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高山李世
独占欲でもなんでもない
しおりを挟む李世が攻め
真冬を狙ってるモブがいます
李世をしっかり書きたいので若干真冬が弱々しい
ーーー
せっかく苦労して手に入れたたった1人の依存相手。
長い時間をかけてこんなに頑張ったのに………それが一瞬でほかの物に奪われそうになったら、ボクはどうやってあの人を取り返すんだろう。
………まぁ今はそんな時が来ないか警戒しておく事しか出来ないけど。
「真冬、その人だれ?」
そんな簡単な日常は長くは続かなかった。
「………友達……」
真冬はボクの目を見ずにそう答えた。
「俺今日から真冬と友達になったから!よろしくなー、李世」
ボクはさりげなく真冬の背中に手を回すその男の目を一瞬だけ冷えきった目で見た後、微笑んだ。
「よろしくね。」
ーーー
……………さて、
(どうしたものか………)
脅されでもしたのか、真冬はそんな簡単に友達を作るような人じゃない。
そう考えるとやっぱり、脅された説が有力だと思う。
(まあ何にせよあいつは許さない。真冬に触れるのはボクだけだし………壊さなきゃ)
授業中、ずっと考えていた。
まぁ……こんなに可愛い容姿で怖い事なんて苦手そうなボクがそんな事を、ましてや授業中に考えるなんて周りは誰も想像してないだろう。
どれだけ怪しい表情を浮かべていてもこの容姿ならあまり分からない、それは自分の容姿の長所だと思う。
(………よし、……じゃー…あの人の手を借りるかぁ)
考えがまとまった。
ーーー
その次の日。
体育の時間。
「じゃあ2人組になって練習ー」
真冬はボクと組めるとでも思っているんだろう、当たり前のようにのこのことこっちに寄ってきた。
「……り「ねー、佐山、一緒に組も?」」
真冬に名前を呼ばれる前に他の人のところに行った。
「あ……おう?いいけど雪島は?」
「はいはい練習しよー」
真冬はかなり動揺していた。
小さく「……ぇ………」と声を漏らしているのも聞こえてきた。
ーーー
体育が終わって昼休み、真冬が珍しく自分からこっちに来た。
「………李世、いつもの所に………」
「ごめん、なに?」
ぼそぼそ喋る真冬の声はこのうるさい教室の中じゃ聞こえない。
「………いつもは聞こえてるじゃん……」
「いつも?なんのこと?」
また驚く真冬の表情は格別だった。
「………僕…何かした……?」
微かに声が震えている。
………あ、勿論ボクが真冬の声が聞こえないなんて有り得ない。
「……?何もしてないよ?」
そう言って笑って見せた。
まるで………心を許していない他人へ向けるような目を、真冬に向けた。
張り付いたような猫被りの微笑みに、真冬はゾッとしたのか身を震わせた。
「………ぁ」
別に無視はしない、けど他人行儀な対応。
下手に無視するよりも真冬にはこれが一番こたえると知っている。
(誰にも泣きつけないね………今日はお友達も休みみたいだし。)
真冬はとぼとぼ自分の席に戻って行った。
ーーー
そんな生活は何日も続いた。
避ける訳じゃなく他人行儀に接して、その度に真冬の心は折れていく。
それが堪らなくて………
計画の方も上手くいってるし、この調子なら今週の金曜日くらいには決行出来ると思う。
………その後の真冬の表情が楽しみで仕方なかった。
ーーー
金曜日。
「ねぇ真冬!今日早く帰れるしボクの家来ない?」
警戒したっていいのに、あまりにも簡単に真冬はそれに乗った。
断られた時のその次の台詞も授業中考えていたのに無駄になった………と思いながら電車に乗る。
家に着いて、真冬は少しだけほっとした様子だった。
(別に嫌ってる訳じゃないよ。……ただの作戦の一部ってだけ)
なんて心の中で言いながら………真冬に睡眠薬入りのココアを飲ませた。
「………」うと…
