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血剣と吸血鬼
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敵が困惑している今がチャンスだ!
ダンッ
強く踏み込み、相手へ向かって直線で走り込んでいく。しかし、吸血鬼は特に脚力に秀でているわけではないので、近づき切る前に相手の攻撃が再開してしまった。
くそっ。こういう時、足の速い魔物の下半身ってほんとに有能なんだなと気付かされるよ。
相手も焦っていたはずだ。そのはずなのに、放たれた矢は正確に首元へと飛来する。
その矢を血剣の一振りで振り払うも、次々と矢が放たれてくる。それら全てを打ち払うも、安心する暇はない。相手がスキルを発動したようだ。
5つの矢を次々に射ったかと思うと、その矢一つ一つが20に分裂した。20の矢の波が5つ。つまり、100の矢が連続で襲いかかってくるということだ。
多少は被弾しても吸血鬼の治癒力と再生力でどうにかなるが、いかんせんその再生に必要な血がもう残り少ない。
全ての攻撃を凌ぎ切るつもりで、どんどん矢を切り落としていく。時には避け、時には剣を盾にして弾く。しかし、こちらの体力の問題もあって、次第に剣が間に合わなくなっていく。
くそっ、先程のこともあり少し不安だが、この血剣の能力を使うしかないようだ。
【血剣操作】
ドクンッ!
吸血鬼の能力である操血。それを血剣に対して発動する。俺の血を取り込んだお陰で操ることができるようになったこの1本の剣を、1対の双血剣へと変化させる。
二つに分かれた血剣から再び血管が生じ、俺の腕に結合していく。しかし、先程のように血を吸っていくようなことはなかった。これで安心して使える。
早速迫ってくる矢に対応する。2つになった上に小型化し、取り回しも良くなったのでスパスパと素早く矢を処理することができるようになったな。
一応、双剣も練習済みで良かった。しかし、それにしても扱いがうますぎる気がしている。先ほどまでの血剣もそうだが、俺に大量の矢を寸分狂わず両断する技術なんてなかったはずなんだがな。
試しに、一振りで4つの矢を処理してみるも、無事に成功した。これが成功するビジョンは誰にだって思い浮かぶことかもしれないが、実際に体がその通りに動いてくれるとは限らないものだ。
しかし、剣と体が血管を通して繋がっているおかげか、思考した通りに体を、剣を操ることができている。
これもまた、血剣と吸血鬼の相乗効果なのだろうか。試合が終わったら検証してみたいことが沢山あるな。
そして数秒後、100全ての矢を凌ぎ切った。さて、俺が矢を処理していたこの数十秒間。相手は何もしていなかったのか?否、そんなことはありえない。
証拠に、矢もなしに弓を番えた相手からは大量の魔力が溢れ、彼を中心に暴風が吹き荒れている。
巻き起こった暴風が集束し、やがて矢の形を成しした。そして、弓へと収まっていき、即座に発射された。
直前にやってくる一本の矢だ、避けることもできる。相手からすれば、俺は100の矢で避ける余裕もないほど疲弊しているはずだったのだろう。いや、100の矢で仕留め切れるとも思っていたかもしれない。
しかし、避けてはつまらないよな。配信を盛り上げるためにも、ここは迎え撃ってやろう。しかし、双剣か。このまま受けたらまずいことになりそうだ。
【血剣操作】
ドクンッ!ドクンッ!
もう、血をケチる必要はないよな。吸われていた先ほどでとは違い、血管を通してこちらから血液を送っていく。
鮮血を飲み込み、真紅に染まった2振りの血剣を1本の剣へと、血を纏し大剣へと変化させていく。
この間0.3秒。もうすでに暴風の矢はそこまで迫っていた。もっと近ければすでに射抜かれていたはずだ。相手にあまり近づけなかったのが功を期したようだな。
上段に構えた大剣に全身の力を乗せる。それだけでなく体内の血液を、大剣の血液を暴走させ、最大限力を引き出し、巨大な血剣を振り下ろした。
バァァァァン!
