14 / 32
パンプさせたら懐かれて草
しおりを挟む
アクティの誕生日パーティーに参加した数日後。
ハラスメント領に帰宅し、筋トレライフを満喫しようとしていたセクシャルを尋ねる者達がいた。
「アクティ様! どうぞこちらへ、セクシャル様のところまでご案内いたします」
「ええ、ありがとう」
まず1人、アクティ・レストである。
そのままアクティは屋敷のものに案内され、セクシャルの部屋に到着。コンコンコン、と礼儀正しく3回ノックをしてみせた。
「セク? 入るわよ?」
「来い! 来い! もう1発!」
「? よく分からないけど、入るわよ」
そしてアクティが部屋に入ると……なぜかそこには、先日セクシャルに絡んでいたはずのコウセイ・ワルイヒトがいた。
それに、なんだか仲良さげに筋トレをしているではないか。
アクティは表情を疑問に染め、ズコズコとセクシャルに近づいていった。
「ちょっと! せっかく遊びにきたのになんでコイツがいるのよ!」
「おお、誰かと思ったらアクティ。きてたのか」
「来てたのか。じゃないわよ! 今日から遊びに行くって、お手紙出したじゃない!」
「……」
「あんたまさか!」
【悲報】アクティさん、部屋に入って第一声で一応貴族のコウセイくんをコイツ呼ばわりしてしまう。
せっかく遊びに来たのに他にも知らない人が遊びに来ていたものだから、若干キレ気味のアクティ。
そこに追い討ちをかけるように、セクシャルはアクティか送ったという手紙を読んでいないことがバレた。ガチギレである。
幼く、細く、白く可憐で華やかなはずのアクティ。神々しい金色の髪の毛と能力も相まって、原作ではテンプレの聖女様と呼ばれていたアクティが、今は悪魔のような形相をしている。
そのままの勢いでアクティがセクシャルを殺害しようとした時、アクティを宥めるものが存在した。コウセイ・ワルイヒトくんである。
「まあまあアクティ嬢落ち着いて。」
「そもそもあんたはなんなのよ! あんなにセクに絡んでたくせに、何仲良く筋トレしてんのよ!」
「いやぁ、あの時は本当にすまなかった。でもね、俺はあの時セクくんに筋トレの気持ちよさを教えてもらったんだ……。翌日訪れる筋肉痛すらもが気持ちいい。努力が目に見える形で現れるなんて、こんな素晴らしいことはないよ。ほら、僕の腕、少し太くなったと思わない?」
謝罪から始まり、コイツまともなんじゃね?と思わせておきながら、途中から気持ちよさそうな顔で筋トレの良さを語って見せるコウセイ。
やっべ、またイカレキャラが1人増えた。こいつ、原作だとイジワルする系のイケメンドSキャラみたいな感じだったはずなんだがな。
何が起こってしまったのか、気持ち悪い惚け顔のまま腕に力を入れ、筋肉アピールをして見せた。
「あんたの素の腕の太さなんて知らないわよ。」
「いや、それはパンプアップしてるだけだ。たった数日のトレーニングで体が変わると思うな。しばくぞ。」
「あ、はい……。」
庇ってあげたはずのセクシャルからも非難されるコウセイ。落ち込んだ姿が悲惨である。
だが、そんな数日で筋肉がつくはずがないという意見には同意である。調子乗んなよ。
「だが、お前はフォームがキレイで見込みがある。さあ、もう1セットやるぞ」
「おう! よっしゃぁ!」
セクシャル、恐ろしい子……! 一旦落としてから上げる。飴と鞭を使いこなし、疲弊しきっていたコウセイにもう1セット筋トレをさせるつもりである。
そして、単純なコウセイは喜んでそれに引っかかった。まあ、筋トレ楽しいしね。
そんな感じで、キレていたはずのアクティを放置して再び筋トレを再開しようとする男2人。
ハラハラしながらアクティの様子を伺うも、この状況を楽しんでいるように見えた。
セクシャルのようなバカと幼い頃から仲良くしているくらいなのだから、この子も普通ではないみたい。
「よし、これで100キロだ。いけるな?」
「頑張るよ、もし潰れたら頼むね?」
「任せておけ、俺の補助は一流だ」
どうやら、コウセイがベンチプレス100キロに挑戦するらしい。
先程まで80キロで散々追い込んでいたのだから、筋肉と神経に疲労がかなり残っていることだろう。その状況で100キロをあげられるとは思わないが、どうだろうか。
それと、セクシャル。お前ぼっち家トレーニーだろ。補助なんかしたことないだろどうせ。
「スーーーッ!」
そして、コウセイは息を大量に吸い込み腹圧をかけ、100キロに挑戦を始めた。
セクシャルがフォームを褒めていたように、初心者とは思えないほどのキレイなフォームでバーベルを下ろしていく。
貴族の子息などは元より剣術などを学び鍛えているものが多いからか、基礎筋力や体幹部の筋力が発達しているように見えた。そのおかげで出せるキレイなフォームである。
「ふんっ! ぐ……ぐぁぁぁぁ!」
そして、胸の前でバーベルを一時停止させ、一気に半分まで挙上した。
しかし、そこからがなかなか上がらないのがベンチプレス。プルプルと震えながらなんとか上げようと粘るが、途中でフッと力が抜けた。
セクシャルもコウセイが潰れたかと思ったようで手をスッとバーベルに添えた。
しかし、次の瞬間。コウセイの体が赤色にゆらめくオーラを纏った。
そして、先程までのが嘘だったかのように軽々と挙上。そこから10回ほどさらにあげてみせたのである。
「なんだと……!?」
この時、セクシャルは新たなる可能性を目にしたらしい。
ハラスメント領に帰宅し、筋トレライフを満喫しようとしていたセクシャルを尋ねる者達がいた。
「アクティ様! どうぞこちらへ、セクシャル様のところまでご案内いたします」
「ええ、ありがとう」
まず1人、アクティ・レストである。
そのままアクティは屋敷のものに案内され、セクシャルの部屋に到着。コンコンコン、と礼儀正しく3回ノックをしてみせた。
