登録者0人の底辺配信者だった俺が、魔界で配信を始めてみたら人気者になった件

タバスコ

文字の大きさ
上 下
82 / 111

毒の続きとケチ

しおりを挟む
 ダンジョン都市に帰ってきてすぐ、毒のダンジョンへと来ていた。

『てか、配信始めるの早すぎだろ』
『それな?昨日まで王都にいたの知ってるぞ』
『配信してくれるのは嬉しいけど、ちゃんと休んでほしい!』

 ダンジョンへ入ってすぐに配信を始めると、このようなコメントが沢山届いた。

「あはは、本当はもっと休むつもりだったんですが、ダンジョンに潜りたくなってしまったので仕方ないですよね!」

 この言葉に嘘はない。王都での疲労もあるし、本当はもう少しゆっくり休んでから来るつもりだったんだよ。

 しかし、早く配信を見たいというコメントが沢山来ているのを目にし、やる気スイッチが入ってしまったのだ。

 ベッドから飛び起き、準備した数分後にはダンジョンの外に到着していたくらいにはやる気が入っている。
 
『ダンジョン中毒で草』
『流石におもろい』
『王都からの旅とか、俺なら1週間は家でゴロゴロするわ』
『てか、今日も毒のダンジョンなんだね!』

「お、よく気づきましたね! 実は、今日も毒のダンジョンに来ています!」

 当初、毒のダンジョンに潜り始めたのは金稼ぎのためだったので、目標はもう達成しているんだよな。なので、別のダンジョンに潜ることも考えはした。

 しかし、毒属性はまだ倒したことのない魔物が多く、スキル強化も兼ねて潜っているというわけだ。

 21階に降りると、早速倒したことのない魔物を発見した。紫電を纏った巨大な蛇の魔物だ。

 毒属性ダンジョンで雷……おそらく、麻痺毒を与えてくる魔物だろうな。触れないように遠距離から倒そう。

【火龍】

 Bランクの火龍に変化する。今日は攻略速度重視なので、周囲の魔物ごとブレスで一掃してしまおう。 

 喉の奥から熱い炎が込み上げてくるのでそれを喉に止め、圧縮、圧縮、圧縮。圧縮し切ったところで、一気に放出した。

 形作るほど凝縮された炎がレーサーとなり、一帯を焼き払う。

 爆音とともに業火が立ち上がり、このエリアに存在する全ての魔物を焼き尽くしていく。

 炎は魔物を燃料にさらに燃え上がり、空間が歪むほどの陽炎を作り出した。 

『やっべえ』
『強すぎて草』
『素材はちょっと勿体無いけど、こっちの方が爽快感あって気持ちいい!』
『ブレス吐ける人間とかヴァリアンだけやろwww』
『俺の火炎魔法より余裕で強くて泣いた』
『ほんと、各分野でAランク相当の力出せるとか改めて考えるとチートだよな』
『しかも、どんどんファン増えてるし。一年以内にSランクいくやろこれ』
『いやぁ……一年もかかるかすら怪しい』

「いやぁ、やっぱり火属性は気持ちいいですよね! 素材が勿体無いとのコメントを頂いておりますが、今回は攻略速度重視で倒していきますのでご了承ください!」

 毒龍の件で金は稼ぎまくったからな。魔物たちを炭に変えながら、どんどん階層を進んでいく。

しかし、やはりすべてを炭に変えてしまうのはもったいなく感じ、途中から各魔物1.2体ずつくらいは無傷で倒すようにしていった。

『ちゃっかり数体ずつ無傷で倒してて草』
『恐ろしく早い手刀』
『いやぁ、ヴァリアンの気持ちわかるわぁ。』
『んね、なんとなくだけどもったいなく感じちゃうんよね』

 コメントにもある通り、なんとなくケチの血が騒ぐんだよな。こればっかりは仕方のないことである。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...