28 / 111
事故物件と浄化
しおりを挟む
さて、住居の方の用紙も確認して書き終えたところだ。所要時間は1時間ほどかな。
書類を書くのはやはり疲れる。先程の受付の元へ戻り、さっさと家に行って休みたいところだ。
「書き終わりました。お願いします」
先程の受付に戻ると、美人魔族受付嬢の窓口はまた空いていたので書類を提出した。
「……はい、確認できました。こちら冒険者カードとなります。」
先程入力した個人情報に加え、Gと刻まれた鉄の薄い板が渡された。これが魔界では身分証になるのか。
人間界では、ランクごとにカードの素材が変わっていたが、ここでは鉄の板で統一されているそうだ。ランク差別を受けてきた身からするとありがたい話だが、これは単純にコスト削減な気がする。
「ありがとうございます」
「……住居の方ですが、ご希望の条件の物件ならいくつかご紹介できるのですが、こちらの金額ですと一軒しかご紹介できる物件がないですね。」
そして、そちらの物件はダンジョンになりかけの危険地帯として定められています。と、彼女は続けて言った。
なんでも、昔そこに住んでいた人が地下で非道な人体実験を行っていたとか。そのせいか怨念を持った悪霊系の魔物が大量に住み着いてしまっているらしい。
ダンジョンから魔物が溢れることはないし、街中にダンジョンができたところで何か困ることがあるわけでもないので、放置されているそうだ。
「なるほど……悪霊ですか。ちなみに、危険度はどのくらいですか?」
「ギルドによる調べですと、Bランク程かと思われます」
「Bランクですか……それなら、何とかなりそうです。契約をお願いします」
Bランクで、しかも住居という一定の範囲から動くことのできない存在たちだ。それなら、俺1人でもどうにかすることができるだろう。
訳あり物件に住むことは人間界でもよくあったし、特に抵抗はない。さっさと霊を払って、巨大な一軒家を手に入れよう。
「本当によろしいのですか?」
「はい、お願いします」
「それでは、契約金の50万ゴールドと仲介料1万ゴールドをいただきます。」
51万ゴールドを受付嬢に渡し、家の鍵と契約書類を受け取った。さっさと休みたいし、さっそく幽霊を退治しに行こうか。
教えてもらった通りに道を行くと、不気味で巨大な一軒家を発見した。確かに、今にもダンジョン化しそうであるので、ここで間違い無いだろう。
【聖熊】
聖者を喰ったと言われている熊、聖熊に全身を変化させる。
この魔物は小さく、とても元が凶暴な熊だったとは思えないような見た目をしていて、その見た目通り攻撃力は皆無に等しい。
聖者を喰らった罰として、神に力を取り上げられたと言われている。
しかしその反面、浄化能力は聖者のそれにも匹敵するレベルで、Cランクの魔物にしてAランクの魔物にも負けない浄化能力を持っている。
ということで、早速魔力を操作し、聖熊の能力を発動させる。
能力が発動すると、聖なる黄金の光が邪悪なオーラを放つ一軒家に降り注いだ。
そのまま1分ほど経っただろうか。家に漂っていた邪悪なオーラは消え去り、何か威圧感を放っていた者たちも居なくなったように感じる。
鍵を開け家に入ってみるも、敵意や殺気は感じられず、悪霊の姿も見当たらないな。うん、完全に浄化できたのではないだろうか。
念のために1日継続する浄化結界を発動しておこう。それにしても、あまりにも静かで呆気ない終わりだったな。
霊は火や水など他の魔法でも討伐できるが、それらの魔法で倒すのに比べ、浄化能力で昇天させてあげると、霊たちも苦しみを覚えることなくすんなりとあの世へ旅立ってくれるという説もあるが、どうやら本当のようだな。
今まで試したことがなかったのが悔やまれるな。この家で長年苦しんでいた者たちへ黙祷を捧げ、住居の見回りを始めた。
書類を書くのはやはり疲れる。先程の受付の元へ戻り、さっさと家に行って休みたいところだ。
「書き終わりました。お願いします」
先程の受付に戻ると、美人魔族受付嬢の窓口はまた空いていたので書類を提出した。
「……はい、確認できました。こちら冒険者カードとなります。」
先程入力した個人情報に加え、Gと刻まれた鉄の薄い板が渡された。これが魔界では身分証になるのか。
人間界では、ランクごとにカードの素材が変わっていたが、ここでは鉄の板で統一されているそうだ。ランク差別を受けてきた身からするとありがたい話だが、これは単純にコスト削減な気がする。
「ありがとうございます」
「……住居の方ですが、ご希望の条件の物件ならいくつかご紹介できるのですが、こちらの金額ですと一軒しかご紹介できる物件がないですね。」
そして、そちらの物件はダンジョンになりかけの危険地帯として定められています。と、彼女は続けて言った。
なんでも、昔そこに住んでいた人が地下で非道な人体実験を行っていたとか。そのせいか怨念を持った悪霊系の魔物が大量に住み着いてしまっているらしい。
ダンジョンから魔物が溢れることはないし、街中にダンジョンができたところで何か困ることがあるわけでもないので、放置されているそうだ。
「なるほど……悪霊ですか。ちなみに、危険度はどのくらいですか?」
「ギルドによる調べですと、Bランク程かと思われます」
「Bランクですか……それなら、何とかなりそうです。契約をお願いします」
Bランクで、しかも住居という一定の範囲から動くことのできない存在たちだ。それなら、俺1人でもどうにかすることができるだろう。
訳あり物件に住むことは人間界でもよくあったし、特に抵抗はない。さっさと霊を払って、巨大な一軒家を手に入れよう。
「本当によろしいのですか?」
「はい、お願いします」
「それでは、契約金の50万ゴールドと仲介料1万ゴールドをいただきます。」
51万ゴールドを受付嬢に渡し、家の鍵と契約書類を受け取った。さっさと休みたいし、さっそく幽霊を退治しに行こうか。
教えてもらった通りに道を行くと、不気味で巨大な一軒家を発見した。確かに、今にもダンジョン化しそうであるので、ここで間違い無いだろう。
【聖熊】
聖者を喰ったと言われている熊、聖熊に全身を変化させる。
この魔物は小さく、とても元が凶暴な熊だったとは思えないような見た目をしていて、その見た目通り攻撃力は皆無に等しい。
聖者を喰らった罰として、神に力を取り上げられたと言われている。
しかしその反面、浄化能力は聖者のそれにも匹敵するレベルで、Cランクの魔物にしてAランクの魔物にも負けない浄化能力を持っている。
ということで、早速魔力を操作し、聖熊の能力を発動させる。
能力が発動すると、聖なる黄金の光が邪悪なオーラを放つ一軒家に降り注いだ。
そのまま1分ほど経っただろうか。家に漂っていた邪悪なオーラは消え去り、何か威圧感を放っていた者たちも居なくなったように感じる。
鍵を開け家に入ってみるも、敵意や殺気は感じられず、悪霊の姿も見当たらないな。うん、完全に浄化できたのではないだろうか。
念のために1日継続する浄化結界を発動しておこう。それにしても、あまりにも静かで呆気ない終わりだったな。
霊は火や水など他の魔法でも討伐できるが、それらの魔法で倒すのに比べ、浄化能力で昇天させてあげると、霊たちも苦しみを覚えることなくすんなりとあの世へ旅立ってくれるという説もあるが、どうやら本当のようだな。
今まで試したことがなかったのが悔やまれるな。この家で長年苦しんでいた者たちへ黙祷を捧げ、住居の見回りを始めた。
0
お気に入りに追加
445
あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。
暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる