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高山李世
SOS
しおりを挟む生徒会の話です。
詳しくは本編の「もしもの生徒会」と「リクエスト」を…!
西原side
ーーー
「せんぱーい、聞いてくださいよ~」
放課後、生徒会室。
仕事が終わってすることも無くて、生徒会役員で他愛ない話をしていた。
「どしたの李世」
「西原先輩!聞いてください!ボク昨日援交してたんですけどー」
………援交、援助交際のことか……。
それなら聞いた事あるし、普通に………………
「って、え"」
援助交際……………………???
「何それどういうこと!!?」
「わっ、慌ててどうしたんですか?」
逆になんでそんな平気そうなのか聞きたいよ…………
「李世まだ16でしょ……?ていうかそういうのはおもむろに話すことじゃないし」
「西原先輩なんでそんな正論言うんですか?なんか今日つまんないですね」
………………スン
「それで……続きを話してくれますか?」
「はい!」
瞬がそんな事を言うなんて珍しくて、そこから何も言えなくなった。
「ボクマグロなのでいつもはリードする側なんです、でも昨日のおじさん妙にテクニックあってー……」
よくもまあそんな話を人前で出来るな…………
保護者なりゅーきですら、聞きたくないのか生徒会の仕事の方にのめり込んでる。
「ほんとびっくりしたなー、急に押し倒されて無理矢理挿れられて…………」
「李世……それテクニックとかの問題じゃなくて力の差とかの問題じゃ…………」
「……どうでもいいんですよ、そんなのー」
なんてめちゃくちゃな…………
「動けないくらいやられちゃって……、あー激しかった……」
「李世……もう喋らないでお願い………」
「今日もすっごい腰が痛いです」
「お願いだから口閉じて!!聞きたくない!!!」
「昨日は真冬も同伴してたんですけど……」
「待ってほんと何してんの!!?」
何援交現場に友達連れてってんだよ……!!
「正直昨日はついてきてほしくなかったですよね………あー、恥ずかしかった」
「そもそもそんな事するのやめた方がいいんじゃ………危ないですよ、李世」
瞬が止めるのに「んー、でも仕方ないんですよ~やめられなくて」って苦笑いする李世。その隣で真冬はいつもと変わらず本を読んでいる。
(なんでやめられないんだろ………やっぱ楽して稼げるから?)
その理由を聞きたかったけど、声を出す前に瞬が、
「やめられない理由は聞かないですけど………気を付けてくださいね、李世に何かあったら真冬、助けてあげてください…!」
そう言って、お決まりの天使の笑顔を見せる。
「………………はいっ!……よろしくね、真冬」
「………」
李世の顔をじっと見つめる真冬。
まあ、真冬だから多分それが肯定ってことかな。
「あ、ところでじゃんけんしませんか?負けた人が全員分のジュース奢りってことで!」
「えーー!やだー!生徒会長に奢らせないでよ!」
「いいですね…!龍輝さんも真冬も、やりましょう!」
けど、
「……」フルフル
真冬が首を横に振る。
「真冬、お金無いの?」
「……」コク
「そっか、じゃあ仕方ないね……!」
真冬はお金が無かったらしく、
「りゅーきも混ざるんだよ」
「……俺も金欠だ」
「昨日小遣い入ったって言ってたじゃん!!」
これ以上人数が減ると負ける確率が上がるので、龍輝も無理矢理混ぜた。
「じゃーんけーん」
「ぽい」と言うのと同時に、皆それぞれ手を出した。
「あ"ーーッ!!なんで皆パーなの!!?」
「西原先輩うるさいです」
「会長……災難ですね」
「………」
何故か他の3人はパーで、俺だけがグーだった。
「……りゅーき誘うんじゃなかった」
「誘ったお前が悪い」
龍輝を誘ったせいで余計な出費が…………
「……」
「……てかりゅーき、何見てんの?」
仕方なく財布を取り出していた時、ふと龍輝が何かを見ながら考え事をしているように見えた。
「あ……いや、後で話すよ」
「……?うん?」
すると、瞬が、
「あれ……李世って手の真ん中にホクロあるんですか?」
そう言って李世の手のひらを見た。
「……!はい、まあ」
………知らなかった。
「えへへ、さっきじゃんけんの時見えたんです」ドヤ
「瞬先輩、目いいですね!」
その会話に、真冬が少しだけ顔を上げていた。
真冬も知らなかったのかな………
ーーー
「じゃあ俺達ジュース買いに行ってくるー」
りゅーきは荷物(ジュース)持ち。
2人で生徒会室を出た。
「ボクもちょっと自撮りしてきますー!援交相手のおじさんにお願いされてて!」
「李世…!!それなんか脅しとかじゃないんですか!?大丈夫ですか……!?」
慌てる瞬に「大丈夫ですよー」と笑って、李世も俺達が出ていったあとに生徒会室を出た。
「…………」
ーーー
「で……さっき何見てたわけ?」
ちゃんとじゃんけんに参加していなかった真冬の分もジュースを買って、龍輝に全部持たせて自販機から帰っている時、龍輝にさっきの話を聞いてみた。
「さっき……瞬が言ってただろ、李世の手の真ん中にホクロがあるって」
…………ああ、なんか言ってたな。
「あれ、多分ホクロじゃなくて………」
「え?」
ーーーーー
(李世side)
「うっ、うぇ、…ヒッ、く………」
トイレの個室に入って、一気に全身の力が抜けた。
「気付いて……気付いてよ………」
誰も、気付いてくれない。
殴られる覚悟で、あの人の前で話したのに。
(せめて……手のひらのこれ、誰か分かってくれてれば)
結局誰も気付いてくれなかった。
その時………トイレの扉が開いた。
「ッ……!!」
あぁ…………あの人だ。
ボクのいる個室の扉がコンコン、と軽く叩かれる。
「っ……!」
そして、それはやがて、
ーーードンッ!!ドン!!!ドンドンドン!!!!
「ひッ………!!」
大きく、強くなっていく。
「ッ……やだぁぁ!!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!!真冬……ごめんなさい!!!」
頭を抱え込んで、目を瞑って必死に謝った。
「お願い…!!許して、ごめんなさい……ごめんなさいぃ……!!!」
ボクの声と比例して、どんどん扉を叩く音が大きくなっていく。
「開けろ」
その冷たい声で………背筋が一瞬で凍った。
「や"……、やだッ、もう……ゆるして」
「開けろ、早く」
呼吸が苦しい………
「先輩!!先輩助けて!!!」
いつもボクの隣にいる人………真冬が、
真冬が、変わってしまった。
脅されて、毎日命令されて、
前まではこんなこと無かったのに………
「……有り得ない。あんなことするなんて」
「ごめん……ごめんなさい」
手のひらの真ん中に黒丸を書いた。
皆の前で援交の話をした。
真冬に怒られると分かって、けどどうしても、
(嫌でもずっと一緒にいる真冬の前で………誰かに直接助けなんて、求められない)
だから、真冬にバレないように考えたのに………
「開けろ…開けろよ、早く」
また………扉が叩かれた。
「……………ッ!!」ビク
誰か………助けて、
だれか「……あ」
個室の扉が開いた。
「………や……だ」
腰が抜けて、立てない。
「………さて、お仕置きだよ……李世。」
ーーーーー
手の真ん中の黒丸については本当の本当に気になった方だけ調べて下さいね~
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