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終電を逃したらオオカミおじさんと一緒に寝る羽目になった件3
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『もうすぐ着くね』
昼下がりの駅前の改札口に立ちながら、何度もそのメッセージを見返す。緊張でまたトイレに行きたくなってきた。自分から誘っておきながらも、さながら未知の異星人の襲撃に備える兵士の心境だ。
『着いたよ~』
もう逃げ出したい。昨日の夜はあんなに楽しみだったのに。どんな事を喋ろうかと考えて、最近見つけたランチのお得な定食屋だったり、路地裏にある古本屋で買った懐かしい小説の話だったりと、さんざんシミュレーションしたはずだった。もちろん、あわよくばそういうコトをするのも。
改札の向こうのエスカレーターから見覚えのあるオオカミの姿。いかにも休日のお父さんと言った出で立ちのポロシャツ。人に言わせればオッサンくさいのかもしれないが、くたびれたスーツとは違って家庭的だ。大上さんはまだ僕の姿には気付いていないのか、スマホの画面と改札の出口をきょろきょろと見回していた。
何故、こんな行動を取ったのか自分でもよくわからない。僕はとっさに柱の裏に回り込み、襲い来る恐怖から身を隠すようにじっと息を潜めた。あれだけ会いたかったのに、今はただどうか見つかりませんようにと祈りを捧げている。このまま逃げ出して、何事も無かった事にできないだろうか。自分から誘っておいて、と大上さんは非難するだろうか。急に体調が悪くなったからと言えば、耳を伏せて僕の身を案じてくれるだろうか。
「や、おまたせ」
耳元で囁かれたその声に心臓が跳ねる。壊れたブリキ人形のようにぎこちなく振り向くと、ごめんね待った? なんてドラマの中で聞いた台詞。
「あ、え、あの……」
先ほどまで考えていた事への後悔と、会えた事の嬉しさと、何故見つけられたのかという気持ちが一緒くたになって、オットセイのように短く吠える事しか出来ない。
大上さんは小首をかしげて僕の様子をひとしきり眺めてから、合点がいったのかニマリと笑顔を作って、自らの鼻先をトントンと叩く。
そのジェスチャーが何を示すのか理解した僕は、途端に耳の先まで赤く染まっていった。僕の匂い、覚えてくれたんだ……
「んじゃあ、どこ行こうかねぇ」
コンコースを並んで歩きながら、大上さんが目配せをする。頭の中で練ってきた行動計画表を思い出す。何パターンも想定したデートコース。デート、そうだよな、これって丸っきりデート……いや、単に友人同士の遊びであって、そんなやましい気持ちは少しだけ、そう少しだけしか無いから。
「えと、もし良かったら科学館とかどうですか?」
少し子供っぽいだろうか。もっとこう、お洒落なカフェだとか映画館だとか、史跡を巡ったり……はちょっとお年寄りっぽいかな。
「いやぁ、懐かしいなぁ」
大上さんはすっかり行く気満々で、アプリで経路の確認を始めている。大きな手で扱いづらそうにスマホを操作する姿を見ながら、今日は絶対良い日になるな、と僕は強く確信していた。
エントランスホールの吹き抜けの天井から吊るされたフーコーの振り子を見ながらため息を吐く。側には何トンあるのか想像もつかないような大きな石の塊が置いてあり、近づいてみると無数のアンモナイトの化石が埋もれている。子供の頃、何度も足を運んだものだけれど、大人になった今になっても、いや今だからこそそのスケールに圧倒される。
「はい、これチケット」
僕が思い出に浸っているうちに、大上さんは券売機でチケットを入手していた。
「あ、すみません、これ」
「いいからいいから」
どうにかしてチケット代の千円札を受け取ってもらおうと押し合いへしあいをしてみたものの、最終的には大上さんのこれぐらいは格好つけさせて、という言葉に矛を収める事になる。
「ありがとうございます」
そう言うと、手をひらひらと振って、じゃあ一階から見て回ろうか、とゲートへ促された。
大きな肉食恐竜の化石。こんな生き物がかつて地上を闊歩していたと思うと、恐ろしさよりも好奇心の方が勝ってしまう。それから、人類の誕生。僕のような人間と、大上さんのような獣人が生まれて、お互いの生存を賭けて争い、また時には協力して現在のような共生関係となった。大上さんも感慨深そうに展示物の説明に見入っている。もし、もし少しだけこの歯車がズレていたら、こうして並んで歩くこともなく僕は大上さんにとってはお昼のお弁当だったのだろうか。
「あっちも見てみよっか」
僕の不安を察したのか、大上さんが僕に笑顔を見せる。そうだ、そんな仮定の話を考えたって仕方がない。小さく頷いて次の展示室へと向かう。
「これ、子供の頃不思議だったんですよね」
小さな小窓の奥に見える、取れそうで取れないリンゴ。ホログラムだと知っている今でも不思議ではあるけれど。
「わかるなぁ、僕もなんとか取ってやろうと躍起になっていたよ」
オオカミの少年が必死に手を伸ばして空を切る様を思い浮かべて思わず笑ってしまう。
「花房くん、これやろう!」
部屋の隅に置かれたパラボラアンテナのような構造物。向かいの方にも同じものがある。
「もしもーし、聞こえますか?」
小さく見える大上さんの側で、子供が不思議そうな目で見上げてる。
「はーい、聞こえますよ」
途端に大上さんの尻尾がふりふりと揺れて思わず吹き出してしまう。
「じゃあ次これね!」
すっかり童心にかえった僕たちは、自転車を漕いでどっちが多く発電出来るかをきそったり、真空ポンプで吸引されたハンドルを2人がかりで引き離そうとして係員に呆れられながら注意されたりと、すっかりこの科学館を満喫していた。
「はい、よかったらどうぞ」
はしゃぎすぎたのか、休憩室のベンチですっかりへたっている大上さんに自販機で買った缶コーヒーを手渡す。へにゃへにゃになっていた耳がピンと立ってから、慌てて財布を引っ張り出そうとズボンをまさぐる。
「いいですって、これぐらいはお礼させてください」
ありがとう、そう言ってプルタブを開ける大上さんの隣に腰掛けて、亡くなった父親の事を思い出した。今はもう灰皿は撤去されてしまったけれど、よくこの休憩室で僕を眺めながらタバコを吸っていたっけ……
お互いに、気まずさを感じさせない無言のままちびちびとコーヒーを飲んでいると、流暢な声でアナウンスが流れる。
「お、プラネタリウムだって。行こ行こ!」
大上さん、意外と子供っぽいんだな。もちろん断る理由なんて無いんだけれど。あんまり待ち遠しそうに僕の方を見るもんだから、急いで残りのコーヒーを流し込んで、プラネタリウムへと足早に向かう。
月面探検 お月様の秘密!
