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美人魔族受付嬢と作戦
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「ヴァリアンさん、遅かったですね?」
全力で駆けること1分。ようやく冒険者ギルドに到着した。
遅刻した分際で堂々と入っていくのもなんだか気まずかったので、裏口からこっそり侵入しようと考えていたのだが……美人魔族受付嬢ことリリアさんに見つかってしまった。
「あはは……実は狼達とトラブルがありまして」
「10分ほど前には到着の知らせが来ていましたが……遅かったですね?」
この人、相変わらず真顔で怖いんだよなぁ。街のみんなとはだいぶ打ち解けることが出来てきたが、この人だけは未だに苦手だ。
表情が全く動かないため何を考えているのか全くわからないし、顔が整っているせいか威圧感を感じる。
今はなんとなく怒っているような雰囲気を感じたので誤魔化そうとしたのだが……失敗した。
そりゃそうだよな。一応俺もSランクだし、あんな目立つ登場の仕方をすれば報告の一つくらい入るよなぁ。
「ははは……少し話し込んでしまいまして。それより、他の皆さんはどこに?」
「……はぁ。ご案内いたします」
話をすり替えると、呆れたような雰囲気に変わった。うぅ……申し訳ねえ……。
「……ありがとうございます」
うぅ……気まずい。ほんと、この人だけには見つかりたくなかったんだけどなぁ。蝙蝠系の魔族だと聞いているので、音による感知能力にでも優れているのだろうか。
「お、ヴァリアン! よく来たな! 助かるぜぇ」
リリアさんの案内の元、作戦会議の行われている部屋に到着した。
入った途端に声をかけてきたのは、冒険者ギルド魔法都市カステル支部ギルドマスターのケンさん。
スキンヘッドが似合う豪快な性格をしていて、見た目もかなりごつい。肩とかメロンみたいだし、流石は元Sランクの冒険者である。
「いえ、遅れてしまってすみません」
「ん? 間に合ったんだからいいじゃねえか。もしかして、リリアに怒られちまったか? ウァッハッハ!」
「ははは……」
遅刻してしまったので一応謝罪をすると、全く気にしていないような口ぶりでそう言った。
遅刻を笑い飛ばしてくれるのはありがたいんだが……リリアさん本人の前でそういうことを言われるとさらに気まずいのでやめていただきたい。
「それじゃ、全員配置についてくれ! ヴァリアンへの説明は俺がしておく」
気まずさに耐えかねているとケンさんが冒険者達に指示を飛ばし始めた。配置につけ……と言うことは、もう結構近くまで魔物は迫ってきているんだろうか?
「じゃ、軽く作戦を説明していくぜ。今回の危険度がSSなのは知っているな? 通常通りの作戦じゃ幾つ命があっても足りねぇ。そこで、今回は都市の壁を最大限に活用して戦っていくこととなった。配置と役割はこうだ……」
なるほど。通常のスタンピートでは、冒険者達が打って出て魔物を討伐していくのだが、今回は街の壁を犠牲にすることによって、冒険者達の被害を抑える作戦に決めたようだ。実に懸命な作戦だと思う。
この作戦を実行するための役割は主に4つあり、壊れた壁を修復する土系魔法使いの部隊、遠距離攻撃部隊、壊れた壁から侵入してくる敵を倒す近接部隊、物品の補給などを行う補助部隊。
今回俺はどの部隊にも配置されず、全体を見て手がまわっていなさそうなところを助けるようにと指示を与えられた。
それから、トパーズウルフは壁の修復部隊へ。
ルビー、サファイア、アメジストウルフは遠距離攻撃部隊へ。
鉄、銅、銀、金狼は近接と補助部隊へ。
ダイヤとエメラルドウルフは全部隊に適当に配置し、バフによって支援をしてもらうことにした。
スタンピートの到着予想まであと10分。すでに、大地の揺れが伝わってくるようになった。やれるだけのことは準備しておこうか。
大量の魔力ポーションを抱え、南口へ向かった。
全力で駆けること1分。ようやく冒険者ギルドに到着した。
遅刻した分際で堂々と入っていくのもなんだか気まずかったので、裏口からこっそり侵入しようと考えていたのだが……美人魔族受付嬢ことリリアさんに見つかってしまった。
「あはは……実は狼達とトラブルがありまして」
「10分ほど前には到着の知らせが来ていましたが……遅かったですね?」
この人、相変わらず真顔で怖いんだよなぁ。街のみんなとはだいぶ打ち解けることが出来てきたが、この人だけは未だに苦手だ。
表情が全く動かないため何を考えているのか全くわからないし、顔が整っているせいか威圧感を感じる。
今はなんとなく怒っているような雰囲気を感じたので誤魔化そうとしたのだが……失敗した。
そりゃそうだよな。一応俺もSランクだし、あんな目立つ登場の仕方をすれば報告の一つくらい入るよなぁ。
「ははは……少し話し込んでしまいまして。それより、他の皆さんはどこに?」
「……はぁ。ご案内いたします」
話をすり替えると、呆れたような雰囲気に変わった。うぅ……申し訳ねえ……。
「……ありがとうございます」
うぅ……気まずい。ほんと、この人だけには見つかりたくなかったんだけどなぁ。蝙蝠系の魔族だと聞いているので、音による感知能力にでも優れているのだろうか。
「お、ヴァリアン! よく来たな! 助かるぜぇ」
リリアさんの案内の元、作戦会議の行われている部屋に到着した。
入った途端に声をかけてきたのは、冒険者ギルド魔法都市カステル支部ギルドマスターのケンさん。
スキンヘッドが似合う豪快な性格をしていて、見た目もかなりごつい。肩とかメロンみたいだし、流石は元Sランクの冒険者である。
「いえ、遅れてしまってすみません」
「ん? 間に合ったんだからいいじゃねえか。もしかして、リリアに怒られちまったか? ウァッハッハ!」
「ははは……」
遅刻してしまったので一応謝罪をすると、全く気にしていないような口ぶりでそう言った。
遅刻を笑い飛ばしてくれるのはありがたいんだが……リリアさん本人の前でそういうことを言われるとさらに気まずいのでやめていただきたい。
「それじゃ、全員配置についてくれ! ヴァリアンへの説明は俺がしておく」
気まずさに耐えかねているとケンさんが冒険者達に指示を飛ばし始めた。配置につけ……と言うことは、もう結構近くまで魔物は迫ってきているんだろうか?
「じゃ、軽く作戦を説明していくぜ。今回の危険度がSSなのは知っているな? 通常通りの作戦じゃ幾つ命があっても足りねぇ。そこで、今回は都市の壁を最大限に活用して戦っていくこととなった。配置と役割はこうだ……」
なるほど。通常のスタンピートでは、冒険者達が打って出て魔物を討伐していくのだが、今回は街の壁を犠牲にすることによって、冒険者達の被害を抑える作戦に決めたようだ。実に懸命な作戦だと思う。
この作戦を実行するための役割は主に4つあり、壊れた壁を修復する土系魔法使いの部隊、遠距離攻撃部隊、壊れた壁から侵入してくる敵を倒す近接部隊、物品の補給などを行う補助部隊。
今回俺はどの部隊にも配置されず、全体を見て手がまわっていなさそうなところを助けるようにと指示を与えられた。
それから、トパーズウルフは壁の修復部隊へ。
ルビー、サファイア、アメジストウルフは遠距離攻撃部隊へ。
鉄、銅、銀、金狼は近接と補助部隊へ。
ダイヤとエメラルドウルフは全部隊に適当に配置し、バフによって支援をしてもらうことにした。
スタンピートの到着予想まであと10分。すでに、大地の揺れが伝わってくるようになった。やれるだけのことは準備しておこうか。
大量の魔力ポーションを抱え、南口へ向かった。
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