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異常な速度
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前回、セクシャルがチートデイを行ってから数ヶ月が過ぎた。
その間地球の様々な地域を訪れ爆食いの旅を行っていた私だが、セクシャルの監視という任務があるので泣く泣く戻ってきたわけである。
くそ……タッパル? とかいう韓国料理食べてみたかったのに……。
アメリカの筋トレジムにどハマりした結果1ヶ月ほど無駄な時間を過ごすこととなり、そのせいで食べたかった韓国グルメを食べ損ねたのだ。アメリカ……恐ろしい国……。
そんな後悔に暮れる私の意識を取り戻したのは、ズガァァァァァン!という炸裂音だった。
何が起こったのかと音のした方に視線を移すと、魔力の筋肉装甲を纏って木こりをするセクシャルの姿があった。
そうそう。狩猟の仕事を取られて暇になったセクシャルは、最近森の開拓を行っているらしい。
「あぁ……いいぞ。腰の回転の大切さが改めて身に染みる。足先から生み出したエネルギーを腰から上半身への連動でうまく伝え、最後に手首のスナップで木へと開放する……。フッ!」
ズガァァァァァン!
「そう! この感触! 成功した時のこの感触がたまらないな……」
相変わらず変人なこの男は1人でぶつぶつと何かを呟き、気持ちよさそうな顔で木を切り倒していく。
この様子を見るに、多分農作業の時みたいに木を切り倒す運動にも何か可能性を感じたのだろう。
まあ、セクシャルが開拓に携わっているおかげでかなり早いスピードで進んでいるようなので何よりである。
数ヶ月しか経過していないのにも関わらずかなり草原の面積が広くなったし、そこには何やら見覚えのない建物が建設されている。
魔法などファンタジー要素があるとはいえ、機械などがないこの世界においてこの開拓速度は脅威と言ってもいいだろう。
「それじゃあ、俺は一旦牧場へ行くぞ。あとは任せた」
「はい! セクシャル様! 命をかけて開拓を進めます!」
セクシャルが斧を消して、近くの獣人に声をかけた。木こりはこの辺でやめにして、新しくできた施設である牧場へと行くことにしたようだ。
そんなことよりも、相変わらず亜人のセクシャル信仰が恐ろしい。
迫害されるのが当然で飢え死にしそうな環境にいたのに、突然拾ってもらえて衣食住を与えられて金も稼がせてくれるようになったんだから、救世主のように見えて当然か。
しかし、セクシャルは異様に懐いている亜人達に対して「俺様の筋肉の威圧感で亜人までもテイムしてしまった……」とかふざけた認識のようだ。
亜人も人間なのでテイムできるはずがないのだが、セクシャルはそんな常識的なことも知らない。
テイムについて本を5分読んだだけで全て知ったような気になっている男なので、当然である。
どうか、テイムしたと勘違いして亜人を雑に扱い、反逆を起こされて死亡とかいうバッドエンドを迎えるのだけは勘弁して欲しい。原作のセクシャルでも、流石に死亡エンドは用意されてなかったんだからな。頼むよ。
「ウシコ、ウシオ。会いに来たぞー」
セクシャルの悲惨な未来を想像しているうちに、牧場へ到着。到着して早速牛の魔物が居るエリアに行くと、安直過ぎる名前を呼んだ。
てか、牧場できるの早いね。
牧場が出来ているということは牛の魔物達が子供を作れる環境が整ってきているということだし、もう半年~1年後くらいには牛の魔物の赤ちゃんが生まれ、牛乳が採取できるようになる日が来るだろう。
魔物の牛乳から作ったプロテインには個人的に興味があるし、楽しみだな~。
安直過ぎる名前を呼ばれた牛の魔物ことウシコとウシオは、モオモオと吠えてセクシャルを呼んだ。
「ん? どうした?」
いつもなら駆け寄ってくるのに……と1人つぶやいたセクシャルは、少し怪訝な顔をしてウシコ達に近づいていく。
そして、とあるものを見て驚きの表情を浮かべた。
「え、子供産まれてる……」
ウシコとウシオの間には、小さい生まれたてであろう牛の魔物がいたのである。
どうやら、魔物は繁殖速度まで普通とは違うらしい。
その間地球の様々な地域を訪れ爆食いの旅を行っていた私だが、セクシャルの監視という任務があるので泣く泣く戻ってきたわけである。
くそ……タッパル? とかいう韓国料理食べてみたかったのに……。
アメリカの筋トレジムにどハマりした結果1ヶ月ほど無駄な時間を過ごすこととなり、そのせいで食べたかった韓国グルメを食べ損ねたのだ。アメリカ……恐ろしい国……。
そんな後悔に暮れる私の意識を取り戻したのは、ズガァァァァァン!という炸裂音だった。
何が起こったのかと音のした方に視線を移すと、魔力の筋肉装甲を纏って木こりをするセクシャルの姿があった。
そうそう。狩猟の仕事を取られて暇になったセクシャルは、最近森の開拓を行っているらしい。
「あぁ……いいぞ。腰の回転の大切さが改めて身に染みる。足先から生み出したエネルギーを腰から上半身への連動でうまく伝え、最後に手首のスナップで木へと開放する……。フッ!」
ズガァァァァァン!
「そう! この感触! 成功した時のこの感触がたまらないな……」
相変わらず変人なこの男は1人でぶつぶつと何かを呟き、気持ちよさそうな顔で木を切り倒していく。
この様子を見るに、多分農作業の時みたいに木を切り倒す運動にも何か可能性を感じたのだろう。
まあ、セクシャルが開拓に携わっているおかげでかなり早いスピードで進んでいるようなので何よりである。
数ヶ月しか経過していないのにも関わらずかなり草原の面積が広くなったし、そこには何やら見覚えのない建物が建設されている。
魔法などファンタジー要素があるとはいえ、機械などがないこの世界においてこの開拓速度は脅威と言ってもいいだろう。
「それじゃあ、俺は一旦牧場へ行くぞ。あとは任せた」
「はい! セクシャル様! 命をかけて開拓を進めます!」
セクシャルが斧を消して、近くの獣人に声をかけた。木こりはこの辺でやめにして、新しくできた施設である牧場へと行くことにしたようだ。
そんなことよりも、相変わらず亜人のセクシャル信仰が恐ろしい。
迫害されるのが当然で飢え死にしそうな環境にいたのに、突然拾ってもらえて衣食住を与えられて金も稼がせてくれるようになったんだから、救世主のように見えて当然か。
しかし、セクシャルは異様に懐いている亜人達に対して「俺様の筋肉の威圧感で亜人までもテイムしてしまった……」とかふざけた認識のようだ。
亜人も人間なのでテイムできるはずがないのだが、セクシャルはそんな常識的なことも知らない。
テイムについて本を5分読んだだけで全て知ったような気になっている男なので、当然である。
どうか、テイムしたと勘違いして亜人を雑に扱い、反逆を起こされて死亡とかいうバッドエンドを迎えるのだけは勘弁して欲しい。原作のセクシャルでも、流石に死亡エンドは用意されてなかったんだからな。頼むよ。
「ウシコ、ウシオ。会いに来たぞー」
セクシャルの悲惨な未来を想像しているうちに、牧場へ到着。到着して早速牛の魔物が居るエリアに行くと、安直過ぎる名前を呼んだ。
てか、牧場できるの早いね。
牧場が出来ているということは牛の魔物達が子供を作れる環境が整ってきているということだし、もう半年~1年後くらいには牛の魔物の赤ちゃんが生まれ、牛乳が採取できるようになる日が来るだろう。
魔物の牛乳から作ったプロテインには個人的に興味があるし、楽しみだな~。
安直過ぎる名前を呼ばれた牛の魔物ことウシコとウシオは、モオモオと吠えてセクシャルを呼んだ。
「ん? どうした?」
いつもなら駆け寄ってくるのに……と1人つぶやいたセクシャルは、少し怪訝な顔をしてウシコ達に近づいていく。
そして、とあるものを見て驚きの表情を浮かべた。
「え、子供産まれてる……」
ウシコとウシオの間には、小さい生まれたてであろう牛の魔物がいたのである。
どうやら、魔物は繁殖速度まで普通とは違うらしい。
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