どうりで見たがった訳だ。心の中で苦笑いしながらも、並んで席に腰掛ける。
「楽しみですね」
そう声をかけると、オオカミの少年はうん! と元気な返事をした。
照明が落とされて暗闇に包まれる。スクリーンの光を受けて映し出されたオオカミの横顔を見ると、ほんの少し心拍数が上がる。
上映前の諸注意の映像が始まる。飲食はしないこと、おしゃべりはしないこと、そして遠吠えもしないこと(特にイヌ科のお客様)。ちらりと横のオオカミを見やると苦虫を噛み潰したような顔で、今はもうしないから。と小さく囁いた。これは子供の頃にやらかした事があるな。
昼間に観る夜空、満月。そして宇宙に飛び立って、月面に降り立つ。静寂に支配された光と闇。なんて幻想的なんだろう。瞬きも忘れて吸い込まれていくようだ。
「わっ!?」
突然の感触に思わず悲鳴を上げる。前の席の方から苛立たしげな咳払いが聞こえて、すみませんと小さく謝罪をする。
その間にも、元凶となったそれは素知らぬ顔でスクリーンに見入ったまま僕の左手を握る。柔らかい毛の感触、少し汗ばんだ肉球、硬い爪。親指の腹が手のひらをなぞるようにゆっくりと這っていく。もちろん抵抗する事なんて出来なかった。軽く手を握ると、呼応するように握りかえされる。跳ね回る心臓の音が聞こえてしまわないだろうか。幻想的な背景の中、宇宙船の中では博士が女の子に何かを説明している。何を喋っているかなんて、もう僕の耳には届かない。
「いやぁ、面白かったねぇ」
心底楽しかったという様子で大上さんが話しかける。僕は楽しむどころじゃ無かったんだぞ。上映が終わった後も、その、立っちゃったからなかなか動けなかったし。
「まだ晩ご飯にはちょっと早いよね」
どこ吹く風で、次の目的地を思案しているようだ。
「そうですね、どうしましょう」
にわかに心の中がざわつく。このまま今日は解散してしまうのか、それともショッピングでもして、晩ご飯を食べてから解散するか、それとも、それとも。途端に邪な考えが湧き出してきて、頭をぶんぶんと振って追い出そうと試みる。そりゃあ、そういう事もあわよくばと期待はしていたけれど、僕が勝手にそう思っているだけで大上さんは純粋に遊ぶだけのつもりかもしれない。そういう目的で誘い出したのだとわかると幻滅されるだろうか。渦巻く葛藤。
「花房くん明日も休みだよね?」
「はい、そうですけど……」
質問の意図が今ひとつ汲み取れず、頭の中に疑問符が湧いてくる。
「じゃあさ、ちょっと休んでいかない?」
それってどういう意味で、と問いかける間も無く、耳元にオオカミのマズルが寄せられる。
「ちんちん、見て欲しいんでしょ?」
耳打ちされた言葉が雷鳴となって脳みそを突き抜け下腹部を疼かせる。
ホテルまでの道中、突っ張ったズボンと格闘をしていた。
「わ、け、景色結構きれいですね」
気まずい沈黙を打ち消すように、精一杯話題を探してみる。
相槌の中に込められたプレッシャー。そりゃあまあ、何も景色を楽しむために来た訳じゃない。
「コーヒーでも入れようか?」
それでも、大上さんは僕の緊張を案じてかつとめて紳士的だ。だからこそ、僕も誠意を持ってそれに応えなければならない。まあ、今からやろうとしているのはアレな事なんだけれど。
ありがたい申し入れを丁重に断ると、意を決して大上さんに向き直り、上着のボタンに手をかける。指が震えてなかなか外せない。なんとか脱ぎ去った上着をソファーの上にかけて、思い切ってTシャツも脱いだ。肌が外気に触れて少しひんやりとする。なにも、その、ちんちんを見せるだけなら上着を脱ぐ必要は無いんだけれど、これはなんというか雰囲気というか。
僕が脱いでいく間、大上さんは急かす訳でもなく距離を保ったままただじっと無表情に僕を見つめていた。時折、大きな耳が音の発生源を追跡するように追いかけたり、光沢のある滑らかな尻尾が不意にゆらりと揺れる。
とうとう、ズボンに差し掛かる。ズボンの上からでも勃起しているのは火を見るより明らかだ。ええいままよ、と幾分かの金音を立ててズボンが落ちる。前に張り出したトランクスの先端は、分泌された液体によって黒く濡れていた。
「あ、え、あの、えっと」
トランクスのゴムに手をかけて、目を泳がせながら何かの許可を得るかのように問いかける。何を今更。意気地なし。そんな声が心の中で聞こえてきた。
「大丈夫だよ、ちんちん見せて?」
大上さんの優しい言葉。トランクスをずり下ろすとゴムに引っ掛かったちんぽがブルンと跳ねて、先走りが糸を引いた。
とうとう、見られてしまった。初めてではないけれど、こうしてまた勃起したちんぽを大上さんに見せている。ただ大上さんは服を着ていて、僕だけが一矢纏わぬ姿の裸ん坊で、ちんぽを大きくしている異常な光景。ただ見られているだけなのに、それだけでちんぽの奥が疼いてしまう。
「あのっ、ち、ちんちんっ……!」
「うん、おっきなちんちんだね、ずっと見て欲しかったの?」
