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2❀部活動
16*煩悩まみれ
しおりを挟む買い物する時にいつも利用する近所のスーパーに寄った。
「確か舞茸切らしてたな、お吸い物に必要………」
「っ、とうか待って、なんで人参カゴに入れてるの……?!」
2人で買い物をするのも中学時代からやっている。
寮の1階に食堂があるので朝と夜はそれでもいいんだけど、なんとなく自炊は続けられてるし自室か深月の部屋で食べる方が落ち着くから。
ご飯は朝ご飯は1人で。夜ご飯は深月と一緒に食べることが多い。
たまに深月が作る事もあるし俺が作ることもあって、…まあ作るのは俺の方が多い。
「みつ、好き嫌いしてたら大きくなれないぞ、…あ、ごめん………」
「その謝罪クソムカつくんだけど」
………ちなみに作るのが俺が多い理由は、深月も料理はそこそこ出来るけど包丁の持ち方とか火の取り扱いが危なくて見ててハラハラするから。
1つのカゴにお互いが欲しいものを入れながら歩いた。
「あ、オクラどこだったかな………みつ、オクラ探してきて!」
「はいはい、…人使い荒い」
数分後、オクラと共にチョコレートがカゴに入れられた。
「何これ、お菓子いいって言ってません」
「オクラ探したんだからいーじゃん、労働に対する賃金だよ」
...
「しかも300円って…高………」
仕送り、そんなに多くないんだけど………
ーーー
会計を終えて外に出た時にはもう、外は暗くなっていた。
「帰るか。…あ、夜ご飯、チャーハンで良かった?」
「えー………」
「カニカマ入れるから安心しろ」
暗い夜道を、寮まで歩いて帰った。
ーーー
「ただいまぁ……あー疲れた………」
冷蔵庫に買ったものを移して、それから料理を作り始める。
「ご飯作るから先風呂入ってきなよ 」
「うん、汗かいたし入るねー」
………深月の汗、
(ってやばい煩悩が)
深月は当たり前のように俺の風呂に入って、俺も何も思わずチャーハンを作り始めた。
深月の部屋は隣にあるけど、大体朝と寝る時以外はこっちにいる気がする。
俺もそれで慣れてしまったし…………、………けど、ふと今思った。
(これ…………半同棲じゃん)
一緒にスーパーも行って、ほとんど部屋も一緒で、……風呂も、
「ッ意識しちゃ駄目だ!!!」
まずいと思って咄嗟に叫んだ。
(え、でも、みつって普通に可愛いし…いやそれは律歌達もだけど、…あれ?ていうか友達にこんな感情抱くのももしかしてアウト………??)
…………まずい、理性を保たなくては。
ーーー
ご飯を食べて、俺も風呂に入ろうと着替えを用意していた。
「みつ、好きな時に帰っていいからな、ずっといてもいいけど」
「ん、とうかが寝るまでいるー」
ご飯を食べたあとすぐ横になってスマホをいじりつつ、部屋着があまりに無防備なので俺以外の人の前でしないで欲しいと思いつつ………
(…あれ、やっぱりこれおかしい…??)
なんだかもう、訳分からなくなってきた。
風呂に入って、シャワーだけ浴びてすぐあがったら、テーブルのそばに居たはずの深月が俺のベッドの方に移動して寝てた。
「ッ!!?」
「ん…、……あ、もうあがったの………?」
何してんのこの子…………
「ごめん…寝てた………」
「そ、そう……、」
「ふぁ………、もうかえる…ね、」
ふらふらしながら立ち上がる深月が倒れそうで怖かったので、咄嗟に手を貸してしまった。
「そんなふらふらで廊下で寝られたら困るよ、ほら、乗って」
おんぶしようと背中に乗るよう指示したら、眠かったのか素直に乗ってくれた。
少し重いとは感じるけど、全然持てる範囲。深月は平均よりかなり軽いと思う。
「ん……ありがと、とーか………」
ーーー
深月の部屋に入って、ベッドに寝かせてあげた。
「もう寝てる………」
寝付きいいなと思いつつ、まだ幼い寝顔に癒されていると、ぼやぼやとした寝言が聞こえてきた。
「………?」
「……と………か、
………りに、……いで、
ひとりに………しないで」
……………!
(そういえば最近、部活ばっかりでみつに前より構ってなかったな)
もしかしたらずっと、寂しかったのかもしれない。
「ごめん…絶対1人になんかしないから」
……………こんな俺を、唯一頼ってくれるのに。
絶対1人にしたくないし、なりたくない。
(1人は寂しい……………)
ーーー
翌日。
「って事があってさ、もしかして俺ってやばい?」
昨日の煩悩について遥音に相談した。
「もしかしても何もやばいだろ、手だけは出すなよ」
「なんのフォローもしてくれない………なんとなく分かってたけど」
「優しい言葉言って欲しいなら律歌に相談しろよ」って、…確かにそうだけど。
「あ、そうだ誠一」
「なに?」
「明日は土曜だな!………その、………良ければなんだけどさ」
…………?
「………一緒に買い物、行きたいなって」
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