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新たな可能性
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アクティとコウセイがセクシャルに身体強化を教えてくれることとなったが、その前に腹が減ったしトレーニング後の栄養補給も必要ということで、食事を取った3人。
改めてセクシャルのトレーニング室に訪れ、授業開始である。
「さて、まず初めに言っておくと、身体強化と一括りに言ってもいろんなやり方があるんだ」
「ふむふむ」
「代表的なもので言うと、魔力を血液のように血管を通して体内で循環させる方法。それから、先ほど俺が使った【強化】のように、魔力で体を覆う方法などがあるね」
「マニアックなのだと、電気系の魔力で脳をいじってリミッターを外すのとかもあるらしいわよ?」
「ふむふむ」
なるほど。まあ何というか、色々と想像通りである。身体強化は異世界テンプレ魔法だしね。この世界も元は日本人の作ったゲームだし、だいたいテンプレ通りか。
その後は詳しい手順などを2人から伝えられ、セクシャルはふむふむbotとなった。こいつ、本当に理解してるのだろうか。
「じゃあ、実際にやってみようか。さっき言った通り、大切なのは魔力の操作精度と想像力だからね」
「おう」
座学は終了。実際にやってみることになったようで、セクシャルは立ったままの状態で目を瞑った。
そしてそのまま集中し、数分後。セクシャルは瞳を開けたかと思うと、バーベルを生成してデットリフトを始める。
「ふんっ!」
※デットリフト……地面に置いたバーベルを、背筋や足の筋肉を使って引き上げる種目。
気合の入った声を出したセクシャルは、550kgのバーベルを軽々と持ち上げ、余裕そうにゆっくりと地面に下ろした。そして、満足したように頷く。
「これは素晴らしいな。MAX重量をこれほど軽々と。今なら、600は上がりそうだな。」
「いやぁ……すごいねセクくん。才能あるよ。普通は初日でできるものじゃないんだけどね……。」
どうやら、セクシャルには身体強化(循環法)の才能があるようだ。
発動させるのに1週間かかる人もいるということを事前にコウセイが言っていたので、流石にこの習得速度には驚いた。
これは勝手な予想だが、前世の知識で体の仕組みなどに詳しいから、より鮮明な想像力が働いてうまくいったんじゃないだろうか。
というか、多分そのはず。だってこいつに魔法の才能とかあるわけないもん。あってほしくない(ひどい)
「ふむ、この方法は必ず全身が強化されるようだな。そもそも血管を通しているのだから全身に巡るのは当たり前だが、一部だけ強化しようと思ってもびくともしない。」
「うん、それ、さっき説明したよね? 何ドヤ顔で語ってんの?」
「正直、あまり聞いてなかった」
「こいつ……」
既に教えられていたはずの知識を、まるで考察してやったかのようにドヤ顔で語るセクシャル。
しっかりと話を聞いていなかったことが露見し、コウセイの顔がワルイヒトになっている。こめかみの血管がバキバキだ。
そんなコウセイを放っておき、次に
体を覆う方法を試すセクシャル。こちらも数分で無事に成功し、またもやデットリフト。
「ふむ。さっきより軽いが、魔力の消費が大きいな。体外に出すことで漏れてムダが発生しているのか? では、コーティングするように覆ってみたら……おお、消費は減った。しかし、体の動きを阻害されて可動域が下がるな……」
ぶつぶつと何やら呟きながら、体を覆う魔力の形を変えて試行錯誤するセクシャル。完全に自分の世界に入ったセクシャルに対して、2人は若干引き気味である。
「なんか、放っておいても良さそうだね」
「そうね……昔っからこうなのよ。好きなことに対しては研究気質というか、オタクというか……。」
「へぇ……。それにしても、セクくんの魔力ってキレイな色してるよね」
「そうそう、いいエメラルド色よね。羨ましい。私の魔力は白というか金というか……とにかく見にくくて映えなくて……」
「うんうん、俺のも真っ赤であんまりなんだよね」
セクシャルにおいてかれた2人の話題は、魔力の色へ。歳の差が12歳くらいあるはずの2人だが、アクティの精神年齢が高いおかげで何とか仲良くできていた。