息が苦しい。酸欠で窒息しそうだ。
「お、大上さんっ、に……ちんちん、大きくなったところ、見て欲しくて!」
自分でも何を口走っているのかわからない。ただ、催眠にかけられたように心の中に隠し持っていた欲望を口にする。
「だいじょうぶ、ちんちん見てるからね」
その言葉に導かれて、赤黒く腫れ上がった亀頭を見せつけるように腰を突き出す。
「大きくて立派なちんちんだよ」
自分の存在が、欲望が肯定される。承認欲求が満たされる。胸の内側から大上さんが染み込んでいく感触に、軽く目眩を起こす。もっと、もっと見て欲しい。僕の全部を暴かれたい。
「もっと近くで見てもいいかな?」
ぴゅ、と先走りが飛び出た。
大上さんはゆっくりと僕に近づくと、恭しく膝を折って僕の前に跪く。腫れ上がったちんぽの目と鼻の先に大上さんの顔。ふわりとした毛並み。
「あっ、あぁ、お、がみさん……」
何という倒錯的な光景だろうか。先ほどまで外を歩いていた、科学館ではしゃいでいたその服装のままの大上さんの目の前に、先走りを垂らしている欲望の塊を差し出している。
くんくんっ
「は、ああっ!?」
鼻先をちんぽに近づけて、すんすんとその匂いを嗅がれ、思わず嬌声をあげてしまう。大上さんはうっとりとした様子で、二度三度とちんぽの匂いを確かめる。
「すご……ちんちんの匂い……」
大上さんの記憶の中に、僕のちんぽの匂いが刷り込まれていく。トランクスの中で先走りにまみれて蒸れたちんぽの匂い。お世辞にもいい匂いとは言えないだろう。
「におい、覚えてくださいね」
そう言って更に腰を突き出す。鼻先にちんぽが触れるまで、あと2センチ。
「あぁ、エッチな匂いだよ」
そう言ってスピスピと鼻を鳴らす度に吐き出される空気が亀頭を撫でつける。無意識のうちに右手がちんぽに伸びて、ゆるゆると前後にしごき始める。その度に先走りがニチャニチャと音を立てて、ちんぽの匂いをより一層拡散させる。気持ちいい。いつものオナニーよりも何百倍も増幅された快楽が脳内を走り回る。
「ひぃっ!?」
突然の暴力的な刺激に思わず声をあげてしまう。一心不乱にちんぽをしごいていると、ちんぽの匂いを嗅ぐ大上さんの真っ黒な鼻にぶにゅりと亀頭がぶつかった。熱く煮えたぎった亀頭が冷たい鼻によって熱を奪われる。
「すっ、すみま、せんっ」
若干腰を引いて、再びちんぽをしごきだす。
大上さんは上気した顔でべろりと鼻先を舐めてから、小さく息を吐いた。カケラほどに残った理性をもって、大上さんを観察しているとふんふんと匂いを嗅ぎながら徐々に鼻先がちんぽへと近づいてくる。少しだけ腰を引く。するとまたちんぽを追いかけるように近づいてくる。今度は思い切って一歩下がってみる。近づきながらも、大上さんは少し不満げに喉をぐる、と鳴らした。
手を止めて、大上さんを見ると上目遣いにアイコンタクト。僕の頭は支配欲と劣情がぐちゃぐちゃに入り乱れてしまう。
「お、大上さん」
主人の命令を待ちわびる犬の顔。こんなことはいけない。男同士で、性の捌け口のように、ペットのように扱うなんていけない。でも、僕はもう自分の中の悪魔を止められない。
「ち、ちんちんに、チューして……」
チュッ……
柔らかい唇と、毛のちくりとした感触。大上さんのマズルと僕のちんぽとの間に銀色の橋が出来る。
「ちんちん、すき?」
興奮の最中、恐る恐る問いかける。
「花房くんの大きいちんちん、大好きだよ」
思わず大上さんの頭を撫で回してしまいそうになるのを必死に堪える。
「あっ、も、もっと、ちんちん見て……チューして……」
ちゅ、ちゅっ
愛おしそうにちんぽを見つめながら、ついばむようにちんぽに口づけをする。その度に亀頭には痺れるような快感が走って、大上さんの毛を徐々に湿らせていく。
「エッチなちんちんだね」
その言葉に思わず身体がビクリと動き、そのはずみに亀頭が半分ほど口の中に入ってしまう。
「ふあっ、あぁ……」
先走りとは違う、唾液に濡れた亀頭。これは事故だ。あくまで偶然、一瞬口の中にちんぽが入ってしまっただけだ。
大上さんは呆然として、口を半開きにして鼻息を荒くしている。
チュッチュ、ぬちゅ
これはフェラチオなんかじゃなくて、あくまでちんちんへのチューなんだと自分に言い聞かせる。そうして大上さんの口に亀頭を押し付けて、舌の上に先走りを塗り付ける。
チュピッ、れちゅっ、ちゅっちゅっ
少しずつ大胆になりながら、口の中にちんぽを押し付ける。それでも、侵入させるのはせいぜい亀頭の半分程で、それ以上は入れない。そんな事になんの意味があるのだろうかと自問自答しつつもむず痒い快楽を貪る。大上さんも僕のちんぽを凝視しながら、口の中を出入りする亀頭の塩辛さを味わっている。
徐々に高まってくる射精感。このままだと出てしまう……
「大上さん……」
動きを止めて、大上さんの目を見る。その目は劣情に燃えていた。
「ちんちん、食べさせて……」
僕はその肉食獣の頭をゆっくりと撫でる。
許しを得たオオカミが、そのマズルの中にちんぽを滑り込ませていく。
ぐぷ、ぷっ
焼ける様な熱にちんぽが包まれる。声にならない声をあげて、半ば白目を剥いてしまい世界がぐるりと回る。
ぐぶぶっ、じゅぷっ
寄せては返す波の様に、根本までちんぽを飲み込んではまた亀頭の先端が見えそうなほど引き抜かれる。
「ちんちんおいしい?」
慈しむ様にオオカミの耳の裏を掻きながら問いかける。
「っは、うん、エッチなちんちん、おいしいよ」
綿毛を掴むほどの力でオオカミの頭を引き寄せると、再び太いマズルの中にちんぽが飲み込まれていく。
じゅぼっ、じゅぶっ、れちゃっ
ギラついた大きな犬歯で傷つけないように、慎重に、それでいて大胆な動きでちんぽに与えられる刺激が大きくなっていく。口内にすっかり収まったちんぽに、長い舌が巻く様に絡みついてちんぽが溶けてしまいそうだ。
「ちんちん気持ちいいっ! ちんちん食べられてるっ」
僕のちんぽが、大上さんの口の中に入っている。ちんぽを食べられている。
「ちんちんおいしい……んむっ」
息継ぎの合間に大上さんは感想を漏らす。
ちゅこっ、ぢゅっ、ぶぷっ
「あっ、だめ、いっちゃう、ちんちんいっちゃう」
裏腹に吸い上げる動きは一層激しさを増す。
ぐぼっ、ぐっぽぐっぽじゅるっ
「いっ、いく、口の中でちんちんぴゅっぴゅしちゃう……っ!」
煮えたぎった欲望を全部大上さんの口の中に吐き出してしまいたい。大上さんを僕のものにしたい。
びゅっ、びゅるっびゅ……びゅ
今までに人生の中で感じた事の無いほどの強大な快感。いつもなら、ティッシュの中に吐き出されるそれが大上さんの口の中を埋めていく。
「んむっ!? ん、むぐっ」
突然の出来事に、大上さんは目を白黒させながら困惑した呻き声を出す。
そりゃあ口内射精なんてされたのは初めてだろうから、どうしていいのかわからないといった様子だ。未だに質量を保ったままのちんぽを口に咥え、飲み込む事のできない精液で頬を膨らませたまま、子犬のような顔で僕を見つめている。
「ちんちんミルク、のんで?」
そう言いながら大上さんのマズルを掴み、マズルごとちんぽをしごくように軽く動かすと尿道に溜まっていた精液がどろりと口の中に垂れた。
「んぐっ、ごくっ……ふ、んんっ」
目を固くつぶり意を決して、喉を鳴らして精液を身体に取り込んでいく。嚥下する喉の動きが萎え始めたちんぽに緩やかな刺激を与える。
その姿がたまらなく愛おしくて、大上さんの頭を毛の流れをなぞるように何度も何度も撫でる。もちろん、性の捌け口として利用してしまったという罪悪感もちょっぴりあったけれど、それ以上に自分の身体の一部を取り込んだこのオオカミに対して、親愛のようなそれ以上の感情が芽生えていた。
やがて、ナマコの様にでろりと萎えたちんぽがマズルから引き抜かれる。
大上さんはぜえぜえと肩を上下させながらも、撫で続ける僕の手の動きに合わせて科学館で見たあの振り子のようにぱたりぱたりと尻尾を振る。
大上さんのズボンは気の毒なぐらいにテントを張っていて、山頂はぐっしょりと濡れて変色している。それが免罪符の様に、大上さんも性的な興奮を覚えてくれたんだとチクチクとした胸の痛みを少しだけ和らげた。
「大上さん」
片眉をあげて僕を見つめる二つの満月。
「お風呂入りましょ、あと……」
愛しいオオカミの下顎をさする。
「大上さんの、ちんちんにも……チューしていいですか?」
振り子はメトロノームになった。
昼下がりの駅前の改札口に立ちながら、何度もそのメッセージを見返す。緊張でまたトイレに行きたくなってきた。自分から誘っておきながらも、さながら未知の異星人の襲撃に備える兵士の心境だ。
『着いたよ~』
もう逃げ出したい。昨日の夜はあんなに楽しみだったのに。どんな事を喋ろうかと考えて、最近見つけたランチのお得な定食屋だったり、路地裏にある古本屋で買った懐かしい小説の話だったりと、さんざんシミュレーションしたはずだった。もちろん、あわよくばそういうコトをするのも。
改札の向こうのエスカレーターから見覚えのあるオオカミの姿。いかにも休日のお父さんと言った出で立ちのポロシャツ。人に言わせればオッサンくさいのかもしれないが、くたびれたスーツとは違って家庭的だ。大上さんはまだ僕の姿には気付いていないのか、スマホの画面と改札の出口をきょろきょろと見回していた。
何故、こんな行動を取ったのか自分でもよくわからない。僕はとっさに柱の裏に回り込み、襲い来る恐怖から身を隠すようにじっと息を潜めた。あれだけ会いたかったのに、今はただどうか見つかりませんようにと祈りを捧げている。このまま逃げ出して、何事も無かった事にできないだろうか。自分から誘っておいて、と大上さんは非難するだろうか。急に体調が悪くなったからと言えば、耳を伏せて僕の身を案じてくれるだろうか。
「や、おまたせ」
耳元で囁かれたその声に心臓が跳ねる。壊れたブリキ人形のようにぎこちなく振り向くと、ごめんね待った? なんてドラマの中で聞いた台詞。
「あ、え、あの……」
先ほどまで考えていた事への後悔と、会えた事の嬉しさと、何故見つけられたのかという気持ちが一緒くたになって、オットセイのように短く吠える事しか出来ない。
大上さんは小首をかしげて僕の様子をひとしきり眺めてから、合点がいったのかニマリと笑顔を作って、自らの鼻先をトントンと叩く。
そのジェスチャーが何を示すのか理解した僕は、途端に耳の先まで赤く染まっていった。僕の匂い、覚えてくれたんだ……
「んじゃあ、どこ行こうかねぇ」
コンコースを並んで歩きながら、大上さんが目配せをする。頭の中で練ってきた行動計画表を思い出す。何パターンも想定したデートコース。デート、そうだよな、これって丸っきりデート……いや、単に友人同士の遊びであって、そんなやましい気持ちは少しだけ、そう少しだけしか無いから。
「えと、もし良かったら科学館とかどうですか?」
少し子供っぽいだろうか。もっとこう、お洒落なカフェだとか映画館だとか、史跡を巡ったり……はちょっとお年寄りっぽいかな。
「いやぁ、懐かしいなぁ」
大上さんはすっかり行く気満々で、アプリで経路の確認を始めている。大きな手で扱いづらそうにスマホを操作する姿を見ながら、今日は絶対良い日になるな、と僕は強く確信していた。
エントランスホールの吹き抜けの天井から吊るされたフーコーの振り子を見ながらため息を吐く。側には何トンあるのか想像もつかないような大きな石の塊が置いてあり、近づいてみると無数のアンモナイトの化石が埋もれている。子供の頃、何度も足を運んだものだけれど、大人になった今になっても、いや今だからこそそのスケールに圧倒される。
「はい、これチケット」
僕が思い出に浸っているうちに、大上さんは券売機でチケットを入手していた。
「あ、すみません、これ」
「いいからいいから」
どうにかしてチケット代の千円札を受け取ってもらおうと押し合いへしあいをしてみたものの、最終的には大上さんのこれぐらいは格好つけさせて、という言葉に矛を収める事になる。
「ありがとうございます」
そう言うと、手をひらひらと振って、じゃあ一階から見て回ろうか、とゲートへ促された。
大きな肉食恐竜の化石。こんな生き物がかつて地上を闊歩していたと思うと、恐ろしさよりも好奇心の方が勝ってしまう。それから、人類の誕生。僕のような人間と、大上さんのような獣人が生まれて、お互いの生存を賭けて争い、また時には協力して現在のような共生関係となった。大上さんも感慨深そうに展示物の説明に見入っている。もし、もし少しだけこの歯車がズレていたら、こうして並んで歩くこともなく僕は大上さんにとってはお昼のお弁当だったのだろうか。
「あっちも見てみよっか」
僕の不安を察したのか、大上さんが僕に笑顔を見せる。そうだ、そんな仮定の話を考えたって仕方がない。小さく頷いて次の展示室へと向かう。
「これ、子供の頃不思議だったんですよね」
小さな小窓の奥に見える、取れそうで取れないリンゴ。ホログラムだと知っている今でも不思議ではあるけれど。
「わかるなぁ、僕もなんとか取ってやろうと躍起になっていたよ」
オオカミの少年が必死に手を伸ばして空を切る様を思い浮かべて思わず笑ってしまう。
「花房くん、これやろう!」
部屋の隅に置かれたパラボラアンテナのような構造物。向かいの方にも同じものがある。
「もしもーし、聞こえますか?」
小さく見える大上さんの側で、子供が不思議そうな目で見上げてる。
「はーい、聞こえますよ」
途端に大上さんの尻尾がふりふりと揺れて思わず吹き出してしまう。
「じゃあ次これね!」
すっかり童心にかえった僕たちは、自転車を漕いでどっちが多く発電出来るかをきそったり、真空ポンプで吸引されたハンドルを2人がかりで引き離そうとして係員に呆れられながら注意されたりと、すっかりこの科学館を満喫していた。
「はい、よかったらどうぞ」
はしゃぎすぎたのか、休憩室のベンチですっかりへたっている大上さんに自販機で買った缶コーヒーを手渡す。へにゃへにゃになっていた耳がピンと立ってから、慌てて財布を引っ張り出そうとズボンをまさぐる。
「いいですって、これぐらいはお礼させてください」
ありがとう、そう言ってプルタブを開ける大上さんの隣に腰掛けて、亡くなった父親の事を思い出した。今はもう灰皿は撤去されてしまったけれど、よくこの休憩室で僕を眺めながらタバコを吸っていたっけ……
お互いに、気まずさを感じさせない無言のままちびちびとコーヒーを飲んでいると、流暢な声でアナウンスが流れる。
「お、プラネタリウムだって。行こ行こ!」
大上さん、意外と子供っぽいんだな。もちろん断る理由なんて無いんだけれど。あんまり待ち遠しそうに僕の方を見るもんだから、急いで残りのコーヒーを流し込んで、プラネタリウムへと足早に向かう。
月面探検 お月様の秘密!
どうりで見たがった訳だ。心の中で苦笑いしながらも、並んで席に腰掛ける。
「楽しみですね」
そう声をかけると、オオカミの少年はうん! と元気な返事をした。
照明が落とされて暗闇に包まれる。スクリーンの光を受けて映し出されたオオカミの横顔を見ると、ほんの少し心拍数が上がる。
上映前の諸注意の映像が始まる。飲食はしないこと、おしゃべりはしないこと、そして遠吠えもしないこと(特にイヌ科のお客様)。ちらりと横のオオカミを見やると苦虫を噛み潰したような顔で、今はもうしないから。と小さく囁いた。これは子供の頃にやらかした事があるな。
昼間に観る夜空、満月。そして宇宙に飛び立って、月面に降り立つ。静寂に支配された光と闇。なんて幻想的なんだろう。瞬きも忘れて吸い込まれていくようだ。
「わっ!?」
突然の感触に思わず悲鳴を上げる。前の席の方から苛立たしげな咳払いが聞こえて、すみませんと小さく謝罪をする。
その間にも、元凶となったそれは素知らぬ顔でスクリーンに見入ったまま僕の左手を握る。柔らかい毛の感触、少し汗ばんだ肉球、硬い爪。親指の腹が手のひらをなぞるようにゆっくりと這っていく。もちろん抵抗する事なんて出来なかった。軽く手を握ると、呼応するように握りかえされる。跳ね回る心臓の音が聞こえてしまわないだろうか。幻想的な背景の中、宇宙船の中では博士が女の子に何かを説明している。何を喋っているかなんて、もう僕の耳には届かない。
「いやぁ、面白かったねぇ」
心底楽しかったという様子で大上さんが話しかける。僕は楽しむどころじゃ無かったんだぞ。上映が終わった後も、その、立っちゃったからなかなか動けなかったし。
「まだ晩ご飯にはちょっと早いよね」
どこ吹く風で、次の目的地を思案しているようだ。
「そうですね、どうしましょう」
にわかに心の中がざわつく。このまま今日は解散してしまうのか、それともショッピングでもして、晩ご飯を食べてから解散するか、それとも、それとも。途端に邪な考えが湧き出してきて、頭をぶんぶんと振って追い出そうと試みる。そりゃあ、そういう事もあわよくばと期待はしていたけれど、僕が勝手にそう思っているだけで大上さんは純粋に遊ぶだけのつもりかもしれない。そういう目的で誘い出したのだとわかると幻滅されるだろうか。渦巻く葛藤。
「花房くん明日も休みだよね?」
「はい、そうですけど……」
質問の意図が今ひとつ汲み取れず、頭の中に疑問符が湧いてくる。
「じゃあさ、ちょっと休んでいかない?」
それってどういう意味で、と問いかける間も無く、耳元にオオカミのマズルが寄せられる。
「ちんちん、見て欲しいんでしょ?」
耳打ちされた言葉が雷鳴となって脳みそを突き抜け下腹部を疼かせる。
ホテルまでの道中、突っ張ったズボンと格闘をしていた。
「わ、け、景色結構きれいですね」
気まずい沈黙を打ち消すように、精一杯話題を探してみる。
相槌の中に込められたプレッシャー。そりゃあまあ、何も景色を楽しむために来た訳じゃない。
「コーヒーでも入れようか?」
それでも、大上さんは僕の緊張を案じてかつとめて紳士的だ。だからこそ、僕も誠意を持ってそれに応えなければならない。まあ、今からやろうとしているのはアレな事なんだけれど。
ありがたい申し入れを丁重に断ると、意を決して大上さんに向き直り、上着のボタンに手をかける。指が震えてなかなか外せない。なんとか脱ぎ去った上着をソファーの上にかけて、思い切ってTシャツも脱いだ。肌が外気に触れて少しひんやりとする。なにも、その、ちんちんを見せるだけなら上着を脱ぐ必要は無いんだけれど、これはなんというか雰囲気というか。
僕が脱いでいく間、大上さんは急かす訳でもなく距離を保ったままただじっと無表情に僕を見つめていた。時折、大きな耳が音の発生源を追跡するように追いかけたり、光沢のある滑らかな尻尾が不意にゆらりと揺れる。
とうとう、ズボンに差し掛かる。ズボンの上からでも勃起しているのは火を見るより明らかだ。ええいままよ、と幾分かの金音を立ててズボンが落ちる。前に張り出したトランクスの先端は、分泌された液体によって黒く濡れていた。
「あ、え、あの、えっと」
トランクスのゴムに手をかけて、目を泳がせながら何かの許可を得るかのように問いかける。何を今更。意気地なし。そんな声が心の中で聞こえてきた。
「大丈夫だよ、ちんちん見せて?」
大上さんの優しい言葉。トランクスをずり下ろすとゴムに引っ掛かったちんぽがブルンと跳ねて、先走りが糸を引いた。
とうとう、見られてしまった。初めてではないけれど、こうしてまた勃起したちんぽを大上さんに見せている。ただ大上さんは服を着ていて、僕だけが一矢纏わぬ姿の裸ん坊で、ちんぽを大きくしている異常な光景。ただ見られているだけなのに、それだけでちんぽの奥が疼いてしまう。
「あのっ、ち、ちんちんっ……!」
「うん、おっきなちんちんだね、ずっと見て欲しかったの?」
息が苦しい。酸欠で窒息しそうだ。
「お、大上さんっ、に……ちんちん、大きくなったところ、見て欲しくて!」
自分でも何を口走っているのかわからない。ただ、催眠にかけられたように心の中に隠し持っていた欲望を口にする。
「だいじょうぶ、ちんちん見てるからね」
その言葉に導かれて、赤黒く腫れ上がった亀頭を見せつけるように腰を突き出す。
「大きくて立派なちんちんだよ」
自分の存在が、欲望が肯定される。承認欲求が満たされる。胸の内側から大上さんが染み込んでいく感触に、軽く目眩を起こす。もっと、もっと見て欲しい。僕の全部を暴かれたい。
「もっと近くで見てもいいかな?」
ぴゅ、と先走りが飛び出た。
大上さんはゆっくりと僕に近づくと、恭しく膝を折って僕の前に跪く。腫れ上がったちんぽの目と鼻の先に大上さんの顔。ふわりとした毛並み。
「あっ、あぁ、お、がみさん……」
何という倒錯的な光景だろうか。先ほどまで外を歩いていた、科学館ではしゃいでいたその服装のままの大上さんの目の前に、先走りを垂らしている欲望の塊を差し出している。
くんくんっ
「は、ああっ!?」
鼻先をちんぽに近づけて、すんすんとその匂いを嗅がれ、思わず嬌声をあげてしまう。大上さんはうっとりとした様子で、二度三度とちんぽの匂いを確かめる。
「すご……ちんちんの匂い……」
大上さんの記憶の中に、僕のちんぽの匂いが刷り込まれていく。トランクスの中で先走りにまみれて蒸れたちんぽの匂い。お世辞にもいい匂いとは言えないだろう。
「におい、覚えてくださいね」
そう言って更に腰を突き出す。鼻先にちんぽが触れるまで、あと2センチ。
「あぁ、エッチな匂いだよ」
そう言ってスピスピと鼻を鳴らす度に吐き出される空気が亀頭を撫でつける。無意識のうちに右手がちんぽに伸びて、ゆるゆると前後にしごき始める。その度に先走りがニチャニチャと音を立てて、ちんぽの匂いをより一層拡散させる。気持ちいい。いつものオナニーよりも何百倍も増幅された快楽が脳内を走り回る。
「ひぃっ!?」
突然の暴力的な刺激に思わず声をあげてしまう。一心不乱にちんぽをしごいていると、ちんぽの匂いを嗅ぐ大上さんの真っ黒な鼻にぶにゅりと亀頭がぶつかった。熱く煮えたぎった亀頭が冷たい鼻によって熱を奪われる。
「すっ、すみま、せんっ」
若干腰を引いて、再びちんぽをしごきだす。
大上さんは上気した顔でべろりと鼻先を舐めてから、小さく息を吐いた。カケラほどに残った理性をもって、大上さんを観察しているとふんふんと匂いを嗅ぎながら徐々に鼻先がちんぽへと近づいてくる。少しだけ腰を引く。するとまたちんぽを追いかけるように近づいてくる。今度は思い切って一歩下がってみる。近づきながらも、大上さんは少し不満げに喉をぐる、と鳴らした。
手を止めて、大上さんを見ると上目遣いにアイコンタクト。僕の頭は支配欲と劣情がぐちゃぐちゃに入り乱れてしまう。
「お、大上さん」
主人の命令を待ちわびる犬の顔。こんなことはいけない。男同士で、性の捌け口のように、ペットのように扱うなんていけない。でも、僕はもう自分の中の悪魔を止められない。
「ち、ちんちんに、チューして……」
チュッ……
柔らかい唇と、毛のちくりとした感触。大上さんのマズルと僕のちんぽとの間に銀色の橋が出来る。
「ちんちん、すき?」
興奮の最中、恐る恐る問いかける。
「花房くんの大きいちんちん、大好きだよ」
思わず大上さんの頭を撫で回してしまいそうになるのを必死に堪える。
「あっ、も、もっと、ちんちん見て……チューして……」
ちゅ、ちゅっ
愛おしそうにちんぽを見つめながら、ついばむようにちんぽに口づけをする。その度に亀頭には痺れるような快感が走って、大上さんの毛を徐々に湿らせていく。
「エッチなちんちんだね」
その言葉に思わず身体がビクリと動き、そのはずみに亀頭が半分ほど口の中に入ってしまう。
「ふあっ、あぁ……」
先走りとは違う、唾液に濡れた亀頭。これは事故だ。あくまで偶然、一瞬口の中にちんぽが入ってしまっただけだ。
