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ゴブリン特盛温玉付き

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【超音波】【自己強化・血】

(よっ! はっ! せいっ!)

 50体程いるであろうゴブリンの手によって、次々と石や武器が投げつけられる。強化した翼と超音波+視覚による空間認識でそれらを華麗に避け続け、もう5分ほどが経過した。

 なぜ50以上のゴブリンに囲まれるというカオスな状況にいるのか、説明させていただこう。

(まあ、確実なことはなんもわかんないんだけど……)

 首を噛みちぎってオークを倒してからすぐに次のオークを探しに移動していたのだが、その道中で1匹のゴブリンに遭遇。

 無視してもよかったがなんとなく戦いたい気分だったので、体全体を強化してゴブリンに頭突き攻撃を行ってみたのだ。

 すると、頭部に衝撃を受けたゴブリンは意外にも呆気なく気絶し、あっさりと討伐完了。

 ささっと血を回収してオーク探しに戻ろうとしたのだが、なぜか突然俺を囲むように黒いゲートが5つ出現。そして、そのゲートから大量に出てきたゴブリンに囲まれて現在に至る。

 おそらくだが、規定の数のゴブリンを倒してしまったために強制イベントが発生したのだと思う。例えば、100体倒したら~とかそんな感じ。

 ダンジョンものでは割とあるあるの現象である。中ボスが出たきたりとかね。

(いやぁ……出てきたのがゴブリンでマジでよかった)

 黒いゲートが現れたとき、なんかヤバいやつが出てくるのかと思ってかなり警戒してしまった。進化して得た力を試したくはあるが、だからといっていきなり未知の敵と戦うのは嫌すぎる。怖いもん。

 初体験ってなんか嫌いなんだよな。緊張するし、咄嗟の判断で失敗を引きやすいし。場合によってはミスったら大変なことになるし。

(初めて行く道の運転とか、めちゃくちゃ嫌いだったなぁ……)

 初見殺しみたいな道って結構あるし、初見殺しされた結果本当に事故って死亡する案件も少なくないと思う。知らんけど。

 そういう怪しい道やら厳しいルールやら、色々キツイ条件が課せられているのにも関わらず、重要な路面標識とかはほぼ消えて見えなくなってたりとかもあるあるだ。

(久々に運転してえな……)

 前世のことを思い出し、少しだけホームシック。今世は飛べるし車を使うより飛んだほうが便利だろうが、もしも外の世界に車があったら久し振りに運転してみようと思った。そもそも、外の世界がどんな世界なのかすら謎だが。

 色々と考えながらもゴブリンたちの投擲を避け続けていたが、少しずつ投擲の量が少なくなってきていることに気がついた。

 そもそもそんなに投げるものがないということもあり、交代制で投擲をしていたゴブリンたち。投げた結果遠くに行ってしまった石を拾ったり、そこそこ思い棍棒を投げたりして疲れてしまったようだ。

 膝に手をついてハアハア呼吸をしているゴブリンや、汗をダラダラにかいてこちらを睨み付けるゴブリンがそこには存在した。

(えぇ……ゴブリンって汗かくんだ。)

 汗をかいたゴブリンを見るのは初めてである。疲れさせてしまって申し訳ないので、そろそろこちらからも仕掛けることにしよう。

【操血】【自己強化・血】

 操血により血のバスケットボールを生成し、それに自己強化を付与してみた。

 結果は……無事に成功。操作感がよりスムーズになったのと、制御がしやすくなったのを感じる。

 強化の恩恵をありがたく利用して、強化マシマシの血のバスケットボールを完成させる。そしてそれをゴブリン集団へ接近させ、ぶんぶんと振り回す。

 血のバスケットボールの耐久性がゴブリンの防御力、抵抗力を上回った結果、体の一部を吹き飛ばされるゴブリンが大量発生した。

(キモチェェェェェ! 久々のボウリング楽しィィィ!)

 というわけで、あっさりとゴブリン50体を制圧。かなり楽に倒せたし爽快感があってよかったのだが、身体を欠損させてしまうのは流血してしまうというデメリットがあった。

 なので50体以上倒したのにも関わらず、採れた血の量は30体分程。結構無駄にしてしまった感があるが、まあゴブリンの血だし別に良いか。

【ステータス】
名前 なし
種族 ハイ・ブラッドバット
レベル 2/30
体力 F
魔力 E
攻撃力 F
防御力 F
素早さ F

スキル 
超音波:34
噛みつき:26
吸血:26
操血57
自己回復・血
自己強化・血:4



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