6歳と18歳が仲良く……文面だけ見ると、犯罪的である。
「そもそも、循環させる意味って何だ? 一度別の方法も試してみよう。細胞一つ一つ、全身に魔力を染み込ませるイメージで……できた! やっぱり、血管に拘らない分こっちの方が強化速度も早くて多くの魔力が込められる。だけど、操作が難しいな……今日から毎日練習しよ」
2人を放って実験に励むセクシャルは、とうとう応用編へと突入した。魔力の形や量、込める場所などを変えて実験することで、それぞれのメリットとデメリットを割り出していった。
ちなみにセクシャルが書いたメモは、字が汚すぎてほぼ解読不可。ある意味機密情報を守るための暗号である。
「じゃあ次に、魔力を筋繊維のようにして体を覆ってみよう……まずは僧帽筋から。次に菱形筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋……」
セクシャルを眺めるのに飽きた2人がプロテインで乾杯を始めた頃、とうとうセクシャルは魔力で筋肉を作り始めた。
これは、筋繊維がどこにどういうふうについているか知ってるからできることである。もしも1からこのことを試みるならば、人体解剖をする必要があった。まさに、前世の記憶ばんざいである。
さて、セクシャルの体に話を戻るが、背中から順番に、順調に筋肉ができてきている。エメラルド色で少し透明の、若干歪な筋肉。
これで色が赤かったら、まさにヒロ○カの敵キャラであるマスキ○ラーである。筋力増強って、普通にチートだよね。出てきた時は絶望したわ。
さて、しばらく時間をかけ、ようやく魔力筋肉が完成した。これぞ、本物の筋肉装甲。魔力操作の練度が低いため少し歪だが、十分カッコいい。
「よし、完成だ。じゃあこの状態で内部の身体強化も発動させて……ふんっ!」
なんと、筋肉装甲だけでは飽き足らず、先ほどやっていた細胞に魔力を染み込ませる方の強化まで同時に行ってみせた。
やはり操作が難しいのか、バグったホログラムのようにセクシャルの筋肉装甲がチカチカと点滅している。しかし、セクシャルは気にせずそのままの状態で無理矢理デットリフト。
前までのMAXは550kgだったのに1000kgをどうにか上げてみせた。
「魔力……面白いな……」
実験は無事に成功。この日、セクシャルは新たな趣味を見つけたらしい。
ただ、この後めちゃくちゃつねられた。
改めてセクシャルのトレーニング室に訪れ、授業開始である。
「さて、まず初めに言っておくと、身体強化と一括りに言ってもいろんなやり方があるんだ」
「ふむふむ」
「代表的なもので言うと、魔力を血液のように血管を通して体内で循環させる方法。それから、先ほど俺が使った【強化】のように、魔力で体を覆う方法などがあるね」
「マニアックなのだと、電気系の魔力で脳をいじってリミッターを外すのとかもあるらしいわよ?」
「ふむふむ」
なるほど。まあ何というか、色々と想像通りである。身体強化は異世界テンプレ魔法だしね。この世界も元は日本人の作ったゲームだし、だいたいテンプレ通りか。
その後は詳しい手順などを2人から伝えられ、セクシャルはふむふむbotとなった。こいつ、本当に理解してるのだろうか。
「じゃあ、実際にやってみようか。さっき言った通り、大切なのは魔力の操作精度と想像力だからね」
「おう」
座学は終了。実際にやってみることになったようで、セクシャルは立ったままの状態で目を瞑った。
そしてそのまま集中し、数分後。セクシャルは瞳を開けたかと思うと、バーベルを生成してデットリフトを始める。
「ふんっ!」
※デットリフト……地面に置いたバーベルを、背筋や足の筋肉を使って引き上げる種目。
気合の入った声を出したセクシャルは、550kgのバーベルを軽々と持ち上げ、余裕そうにゆっくりと地面に下ろした。そして、満足したように頷く。
「これは素晴らしいな。MAX重量をこれほど軽々と。今なら、600は上がりそうだな。」
「いやぁ……すごいねセクくん。才能あるよ。普通は初日でできるものじゃないんだけどね……。」
どうやら、セクシャルには身体強化(循環法)の才能があるようだ。
発動させるのに1週間かかる人もいるということを事前にコウセイが言っていたので、流石にこの習得速度には驚いた。
これは勝手な予想だが、前世の知識で体の仕組みなどに詳しいから、より鮮明な想像力が働いてうまくいったんじゃないだろうか。
というか、多分そのはず。だってこいつに魔法の才能とかあるわけないもん。あってほしくない(ひどい)
「ふむ、この方法は必ず全身が強化されるようだな。そもそも血管を通しているのだから全身に巡るのは当たり前だが、一部だけ強化しようと思ってもびくともしない。」
「うん、それ、さっき説明したよね? 何ドヤ顔で語ってんの?」
「正直、あまり聞いてなかった」
「こいつ……」
既に教えられていたはずの知識を、まるで考察してやったかのようにドヤ顔で語るセクシャル。
しっかりと話を聞いていなかったことが露見し、コウセイの顔がワルイヒトになっている。こめかみの血管がバキバキだ。
そんなコウセイを放っておき、次に
体を覆う方法を試すセクシャル。こちらも数分で無事に成功し、またもやデットリフト。
「ふむ。さっきより軽いが、魔力の消費が大きいな。体外に出すことで漏れてムダが発生しているのか? では、コーティングするように覆ってみたら……おお、消費は減った。しかし、体の動きを阻害されて可動域が下がるな……」
ぶつぶつと何やら呟きながら、体を覆う魔力の形を変えて試行錯誤するセクシャル。完全に自分の世界に入ったセクシャルに対して、2人は若干引き気味である。
「なんか、放っておいても良さそうだね」
「そうね……昔っからこうなのよ。好きなことに対しては研究気質というか、オタクというか……。」
「へぇ……。それにしても、セクくんの魔力ってキレイな色してるよね」
「そうそう、いいエメラルド色よね。羨ましい。私の魔力は白というか金というか……とにかく見にくくて映えなくて……」
「うんうん、俺のも真っ赤であんまりなんだよね」
セクシャルにおいてかれた2人の話題は、魔力の色へ。歳の差が12歳くらいあるはずの2人だが、アクティの精神年齢が高いおかげで何とか仲良くできていた。
6歳と18歳が仲良く……文面だけ見ると、犯罪的である。
「そもそも、循環させる意味って何だ? 一度別の方法も試してみよう。細胞一つ一つ、全身に魔力を染み込ませるイメージで……できた! やっぱり、血管に拘らない分こっちの方が強化速度も早くて多くの魔力が込められる。だけど、操作が難しいな……今日から毎日練習しよ」
2人を放って実験に励むセクシャルは、とうとう応用編へと突入した。魔力の形や量、込める場所などを変えて実験することで、それぞれのメリットとデメリットを割り出していった。
ちなみにセクシャルが書いたメモは、字が汚すぎてほぼ解読不可。ある意味機密情報を守るための暗号である。
「じゃあ次に、魔力を筋繊維のようにして体を覆ってみよう……まずは僧帽筋から。次に菱形筋、大円筋、広背筋、脊柱起立筋……」
セクシャルを眺めるのに飽きた2人がプロテインで乾杯を始めた頃、とうとうセクシャルは魔力で筋肉を作り始めた。
これは、筋繊維がどこにどういうふうについているか知ってるからできることである。もしも1からこのことを試みるならば、人体解剖をする必要があった。まさに、前世の記憶ばんざいである。
さて、セクシャルの体に話を戻るが、背中から順番に、順調に筋肉ができてきている。エメラルド色で少し透明の、若干歪な筋肉。
これで色が赤かったら、まさにヒロ○カの敵キャラであるマスキ○ラーである。筋力増強って、普通にチートだよね。出てきた時は絶望したわ。
さて、しばらく時間をかけ、ようやく魔力筋肉が完成した。これぞ、本物の筋肉装甲。魔力操作の練度が低いため少し歪だが、十分カッコいい。
「よし、完成だ。じゃあこの状態で内部の身体強化も発動させて……ふんっ!」
なんと、筋肉装甲だけでは飽き足らず、先ほどやっていた細胞に魔力を染み込ませる方の強化まで同時に行ってみせた。
やはり操作が難しいのか、バグったホログラムのようにセクシャルの筋肉装甲がチカチカと点滅している。しかし、セクシャルは気にせずそのままの状態で無理矢理デットリフト。
前までのMAXは550kgだったのに1000kgをどうにか上げてみせた。
「魔力……面白いな……」
実験は無事に成功。この日、セクシャルは新たな趣味を見つけたらしい。
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