5 / 32
ダンジョンから帰宅ぅ!
しおりを挟む
レベルアップの影響によって身長が伸び、服を失ったセクシャルは、腰に布を巻いた状態でダンジョンから帰還した。
全裸で街中を歩かれたら溜まったものではない。一応の常識はあるみたいで安心である。
「あぁ……帰ったら何からやろうかな……安定にベンチプレスから? それともデットリフト? いや、先に疲れるスクワットをやっておこうか……」
上裸でダンジョンからの帰り道である上級街を練り歩いていくセクシャル。何やらぶつぶつと独り言を呟いているし、普通に考えたら不審者として通報されてもおかしくないところではあるが……。
「やだ、すっごいイケメンじゃない?」
「筋肉すっご……」
「……ジュルリ」
すれ違う人……特に女性たちは、整った顔立ちと美しい筋肉に見惚れてお熱である。
騙されないで! そいつの中身は怪しい粉末を大量摂取して白目剥いてるようなやつだから!
※上級街……金持ちが集まる地域のこと。上級街の他に、商店街や貧民街などが存在する。
そうして、何とか通報されることなく屋敷に到着したセクシャルであるが、いくつか問題があるのを忘れてはなかろうか。
まず、レベルアップで背が伸びたせいでまるで別人のようであること。顔のパーツ自体はそこまで変化していないものの、やはり背が伸びるというのはそれだけでガラッと印象を変えるものである。
それから、上裸であること。普通、貴族の家に裸怪しいの人間を入れるはずがない。さて、それを機にすることもなくズンズンと屋敷の入り口である門に向かって進んでいくセクシャルであるが、一体どうなることやら。
「失礼。確認させていただきますが、セクシャル様でお間違いないでしょうか?」
ほらぁ、やっぱり門番に止められてやんの! と思いきや、まさかの本人確認。普通気づかんやろ、門番すごくね。
「そうだが、どうかしたか?」
「いえ、今朝よりもだいぶ大きくなられていたので……」
やはり、有能門番くんもセクシャルの成長について疑問は持っていたようだ。
しかしよく考えてみると、セクシャルの髪色はピンク系統で特徴的だし、瞳も珍しい紫色。そして何より、この領地にここまで筋肉がついていて絞れている人間は他にいない。事前にセクシャルがダンジョンに行くことを伝えいたこともあり、有能門番くんは何とか答えを捻り出したのだろう。
「あぁ、すまない。今朝伝えたと思うが、ダンジョンに行ってきた。それで、レベルアップの効果でこうなったんだ。」
「成程、無事にレベルアップできたようで安心いたしました。おめでとうございます」
「「「おめでとうございます!」」」
セクシャルが無事にレベルアップでき、気持ち悪い筋肉ダルマを解消できたことを知ると、有能門番とその他の門番が祝福を告げた。
「屋敷のものがセクシャル様を見間違えることはないと思うのですが、一応このことをアナウンスしてもよろしいでしょうか。」
「あぁ、そうだな。勘違いされたら面倒だし、よろしく頼むよ」
「では、こちらに魔力印をお願いいたします……」
やはり、有能門番は有能だった。セクシャルの変わり果てた姿を見て屋敷が混乱するのを防ぐため、予めセクシャルの姿を周知させてくれるらしい。
そして、屋敷のアナウンス装置を使うための魔力印を求めることで、本当にこいつがセクシャルなのかを確認してみせた。ぐう有能である。
※魔力印……指紋みたいなもので、人にはその人特有の魔力の形が存在する。 その形は変えることができないので、本人確認などの際によく用いられる。
有能門番のおかげで無事に屋敷に帰還することができたセクシャルだが、屋敷に帰ると早速訓練室へ向かった。
全裸で街中を歩かれたら溜まったものではない。一応の常識はあるみたいで安心である。
「あぁ……帰ったら何からやろうかな……安定にベンチプレスから? それともデットリフト? いや、先に疲れるスクワットをやっておこうか……」
上裸でダンジョンからの帰り道である上級街を練り歩いていくセクシャル。何やらぶつぶつと独り言を呟いているし、普通に考えたら不審者として通報されてもおかしくないところではあるが……。
「やだ、すっごいイケメンじゃない?」
「筋肉すっご……」
「……ジュルリ」
すれ違う人……特に女性たちは、整った顔立ちと美しい筋肉に見惚れてお熱である。
騙されないで! そいつの中身は怪しい粉末を大量摂取して白目剥いてるようなやつだから!
※上級街……金持ちが集まる地域のこと。上級街の他に、商店街や貧民街などが存在する。
そうして、何とか通報されることなく屋敷に到着したセクシャルであるが、いくつか問題があるのを忘れてはなかろうか。
まず、レベルアップで背が伸びたせいでまるで別人のようであること。顔のパーツ自体はそこまで変化していないものの、やはり背が伸びるというのはそれだけでガラッと印象を変えるものである。
それから、上裸であること。普通、貴族の家に裸怪しいの人間を入れるはずがない。さて、それを機にすることもなくズンズンと屋敷の入り口である門に向かって進んでいくセクシャルであるが、一体どうなることやら。
「失礼。確認させていただきますが、セクシャル様でお間違いないでしょうか?」
ほらぁ、やっぱり門番に止められてやんの! と思いきや、まさかの本人確認。普通気づかんやろ、門番すごくね。
「そうだが、どうかしたか?」
「いえ、今朝よりもだいぶ大きくなられていたので……」
やはり、有能門番くんもセクシャルの成長について疑問は持っていたようだ。
しかしよく考えてみると、セクシャルの髪色はピンク系統で特徴的だし、瞳も珍しい紫色。そして何より、この領地にここまで筋肉がついていて絞れている人間は他にいない。事前にセクシャルがダンジョンに行くことを伝えいたこともあり、有能門番くんは何とか答えを捻り出したのだろう。
「あぁ、すまない。今朝伝えたと思うが、ダンジョンに行ってきた。それで、レベルアップの効果でこうなったんだ。」
「成程、無事にレベルアップできたようで安心いたしました。おめでとうございます」
「「「おめでとうございます!」」」
セクシャルが無事にレベルアップでき、気持ち悪い筋肉ダルマを解消できたことを知ると、有能門番とその他の門番が祝福を告げた。
「屋敷のものがセクシャル様を見間違えることはないと思うのですが、一応このことをアナウンスしてもよろしいでしょうか。」
「あぁ、そうだな。勘違いされたら面倒だし、よろしく頼むよ」
「では、こちらに魔力印をお願いいたします……」
やはり、有能門番は有能だった。セクシャルの変わり果てた姿を見て屋敷が混乱するのを防ぐため、予めセクシャルの姿を周知させてくれるらしい。
そして、屋敷のアナウンス装置を使うための魔力印を求めることで、本当にこいつがセクシャルなのかを確認してみせた。ぐう有能である。
※魔力印……指紋みたいなもので、人にはその人特有の魔力の形が存在する。 その形は変えることができないので、本人確認などの際によく用いられる。
有能門番のおかげで無事に屋敷に帰還することができたセクシャルだが、屋敷に帰ると早速訓練室へ向かった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。


調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる