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ギルドに報告
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ダンジョンから出て十数分歩くと、冒険者ギルドに到着した。
ギルドは3階建ての大きな建物で、ダンジョンの近くに設置されている。これは、冒険者の負担を減らす目的と、ダンジョンで何かあった時にすぐに駆けつけることができるようにこうなっているらしい。
俺はストレージも使えないので、近くにあるおかげで魔物の素材運びが楽になって助かっている。
さて、体にモンスターの血などがついていないことを確認したら早速報告に行こう。
今日はオーク戦が初陣で、決着も遠距離攻撃だったから返り血などは大丈夫だとは思うが、一応な。一応。
「よし、おっけーだな」
きちんと全身確認し終えたので、ギルドの扉を開いた。そして、報告専門の窓口に行こうとして視線を向け……驚愕。
「え? なんでいんの……」
まさかの、先ほど俺から逃げた女3人パーティーがちょうどそこに居たのである。
まさか、堂々とギルドに戻ってきているとは。罰則が怖くないのだろうか。
もちろん、そこまで重い罰則を与えてもらうつもりはないが、それにしても流石に肝が座りすぎだろう。
流石に少しだけ文句を言いたいので、あちらに近づいていくと、女性3人パーティーのうち支援職の子がこちらに気づいたようだ。
「あ! あの人です! 私たち、あの人に襲われて逃げてきたんですぅ!」
「は? 何を馬鹿なことを……」
え? 俺にに襲われた? どゆこと?
もしや、こちらが悪事を報告することを見越して、先にギルドに虚偽報告をして罰則から逃れるつもりなのだろうか。
「彼女たちの言っていることは事実ですか?」
女3人パーティーの報告を受けていた、報告窓口の受付嬢がそう問いかけてくる。
まさかの展開に少し動揺したが、もちろん俺は無実だ。正々堂々と真実を報告しよう。
「事実ではありません。それどころか、彼女たちは戦闘中に俺を見捨てて逃げ出したんです」
「私たちを悪者にするつもり!?」
「そうよ! こっちは襲われそうになったから逃げただけよ! どうせ、あの気持ち悪い能力を利用して、私たちを滅茶苦茶にするつもりだったんでしょ!?」
「配信に証拠もある……」
受付嬢に本当のことを報告するが、それを遮るように、魔法使いの女がヒステリックに叫んだ。そして、他の2人も続いて発言する。
俺からすると、どう考えても向こうが悪いのだが……まさか、本当に襲われると勘違いしていたのか?
「待ってくれ、俺は」
「ほら! これが証拠の配信です! 見てください邪悪な能力を。きっとこれまでもその顔面で女の子を釣って、ダンジョンの中で襲っていたんでしょう!?」
反論する暇もないな……。
こちらが口を開こうとすると、それより大きな声量で遮ってあたかも自分が正しいかのように主張する。苦手な人種だ。
しかも、顔で釣って食ってるだと? こっちは童貞じゃボケが。馬鹿にしてんのかアバズレ。
しかし、この流れや雰囲気は非常にまずい。
中立だったはずの受付嬢も、いつのまにか女の敵を見るような目でこちらを見ているし、犯罪者を取り囲むのかように野次馬たちが立ち上がり始めた。
「それにほら! 見てくださいこの人のチャンネル、このルックスと視聴回数で低評価100%、名声値Gランクですって! 犯罪者に違いないわ!」
くっ、チャンネルを特定されていたか。これはまずいな。無実なはずなのに、まるで俺が本当に犯罪を犯したみたいじゃないか。
自分で言うのもあれだが、たしかにルックスには少し自信がある。そんなわけで、初期の頃なんかは結構配信に人が集まって来てたりもしたんだ。
でも、ルックスに釣られて寄ってきた視聴者なんか所詮見た目重視な連中ばかり。
いざ戦闘に突入すると、能力を見た途端、低評価を押して消えていく。
そんなんだからもちろんファンなどつくはずもなく、名声値は最低のG。
Fだったらどうにか弁明できたんだが、このGってのが今の状況において最高にまずい。
というのも、Gランクというのは極悪犯罪者の象徴だというのが一般的な見解。
理由としては、極悪犯罪を犯したら死刑の代わりに名声値を全て没収され、Gランク落ちさせられるためである。
「なんだ、Gランク落ちの犯罪者かよ」
「早速やったのか? よくやるよな」
「てか、あのパーティーアイラ様のパーティーじゃん。」
「ほんとだ、名声値Cランクのアイラ様を狙うなんてバカだな~。確かに見た目は可愛くて弱そうに見えるが、思ったより強かったせいでまんまと逃げられて報告されてるわけか。」
「そもそもよ、何で自分からギルドに来たんだ? 本物のアホじゃねえか!」
「本当だよなぁ?wwww」
やはり、Gランクに対する世間の目は厳しい。こちらがGランクだと分かった途端、ギルドの中の連中は全員向こうに味方した。
俺のように、単純に人気がなくてGランクの人間だって居るのに……。
「てかよ、Gランク落ちの次ってなんだっけ?」
「あー、あれだよ確か。魔界落ちだ」
もう、ここからこの状況を覆せるビジョンが見えない。反抗することもできるが、もう、そんな気力も湧かない。
はぁ……魔界落ち確定か……。魔界って言えば、3日生き残った人間はいないって言われてるくらいの魔境らしいし、生きていけるかな……。
諦めて地面に膝をつく。そして、見上げるように俺を嵌めた女パーティーを見た。
もしかしたら、本当に怖がらせてしまったのかな。なんで思っていたが、やはり違ったようだ。
女3人はニヤついた顔でこちらをみて「ざ・ま・あ」と口パクをしてみせた。
「……なんだよ。人間界も地獄じゃねえか。」
大人しく憲兵に捉えられた俺は、二日間の投獄の後、魔界へと追放された。
ギルドは3階建ての大きな建物で、ダンジョンの近くに設置されている。これは、冒険者の負担を減らす目的と、ダンジョンで何かあった時にすぐに駆けつけることができるようにこうなっているらしい。
俺はストレージも使えないので、近くにあるおかげで魔物の素材運びが楽になって助かっている。
さて、体にモンスターの血などがついていないことを確認したら早速報告に行こう。
今日はオーク戦が初陣で、決着も遠距離攻撃だったから返り血などは大丈夫だとは思うが、一応な。一応。
「よし、おっけーだな」
きちんと全身確認し終えたので、ギルドの扉を開いた。そして、報告専門の窓口に行こうとして視線を向け……驚愕。
「え? なんでいんの……」
まさかの、先ほど俺から逃げた女3人パーティーがちょうどそこに居たのである。
まさか、堂々とギルドに戻ってきているとは。罰則が怖くないのだろうか。
もちろん、そこまで重い罰則を与えてもらうつもりはないが、それにしても流石に肝が座りすぎだろう。
流石に少しだけ文句を言いたいので、あちらに近づいていくと、女性3人パーティーのうち支援職の子がこちらに気づいたようだ。
「あ! あの人です! 私たち、あの人に襲われて逃げてきたんですぅ!」
「は? 何を馬鹿なことを……」
え? 俺にに襲われた? どゆこと?
もしや、こちらが悪事を報告することを見越して、先にギルドに虚偽報告をして罰則から逃れるつもりなのだろうか。
「彼女たちの言っていることは事実ですか?」
女3人パーティーの報告を受けていた、報告窓口の受付嬢がそう問いかけてくる。
まさかの展開に少し動揺したが、もちろん俺は無実だ。正々堂々と真実を報告しよう。
「事実ではありません。それどころか、彼女たちは戦闘中に俺を見捨てて逃げ出したんです」
「私たちを悪者にするつもり!?」
「そうよ! こっちは襲われそうになったから逃げただけよ! どうせ、あの気持ち悪い能力を利用して、私たちを滅茶苦茶にするつもりだったんでしょ!?」
「配信に証拠もある……」
受付嬢に本当のことを報告するが、それを遮るように、魔法使いの女がヒステリックに叫んだ。そして、他の2人も続いて発言する。
俺からすると、どう考えても向こうが悪いのだが……まさか、本当に襲われると勘違いしていたのか?
「待ってくれ、俺は」
「ほら! これが証拠の配信です! 見てください邪悪な能力を。きっとこれまでもその顔面で女の子を釣って、ダンジョンの中で襲っていたんでしょう!?」
反論する暇もないな……。
こちらが口を開こうとすると、それより大きな声量で遮ってあたかも自分が正しいかのように主張する。苦手な人種だ。
しかも、顔で釣って食ってるだと? こっちは童貞じゃボケが。馬鹿にしてんのかアバズレ。
しかし、この流れや雰囲気は非常にまずい。
中立だったはずの受付嬢も、いつのまにか女の敵を見るような目でこちらを見ているし、犯罪者を取り囲むのかように野次馬たちが立ち上がり始めた。
「それにほら! 見てくださいこの人のチャンネル、このルックスと視聴回数で低評価100%、名声値Gランクですって! 犯罪者に違いないわ!」
くっ、チャンネルを特定されていたか。これはまずいな。無実なはずなのに、まるで俺が本当に犯罪を犯したみたいじゃないか。
自分で言うのもあれだが、たしかにルックスには少し自信がある。そんなわけで、初期の頃なんかは結構配信に人が集まって来てたりもしたんだ。
でも、ルックスに釣られて寄ってきた視聴者なんか所詮見た目重視な連中ばかり。
いざ戦闘に突入すると、能力を見た途端、低評価を押して消えていく。
そんなんだからもちろんファンなどつくはずもなく、名声値は最低のG。
Fだったらどうにか弁明できたんだが、このGってのが今の状況において最高にまずい。
というのも、Gランクというのは極悪犯罪者の象徴だというのが一般的な見解。
理由としては、極悪犯罪を犯したら死刑の代わりに名声値を全て没収され、Gランク落ちさせられるためである。
「なんだ、Gランク落ちの犯罪者かよ」
「早速やったのか? よくやるよな」
「てか、あのパーティーアイラ様のパーティーじゃん。」
「ほんとだ、名声値Cランクのアイラ様を狙うなんてバカだな~。確かに見た目は可愛くて弱そうに見えるが、思ったより強かったせいでまんまと逃げられて報告されてるわけか。」
「そもそもよ、何で自分からギルドに来たんだ? 本物のアホじゃねえか!」
「本当だよなぁ?wwww」
やはり、Gランクに対する世間の目は厳しい。こちらがGランクだと分かった途端、ギルドの中の連中は全員向こうに味方した。
俺のように、単純に人気がなくてGランクの人間だって居るのに……。
「てかよ、Gランク落ちの次ってなんだっけ?」
「あー、あれだよ確か。魔界落ちだ」
もう、ここからこの状況を覆せるビジョンが見えない。反抗することもできるが、もう、そんな気力も湧かない。
はぁ……魔界落ち確定か……。魔界って言えば、3日生き残った人間はいないって言われてるくらいの魔境らしいし、生きていけるかな……。
諦めて地面に膝をつく。そして、見上げるように俺を嵌めた女パーティーを見た。
もしかしたら、本当に怖がらせてしまったのかな。なんで思っていたが、やはり違ったようだ。
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