エロゲーの悪役に転生しても筋トレしかしない様子

タバスコ

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脳筋、赤子に転生する

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 とある日本のエロゲーに、めちゃくちゃ気持ち悪い豚のようなキャラクターが存在した。

 一族全員が性格破綻者で構成されている【ハラスメント公爵家】の三男となるセクシャル・ハラスメントである。

 そのエロゲーの中でのセクシャル・ハラスメントの役割は、ヒロイン等主人公の周囲の女ににセクハラをすること。つまり、お色気シーンを演出するために存在する悪役としてのポジションを担っていた。

 このエチチな役割を与えられたセクシャルは、それはそれは楽しそうにセクハラライフを堪能していたのだが、不運なことにこのゲームは即サービス終了。内容的に生々しいところを攻めすぎて、過激派のフェミさんたちに潰されてしまったらしい。カワイソスだね。

 しかし、物好きな神様もいるもので、このエロゲーの世界は、宇宙のとある星に移植されることとなった。

 その神様の名前はエチ神。こよなくエロ を愛する神だそうで、同じくエロを愛していたセクシャルを気に入ったらしい。

 そしてエロゲー世界の舞台は、神様のお気に入りであるセクシャルが誕生したところから始まったのである。

 きっとこの神様、キモ男シリーズとか好きなんだろうなぁ……。
 

◇◇◇
 

 生まれた瞬間、セクシャルは母親であるジェンダー・ハラスメントの乳にむしゃぶりついた。(キモい)

 通常、生後1日の赤子は検査を受けたりとか色々されるわけで、こんなふうに独立して動いたり乳首にむしゃぶりついたりするようなことはしないはずなのだが……流石は性欲の化身と呼ばれし男。赤子にして、そして実の母親に対してこの貪欲さ。これには、エチ神もにっこり。ご満悦である。

「おお! これはこれは、元気な子ですなぁ」
「ええ、流石は私の子供ですわ。男の子なんですから、大きく強く育ってもらわないといけませんわ。」
「うふふ、可愛いですねぇ~」
 
 外野も呑気なものである。普通の母親ならば、ドン引きとまでは行かなくとも驚いたりなんらかのリアクションを見せるところだろうが、この落ち着き。そして、さり気なくジェンダーハラスメントの片鱗を示して見せた。母は強し。


※ジェンダーハラスメント……性別差別みたいなもの。

 
 そして、数分後。母乳が出なくなるまでブツを吸い尽くしたセクシャルは乳首から口を離し、何か物足りなさそうな表情をしながら胸をぽんぽんと叩いた。

 一体どうしたのだろうか。母乳はなくとも乳首はそこにあるのだから、遠慮せずにしゃぶっていればいいものを。

 もしや、チチモクかと思いきやボニュ(自主規制)

 セクシャルくんはこの歳にして「母乳の出ない乳になど価値はない」という特殊性癖を目覚めさせてしまったのだろうか。流石はセクシャル・ハラスメント。全く末恐ろしい子である。

「こいつは逸材だ! 手間かけてこの世界を作った甲斐があった!」

 そんなセクシャルの様子を天界から覗いていたエチ神だが、勢いよく立ち上がってガッツポーズをかまして大喜びの様子。

 と、その時。セクシャルは胸から手を離したと思うと、空に手を向けた。

「お、おいおいまさか!? 生後数分にしてヤってしまうのか!? 実の母親相手だぞ!?(歓喜)」

 エチ神はセクシャルが何をしようとしているのかわかったようである。ちなみに私もわかった。わかってしまった……。

 セクシャル・ハラスメントが虚空に手を向ける瞬間といえば、だいたいが能力を発動する時である。

 そして、セクシャル・ハラスメントの能力は【創造】。魔力を対価に色々なものを作り出す能力である。

 ファンタジーの世界観に媚薬やローター、バイブなどを登場させるためにセクに搭載された、かなりご都合主義のチート級能力。

 実際、短い期間ではあったが、ゲームの中でセクシャルはこの能力を使ってヒロインたち相手に大暴れしていた。

 まあ、あれはゲームの中の話だし、一応同年代の子相手だし多分セーフ(?)なんだけども、流石に実の母親はキツい。

 止まれ! 止まれセク!必死に念を送るも、セクシャルは止まらなかった。虚空に伸ばした手を緑色に輝かせ、ブツを創造したのだ。

「こい! こい! ローションか? バイブか? それとも『永◯マ◯アがちくびを吸われてイ◯ちゃった!電動ニップル◯ック』か!?」
 
 瞳を輝かせてセクシャルを見守るエチ神。しかし、セクシャルが作り出したのは……蓋付きのコップと謎の粉。そしてそこに水を200mlほど追加すると、4本の手足を上手に使ってコップをシェイクし始めた。

「こ、これは……まさか、プロテイン?」

 粉を先に入れてしまったせいでうまくプロテインが溶け切らずイライラしているセクシャル。

 そして、誕生直後にもかかわらず能力を使いこなすセクシャルを褒め称えている周囲の大人たちを視界に収めながらも、エチ神は呆然としていた。

「な…….なんで。なにかがおかしい。プロテイン……筋肉? どういうことだ? もしや、乳首にしゃぶりついたのは、栄養補給のため……?」

 動揺しながらも必死に頭を回転させるエチ神。そして、次の瞬間。エチ神は、自分を見ながらニヤニヤしている筋肉神の姿を捉えた。

「まさかとは思ったが、筋肉神……貴様の仕業か!」

「おう! あいつの身体は異常なほどにテストステロン値(男性ホルモン)が高い! つまり、筋トレに最適な身体ということだ! だというのに筋トレしないでセクハラに開けくれる人生だ? そんなことはありえねえ! だから、あいつの身体の中にキン・ニクオの魂をぶち込んでおいた! 任せておけ!(?)」

 先程からのセクシャルくんの奇行はどうやら、筋肉神の仕業だったらしい。キモ男によるセクハラパレードを描写しなくて済むのはこちらとしても助かるのだが……エチ神からするとそうはいかない。

 エロゲー時代からセクを可愛がり、彼のセクハラライフのためにわざわざ新しい世界を一つ作ったのだ。それなのにキン・ニクオとかいうふざけた名前の男のせいでセクは狂ってしまったのだ。(元から狂ってる)

 これには、流石のエチ神もブチギレである。

「貴様ぁぁぁぁぁぁァァァァ!!」

 
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