大上さんは呆然として、口を半開きにして鼻息を荒くしている。
チュッチュ、ぬちゅ
これはフェラチオなんかじゃなくて、あくまでちんちんへのチューなんだと自分に言い聞かせる。そうして大上さんの口に亀頭を押し付けて、舌の上に先走りを塗り付ける。
チュピッ、れちゅっ、ちゅっちゅっ
少しずつ大胆になりながら、口の中にちんぽを押し付ける。それでも、侵入させるのはせいぜい亀頭の半分程で、それ以上は入れない。そんな事になんの意味があるのだろうかと自問自答しつつもむず痒い快楽を貪る。大上さんも僕のちんぽを凝視しながら、口の中を出入りする亀頭の塩辛さを味わっている。
徐々に高まってくる射精感。このままだと出てしまう……
「大上さん……」
動きを止めて、大上さんの目を見る。その目は劣情に燃えていた。
「ちんちん、食べさせて……」
僕はその肉食獣の頭をゆっくりと撫でる。
許しを得たオオカミが、そのマズルの中にちんぽを滑り込ませていく。
ぐぷ、ぷっ
焼ける様な熱にちんぽが包まれる。声にならない声をあげて、半ば白目を剥いてしまい世界がぐるりと回る。
ぐぶぶっ、じゅぷっ
寄せては返す波の様に、根本までちんぽを飲み込んではまた亀頭の先端が見えそうなほど引き抜かれる。
「ちんちんおいしい?」
慈しむ様にオオカミの耳の裏を掻きながら問いかける。
「っは、うん、エッチなちんちん、おいしいよ」
綿毛を掴むほどの力でオオカミの頭を引き寄せると、再び太いマズルの中にちんぽが飲み込まれていく。
じゅぼっ、じゅぶっ、れちゃっ
ギラついた大きな犬歯で傷つけないように、慎重に、それでいて大胆な動きでちんぽに与えられる刺激が大きくなっていく。口内にすっかり収まったちんぽに、長い舌が巻く様に絡みついてちんぽが溶けてしまいそうだ。
「ちんちん気持ちいいっ! ちんちん食べられてるっ」
僕のちんぽが、大上さんの口の中に入っている。ちんぽを食べられている。
「ちんちんおいしい……んむっ」
息継ぎの合間に大上さんは感想を漏らす。
ちゅこっ、ぢゅっ、ぶぷっ
「あっ、だめ、いっちゃう、ちんちんいっちゃう」
裏腹に吸い上げる動きは一層激しさを増す。
ぐぼっ、ぐっぽぐっぽじゅるっ
「いっ、いく、口の中でちんちんぴゅっぴゅしちゃう……っ!」
煮えたぎった欲望を全部大上さんの口の中に吐き出してしまいたい。大上さんを僕のものにしたい。
びゅっ、びゅるっびゅ……びゅ
今までに人生の中で感じた事の無いほどの強大な快感。いつもなら、ティッシュの中に吐き出されるそれが大上さんの口の中を埋めていく。
「んむっ!? ん、むぐっ」
突然の出来事に、大上さんは目を白黒させながら困惑した呻き声を出す。
そりゃあ口内射精なんてされたのは初めてだろうから、どうしていいのかわからないといった様子だ。未だに質量を保ったままのちんぽを口に咥え、飲み込む事のできない精液で頬を膨らませたまま、子犬のような顔で僕を見つめている。
「ちんちんミルク、のんで?」
そう言いながら大上さんのマズルを掴み、マズルごとちんぽをしごくように軽く動かすと尿道に溜まっていた精液がどろりと口の中に垂れた。
「んぐっ、ごくっ……ふ、んんっ」
目を固くつぶり意を決して、喉を鳴らして精液を身体に取り込んでいく。嚥下する喉の動きが萎え始めたちんぽに緩やかな刺激を与える。
その姿がたまらなく愛おしくて、大上さんの頭を毛の流れをなぞるように何度も何度も撫でる。もちろん、性の捌け口として利用してしまったという罪悪感もちょっぴりあったけれど、それ以上に自分の身体の一部を取り込んだこのオオカミに対して、親愛のようなそれ以上の感情が芽生えていた。
やがて、ナマコの様にでろりと萎えたちんぽがマズルから引き抜かれる。
大上さんはぜえぜえと肩を上下させながらも、撫で続ける僕の手の動きに合わせて科学館で見たあの振り子のようにぱたりぱたりと尻尾を振る。
大上さんのズボンは気の毒なぐらいにテントを張っていて、山頂はぐっしょりと濡れて変色している。それが免罪符の様に、大上さんも性的な興奮を覚えてくれたんだとチクチクとした胸の痛みを少しだけ和らげた。
「大上さん」
片眉をあげて僕を見つめる二つの満月。
「お風呂入りましょ、あと……」
愛しいオオカミの下顎をさする。
「大上さんの、ちんちんにも……チューしていいですか?」
振り子はメトロノームになった。
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