集束していた暴風が解放され、強大な爆発音を生み出した。それだけでない。暴風は、血と混ざり赤く染まって吹き荒れる。
くそっ、もう体力がないので吹き飛ばされてしまいそうだ。醜い姿を晒すわけには行かない。大剣を地面に突き刺し、暴風が止むのをひたすらに待った。
暴風が止むころには、膝をついてしまっていた。しかし、相手ももう限界のようだ。青白い顔で地面へ倒れ込むと、粒子になって消えていった。どうやら、スキルを使ったことによる魔力切れで死亡したようだ。
『よっしゃぁぁぁぁあ!』
『よくやった!』
『激アツすぎだろ!』
『相手のスキルも強かったなあ! おめでとう!』
『縛りプレイでこれだもんな。ヴァリアンが負ける未来が見えないわ』
『流石に強すぎてくさぁ!』
『やべぇ、めっちゃおもろいこの配信』
『それ、ワクワク止まらん』
「本当にギリギリ勝つことができました! コメント、応援ありがとうございます! さ!どんどん次の試合へ行きましょう!」
ダンッ
強く踏み込み、相手へ向かって直線で走り込んでいく。しかし、吸血鬼は特に脚力に秀でているわけではないので、近づき切る前に相手の攻撃が再開してしまった。
くそっ。こういう時、足の速い魔物の下半身ってほんとに有能なんだなと気付かされるよ。
相手も焦っていたはずだ。そのはずなのに、放たれた矢は正確に首元へと飛来する。
その矢を血剣の一振りで振り払うも、次々と矢が放たれてくる。それら全てを打ち払うも、安心する暇はない。相手がスキルを発動したようだ。
5つの矢を次々に射ったかと思うと、その矢一つ一つが20に分裂した。20の矢の波が5つ。つまり、100の矢が連続で襲いかかってくるということだ。
多少は被弾しても吸血鬼の治癒力と再生力でどうにかなるが、いかんせんその再生に必要な血がもう残り少ない。
全ての攻撃を凌ぎ切るつもりで、どんどん矢を切り落としていく。時には避け、時には剣を盾にして弾く。しかし、こちらの体力の問題もあって、次第に剣が間に合わなくなっていく。
くそっ、先程のこともあり少し不安だが、この血剣の能力を使うしかないようだ。
【血剣操作】
ドクンッ!
吸血鬼の能力である操血。それを血剣に対して発動する。俺の血を取り込んだお陰で操ることができるようになったこの1本の剣を、1対の双血剣へと変化させる。
二つに分かれた血剣から再び血管が生じ、俺の腕に結合していく。しかし、先程のように血を吸っていくようなことはなかった。これで安心して使える。
早速迫ってくる矢に対応する。2つになった上に小型化し、取り回しも良くなったのでスパスパと素早く矢を処理することができるようになったな。
一応、双剣も練習済みで良かった。しかし、それにしても扱いがうますぎる気がしている。先ほどまでの血剣もそうだが、俺に大量の矢を寸分狂わず両断する技術なんてなかったはずなんだがな。
試しに、一振りで4つの矢を処理してみるも、無事に成功した。これが成功するビジョンは誰にだって思い浮かぶことかもしれないが、実際に体がその通りに動いてくれるとは限らないものだ。
しかし、剣と体が血管を通して繋がっているおかげか、思考した通りに体を、剣を操ることができている。
これもまた、血剣と吸血鬼の相乗効果なのだろうか。試合が終わったら検証してみたいことが沢山あるな。
そして数秒後、100全ての矢を凌ぎ切った。さて、俺が矢を処理していたこの数十秒間。相手は何もしていなかったのか?否、そんなことはありえない。
証拠に、矢もなしに弓を番えた相手からは大量の魔力が溢れ、彼を中心に暴風が吹き荒れている。
巻き起こった暴風が集束し、やがて矢の形を成しした。そして、弓へと収まっていき、即座に発射された。
直前にやってくる一本の矢だ、避けることもできる。相手からすれば、俺は100の矢で避ける余裕もないほど疲弊しているはずだったのだろう。いや、100の矢で仕留め切れるとも思っていたかもしれない。
しかし、避けてはつまらないよな。配信を盛り上げるためにも、ここは迎え撃ってやろう。しかし、双剣か。このまま受けたらまずいことになりそうだ。
【血剣操作】
ドクンッ!ドクンッ!
もう、血をケチる必要はないよな。吸われていた先ほどでとは違い、血管を通してこちらから血液を送っていく。
鮮血を飲み込み、真紅に染まった2振りの血剣を1本の剣へと、血を纏し大剣へと変化させていく。
この間0.3秒。もうすでに暴風の矢はそこまで迫っていた。もっと近ければすでに射抜かれていたはずだ。相手にあまり近づけなかったのが功を期したようだな。
上段に構えた大剣に全身の力を乗せる。それだけでなく体内の血液を、大剣の血液を暴走させ、最大限力を引き出し、巨大な血剣を振り下ろした。
バァァァァン!
集束していた暴風が解放され、強大な爆発音を生み出した。それだけでない。暴風は、血と混ざり赤く染まって吹き荒れる。
くそっ、もう体力がないので吹き飛ばされてしまいそうだ。醜い姿を晒すわけには行かない。大剣を地面に突き刺し、暴風が止むのをひたすらに待った。
暴風が止むころには、膝をついてしまっていた。しかし、相手ももう限界のようだ。青白い顔で地面へ倒れ込むと、粒子になって消えていった。どうやら、スキルを使ったことによる魔力切れで死亡したようだ。
『よっしゃぁぁぁぁあ!』
『よくやった!』
『激アツすぎだろ!』
『相手のスキルも強かったなあ! おめでとう!』
『縛りプレイでこれだもんな。ヴァリアンが負ける未来が見えないわ』
『流石に強すぎてくさぁ!』
『やべぇ、めっちゃおもろいこの配信』
『それ、ワクワク止まらん』
「本当にギリギリ勝つことができました! コメント、応援ありがとうございます! さ!どんどん次の試合へ行きましょう!」
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