即効性なのでそのまま倒れるように眠ってしまって、その間に手首に手錠を付けておく。
付けたら鎖をベッドの柱に括りつけて………貧弱な真冬ならこの程度でも充分だと思う。
(痛いことしたい訳じゃないし………真冬には。)
なんて思いながら写真を取り出して、一緒にハサミやマッチも用意していた。
ーーー
しばらくして、真冬の目が覚める。
外は段々暗くなっていくところで、真冬は初めこそぱちぱちと瞼を何回も開け閉めしていたものの、手錠を見るなり目を見開いた。
「おはよ、真冬」
「………これ、なに」
焦った真冬は手錠を外そうとガチャガチャ音を鳴らし始めたけど、それくらいで外れるほど甘い物は用意していない。
「真冬………ボクね、真冬の事嫌いなんかじゃないよ。」
よっぽど思い詰めていたんだろう。
こんな状況なのに真冬は少しだけ強ばった表情を緩ませた。
「………まぁ、だからなんだけどねぇ。興味無い相手にここまでしないし、
………ねぇ真冬、これなーんだ。」
そんな真冬の表情は途端に絶望へと変わっていった。
「ぁ………、ッあ"………」
真冬と友達になったと言っていたあの男の写真を見せてあげた。
あの時の面影は一切ない、ボロボロの体。
骨は毎日死なない程度に出来るだけの数を折られ、何回も首を絞められ殴られ、爪は剥がされて髪もズタズタ。
足や腕の曲がり方は明らかに違和感があって、それを見た真冬は吐いた。
「…ッ、お"…、おぇ"」
こんな事で弱ってたらこの先が楽しめない。
………とりあえず、安心させてあげないと。
「…大丈夫、真冬のことは傷付けたりしないよ。」
そう言って震える体を落ち着かせるように頬を撫でた。
それでも真冬はまだ怯えていて、触れてもさらに驚いてびくびくと跳ねるだけだった。
仕方ない……と路線を変えてみる。
「もーっ、この人ひどいよね!真冬の弱味に漬け込んで優しくしてぇ………、結局体目当てなんてさ…っ!」
よく真冬に下手くそだと言われているぶりっ子。
相変わらず下手なあざとい素振りも加えてみる。
「………ッ……」
それでもまだ怯えている。
まあいいやと諦めて、次の行動に移った。
「知り合いに頼んでこうしてもらったんだけど………非力で人を殴れないボクでも、写真にならひどい事出来るよね?」
そう言って机にあったハサミを手に取る。
生憎写真は同じものをたくさんコピーしてあるのでいくらズタズタにしても大丈夫。
「ちゃーんと目に焼き付けててね?真冬のお友達。」
心臓の辺りを刃の先でつついて、それからはじわじわ体を切っていった。
「………真冬……ちゃんと見ないと可哀想だよ?友達でしょ?」
強く目を瞑る真冬に微笑みかけた。
「よし………こんな感じかな。ちゃんと切れたところもまとめて額縁に入れて壁に飾っておくからね!」
そう言ってまたコピーしておいた写真を出して、次はマッチに火をつけて燃やした。
「あの人燃えてくねー、わ、暖かい」
床に引火しないかちゃんと確認しつつ笑いながら見ていると、真冬はとうとう泣き始めた。
「もう………やめ「まだまだあるからね!」……やだ」
どんな写真でもしっかり保存して、壁に飾るようにしていた。
ーーー
「またいい感じに出来た!ここに貼っておくねー?」
何日も何日も、真冬を監禁しては写真だらけの部屋に閉じ込めた。
「………ごめん…なさい」
真冬は日に日に衰弱していった。
痩せてしまって、ご飯も食べてくれない。
………まあ真冬がいいなら別にそれでも構わないけど、
どんな真冬だってボクの依存相手になってくれるなら関係無い。
「大好きだよ、真冬。」
ーーー
真冬が誰かのものになりそうになった時の李世の行動。
相手は肉体的にボロボロ、真冬は精神的にボロボロな感じです。
*アイディア提供は友人です!
私は文にしただけです!
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