「セク? 入るわよ?」
「来い! 来い! もう1発!」
「? よく分からないけど、入るわよ」
そしてアクティが部屋に入ると……なぜかそこには、先日セクシャルに絡んでいたはずのコウセイ・ワルイヒトがいた。
それに、なんだか仲良さげに筋トレをしているではないか。
アクティは表情を疑問に染め、ズコズコとセクシャルに近づいていった。
「ちょっと! せっかく遊びにきたのになんでコイツがいるのよ!」
「おお、誰かと思ったらアクティ。きてたのか」
「来てたのか。じゃないわよ! 今日から遊びに行くって、お手紙出したじゃない!」
「……」
「あんたまさか!」
【悲報】アクティさん、部屋に入って第一声で一応貴族のコウセイくんをコイツ呼ばわりしてしまう。
せっかく遊びに来たのに他にも知らない人が遊びに来ていたものだから、若干キレ気味のアクティ。
そこに追い討ちをかけるように、セクシャルはアクティか送ったという手紙を読んでいないことがバレた。ガチギレである。
幼く、細く、白く可憐で華やかなはずのアクティ。神々しい金色の髪の毛と能力も相まって、原作ではテンプレの聖女様と呼ばれていたアクティが、今は悪魔のような形相をしている。
そのままの勢いでアクティがセクシャルを殺害しようとした時、アクティを宥めるものが存在した。コウセイ・ワルイヒトくんである。
「まあまあアクティ嬢落ち着いて。」
「そもそもあんたはなんなのよ! あんなにセクに絡んでたくせに、何仲良く筋トレしてんのよ!」
「いやぁ、あの時は本当にすまなかった。でもね、俺はあの時セクくんに筋トレの気持ちよさを教えてもらったんだ……。翌日訪れる筋肉痛すらもが気持ちいい。努力が目に見える形で現れるなんて、こんな素晴らしいことはないよ。ほら、僕の腕、少し太くなったと思わない?」
謝罪から始まり、コイツまともなんじゃね?と思わせておきながら、途中から気持ちよさそうな顔で筋トレの良さを語って見せるコウセイ。
やっべ、またイカレキャラが1人増えた。こいつ、原作だとイジワルする系のイケメンドSキャラみたいな感じだったはずなんだがな。
何が起こってしまったのか、気持ち悪い惚け顔のまま腕に力を入れ、筋肉アピールをして見せた。
「あんたの素の腕の太さなんて知らないわよ。」
「いや、それはパンプアップしてるだけだ。たった数日のトレーニングで体が変わると思うな。しばくぞ。」
「あ、はい……。」
庇ってあげたはずのセクシャルからも非難されるコウセイ。落ち込んだ姿が悲惨である。
だが、そんな数日で筋肉がつくはずがないという意見には同意である。調子乗んなよ。
「だが、お前はフォームがキレイで見込みがある。さあ、もう1セットやるぞ」
「おう! よっしゃぁ!」
セクシャル、恐ろしい子……! 一旦落としてから上げる。飴と鞭を使いこなし、疲弊しきっていたコウセイにもう1セット筋トレをさせるつもりである。
そして、単純なコウセイは喜んでそれに引っかかった。まあ、筋トレ楽しいしね。
そんな感じで、キレていたはずのアクティを放置して再び筋トレを再開しようとする男2人。
ハラハラしながらアクティの様子を伺うも、この状況を楽しんでいるように見えた。
セクシャルのようなバカと幼い頃から仲良くしているくらいなのだから、この子も普通ではないみたい。
「よし、これで100キロだ。いけるな?」
「頑張るよ、もし潰れたら頼むね?」
「任せておけ、俺の補助は一流だ」
どうやら、コウセイがベンチプレス100キロに挑戦するらしい。
先程まで80キロで散々追い込んでいたのだから、筋肉と神経に疲労がかなり残っていることだろう。その状況で100キロをあげられるとは思わないが、どうだろうか。
それと、セクシャル。お前ぼっち家トレーニーだろ。補助なんかしたことないだろどうせ。
「スーーーッ!」
そして、コウセイは息を大量に吸い込み腹圧をかけ、100キロに挑戦を始めた。
セクシャルがフォームを褒めていたように、初心者とは思えないほどのキレイなフォームでバーベルを下ろしていく。
貴族の子息などは元より剣術などを学び鍛えているものが多いからか、基礎筋力や体幹部の筋力が発達しているように見えた。そのおかげで出せるキレイなフォームである。
「ふんっ! ぐ……ぐぁぁぁぁ!」
そして、胸の前でバーベルを一時停止させ、一気に半分まで挙上した。
しかし、そこからがなかなか上がらないのがベンチプレス。プルプルと震えながらなんとか上げようと粘るが、途中でフッと力が抜けた。
セクシャルもコウセイが潰れたかと思ったようで手をスッとバーベルに添えた。
しかし、次の瞬間。コウセイの体が赤色にゆらめくオーラを纏った。
そして、先程までのが嘘だったかのように軽々と挙上。そこから10回ほどさらにあげてみせたのである。
「なんだと……!?」
この時、セクシャルは新たなる可能性を目にしたらしい。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】
雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。
そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!
気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?
するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。
だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──
でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる