきた。
真冬君もいつまでもこれだし………
「やっぱり余計な物はさっさと処分した方がいいよねぇ………ねぇ、真冬君」
そう言って俺も真冬が見ていたものを見てみる。
腕や足が胴体から離れた人間が2人いた。
ーーー
「でもいい加減イチャイチャセックスもやってみたいよねっ」
そう思って今日は強力すぎる媚薬を持ってきた。
無理矢理飲ませて、即効性なのですぐ効果が現れた。
「…ッふーー、ふーーッ……」
あの無気力だった表情が苦しそうな表情に変わる。
「はぁ…はァッ、今日はよく締まるね、真冬君!!」
「~~ッ!!」ビクン
初めて真冬君がイってくれた。
絶望、悔しさ、混乱
色んな感情が混じってすごく良い表情をしてくれた。
「今日は10回はイこうね~~!!」
今まで溜まっていた分も全部出させてあげた。
ーーーーー
恐怖とか絶望とか、
ぐちゃぐちゃして気持ち悪い
(悔しい……悔しい、怖い、苦しい)
当たり前だった日常が、目の前の男によって一瞬で壊された。
「出て行って」も、「もう許して」もこの男の耳には届かない。
学校から帰ったら両親が変わり果てた姿で眠っていて、背後から男が鈍器を持って近付いてきていて、
一瞬で、変わった。
………いや、分かってた。
ストーカーがいた事は分かっていた、周りに相談しようともした。
けど周りは一切相手にしてくれなくて、
だからきっと、僕がいなくてもきっと何も思ったりしない。
惨めで情けなくて、死ぬことすら許されない。
(一体僕が、何をしたんだろう)
………どうして、こんな目に
「真冬君っ、ずっと一緒にいようねぇ………約束だよ」
もう死ぬまでこの男から逃げられない
きっともう時期、この地獄も終わる。
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