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帰還と1週間の回想
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1週間後、ようやくダンジョン都市に帰還した。予定では表彰式が終わり次第帰還するつもりだったのだが、色々と予定が入って遅くなってしまったのだ。
脱毛が終わってすぐ、王妃たちに頼まれた石鹸を製造して献上したのだ。彼女達はそれで満足してくれたため、次の日には帰るつもりでいた。
しかし、彼女達が俺の石鹸のレビューを動画として投稿してしまったため、王国中の夫人から詰め寄られるハメになってしまったのだ。
早くダンジョンに潜りたかったため、無視して帰還することも考えた。しかし、王国中の夫人を敵に回すのは怖すぎてできたものではない。
彼女らの権力を持って、印象操作など嫌がらせをされれば、俺のチャンネルは衰退の道を辿ることになるだろう。良くて現状意地である。
この理不尽には流石の俺も腹を立て、王妃達を追及した。
本人達は反省の姿勢を見せたものの『だって自慢したかったんですもの!』『ファンも増えるしいいじゃない!』『そうですよ! 悪かったとは思っていますが、あなたのためも思ってした事なのです』と供述している。
反省しているのかどうか怪しいところではあるが、確かに俺にもメリットがあるのは事実なので怒るに怒れなくなってしまった。
結果、俺はしばらくの間石鹸製造機と化したのである。作りすぎて何個作ったかは覚えていないが、おそらく数万個は作ったと思うな。
しかし、石鹸製造機と言ったら少し語弊があるな。正確には俺は石鹸は作っておらず、ショップで購入した石鹸に再生効果を付与しているだけである。
終わってみれば、拡散してくれた王妃たちに感謝である。原価がかかったので大した利益は出なかったものの、ファンやメンバーが大量に増えたし、大量の夫人達や石鹸の販売業者からかなり感謝された。
やはり、感謝されるというのは気持ちがいいものだ。皆が得をするいい1週間であったな…………あ、そういえば、得をできなかった者たちもいたのを忘れていた。
遡ること7日前、王妃たちの脱毛の翌日のことである。王から相談を受け、王のハゲを治療することになったんだ。方法としては、脱毛の呪いを反転させるだけ。
とても簡単な作業ではあるが、王の髪は一瞬にしてフサフサになった。
面白いくらいにフサフサになりテンションの上がった王に勧められ、一部始終を動画として投稿したんだよな。
その結果、世界中のハゲ男たちから自分もと依頼が殺到したのだ。王都に住むハゲ貴族たちの中には、俺の住む屋敷までわざわざ訪ねてくる者までいた。
流石にこれ以上滞在時間を伸ばしたくなかった俺は、『ハゲの治療に時間をかけると、石鹸や香水の製造ができなくなってしまうかもしれません……』と夫人達に伝えたのだ。
すると、効果的面。妻の尻に敷かれている夫が多いのか、もしくは王妃からの圧力が怖かったのか、ハゲを治せと言ってくる人間が激減したのだ。
そんなこんなでハゲ達の魔の手から逃げ学び、追加滞在期間を1週間にとどめ、ようやく帰還できたというわけだ。
当初は王都を観光するつもりだったのに、なんやかんや全然観光できなかったんだよな。しかし、王都に拠点をゲットしたので、またいずれは王都に行きたいと考えている。
え?あの元幽霊屋敷は貸出じゃなかったかって?
そのはずだったし、俺もそのつもりだった。なので、王都から帰る前にグレッティ商会を訪ね、用意してくれた屋敷返却しに行ったんだが、そのままくれるとのことだったのでありがたくいただいておいたのだ。
屋敷を2つも所持しているなんて、いつのまにかセレブのようになってしまっているが、両方事故物件である。
いつかは、いわくつきでない家を手に入れてみたいものである。しかし、ケチの血が騒いでどうせ事故物件に手を出すんだろうなぁ。
あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回で知名度急上昇編は一旦終わりにする予定です!次回からはダンジョンの攻略に戻っていきます! 戦闘シーンを表現するのは難しいですが頑張ってまいりますので、よろしければお気に入り登録やエールの方をお願いいたします!
脱毛が終わってすぐ、王妃たちに頼まれた石鹸を製造して献上したのだ。彼女達はそれで満足してくれたため、次の日には帰るつもりでいた。
しかし、彼女達が俺の石鹸のレビューを動画として投稿してしまったため、王国中の夫人から詰め寄られるハメになってしまったのだ。
早くダンジョンに潜りたかったため、無視して帰還することも考えた。しかし、王国中の夫人を敵に回すのは怖すぎてできたものではない。
彼女らの権力を持って、印象操作など嫌がらせをされれば、俺のチャンネルは衰退の道を辿ることになるだろう。良くて現状意地である。
この理不尽には流石の俺も腹を立て、王妃達を追及した。
本人達は反省の姿勢を見せたものの『だって自慢したかったんですもの!』『ファンも増えるしいいじゃない!』『そうですよ! 悪かったとは思っていますが、あなたのためも思ってした事なのです』と供述している。
反省しているのかどうか怪しいところではあるが、確かに俺にもメリットがあるのは事実なので怒るに怒れなくなってしまった。
結果、俺はしばらくの間石鹸製造機と化したのである。作りすぎて何個作ったかは覚えていないが、おそらく数万個は作ったと思うな。
しかし、石鹸製造機と言ったら少し語弊があるな。正確には俺は石鹸は作っておらず、ショップで購入した石鹸に再生効果を付与しているだけである。
終わってみれば、拡散してくれた王妃たちに感謝である。原価がかかったので大した利益は出なかったものの、ファンやメンバーが大量に増えたし、大量の夫人達や石鹸の販売業者からかなり感謝された。
やはり、感謝されるというのは気持ちがいいものだ。皆が得をするいい1週間であったな…………あ、そういえば、得をできなかった者たちもいたのを忘れていた。
遡ること7日前、王妃たちの脱毛の翌日のことである。王から相談を受け、王のハゲを治療することになったんだ。方法としては、脱毛の呪いを反転させるだけ。
とても簡単な作業ではあるが、王の髪は一瞬にしてフサフサになった。
面白いくらいにフサフサになりテンションの上がった王に勧められ、一部始終を動画として投稿したんだよな。
その結果、世界中のハゲ男たちから自分もと依頼が殺到したのだ。王都に住むハゲ貴族たちの中には、俺の住む屋敷までわざわざ訪ねてくる者までいた。
流石にこれ以上滞在時間を伸ばしたくなかった俺は、『ハゲの治療に時間をかけると、石鹸や香水の製造ができなくなってしまうかもしれません……』と夫人達に伝えたのだ。
すると、効果的面。妻の尻に敷かれている夫が多いのか、もしくは王妃からの圧力が怖かったのか、ハゲを治せと言ってくる人間が激減したのだ。
そんなこんなでハゲ達の魔の手から逃げ学び、追加滞在期間を1週間にとどめ、ようやく帰還できたというわけだ。
当初は王都を観光するつもりだったのに、なんやかんや全然観光できなかったんだよな。しかし、王都に拠点をゲットしたので、またいずれは王都に行きたいと考えている。
え?あの元幽霊屋敷は貸出じゃなかったかって?
そのはずだったし、俺もそのつもりだった。なので、王都から帰る前にグレッティ商会を訪ね、用意してくれた屋敷返却しに行ったんだが、そのままくれるとのことだったのでありがたくいただいておいたのだ。
屋敷を2つも所持しているなんて、いつのまにかセレブのようになってしまっているが、両方事故物件である。
いつかは、いわくつきでない家を手に入れてみたいものである。しかし、ケチの血が騒いでどうせ事故物件に手を出すんだろうなぁ。
あとがき
ここまでお読みいただきありがとうございます!
今回で知名度急上昇編は一旦終わりにする予定です!次回からはダンジョンの攻略に戻っていきます! 戦闘シーンを表現するのは難しいですが頑張ってまいりますので、よろしければお気に入り登録やエールの方をお願いいたします!
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