4 / 64
五歳編
一話 稽古① (響)
しおりを挟む
西暦二九九〇年七月十八日
青く澄み渡る空が広がり、雲が風に流されていく。太陽から放たれる陽射しが肌を焦がすように刺激していた。見渡す限りに青々とした芝生が広がっている庭は広大で、牧場を連想させる。辺りは物静かで長閑な光景を映し出していた。
庭の片隅で響は武術の稽古を行っていた。相手をしているのは立花源十郎である。濃紺色のタキシード姿にも拘らず、汗一つ掻いていなかった。白髪をオールバックにした還暦を過ぎた男性だ。風祭家の従者であると同時に響の教育係も兼任している。
響が赤ん坊の時から世話をしているため、源十郎は第二の父親と言っても過言ではない。勉強だけではなく、武術や魔術も源十郎が指南している。筋骨隆々とした肉体は六十代に差し掛かっても衰えることなく、未だに現役の魔術師である。
源十郎と相対する響は、額から大粒の汗を掻きながら呼吸を荒くしていた。先程から響の繰り出す攻撃は悉く躱され、隙を見せると容赦なく反撃されていた。両者共に武術の稽古をしているとは思えないほど、真剣な表情をしていた。
響は呼吸を整えると、素早く源十郎に接近する。懐に潜り込み、流れるような動作で正拳突きを繰り出した。鳩尾を的確に狙っていたが、あっさりと躱された。源十郎は身を引くだけで躱すと、左足を軸足にして右足で中段前蹴りを繰り出した。
響は咄嗟の判断で後転しながら跳躍して源十郎から離れる。だが、源十郎には完全に読まれていた。響が着地する地点に先回りし、上段廻し蹴りを放つ。空中で身動きの取れない響は、両腕を顔の前でクロスさせ、防御体勢に入ることで精一杯だった。
凄まじい衝撃が両腕に襲い掛かり、響は豪快に吹き飛ばされた。芝生の上を何度も跳ねるように転がった。それでも源十郎の攻撃は終わらなかった。響が転がった先に回り込むと、響の身体を強引に蹴り上げた。回避も防御もする暇がなかった。
宙に投げ出された響は空中で後転して体勢を整えるが、再び源十郎が真上に表れた。響もやられてばかりではない。空中で腕を振り被ると、拳を連続で放った。常人には理解しがたい速度の攻撃を何度も繰り出していた。
源十郎と響の拳がぶつかり合う度に、轟音が鳴り響いた。五歳の少年とは思えない攻防戦だった。激しい連打の応酬に源十郎でさえも、思わず舌を巻いた。身長、体格、筋力、体力、経験の差を物ともせずに、攻撃を繰り出していた。
だが、響の攻撃は一向に当たらない。全ての攻撃が源十郎によって、上手く誘導されていた。それでも響は臆することなく、攻撃を続けた。掌底打ちと正拳突きを交互に繰り出し、隙を窺っては中段前蹴り、上段前蹴りの連打を繰り出していた。
「響様、もっと相手の行動を深く読んで下さい。大切なのは予測と把握、そして相手の癖を見極めることです。もっと大袈裟に言いますと相手の行動を先読みするイメージです。ただ、がむしゃらに攻撃を繰り返すだけでは意味がありません」
「はい。でも、どうやって相手の行動を先読みするのですか?」
両者共に会話をしながら手足を忙しなく動かし、連打を繰り出していた。空中での激しい攻防戦が続き、集中力が途切れることはなかった。油断すると闘いは、あっという間に決着が付いてしまう。それほどまでにシビアな稽古を行っていた。
「頭で考えるのではなく、感じるのです」
「どういう意味ですか?」
「稽古を続けていくうちに身につきます」
「分かりました」
響が中段前蹴りを繰り出すと、源十郎も中段前蹴りを繰り出した。両者の足が交差し、凄まじい衝撃が右足に襲い掛かる。それでも響は気にする素振りを見せなかった。そのまま反動を利用して、後転しながら跳躍して源十郎から距離を取った。
「はぁはぁ……」
地面に着地した響は呼吸を整える。頬をなぞるように大粒の汗が流れ、両手足がビリビリと痺れていた。いくら痛みに慣れたと言っても、まだ五歳の少年である。両手足が赤く腫れ上がっていた。それでも気にしている余裕がなかった。
三歳から英才教育を始め、二年目の夏。鍛錬を日常的に続けているため、ある程度の成長は実感できた。三歳の頃に比べたら身体の動きも良くなったし、筋肉も発達してきている。手加減をしている源十郎と良い勝負ができるようになってきていた。
少しばかり自信が持てるようになってきてはいる。それでも源十郎に攻撃を当てることは一度も叶わなかった。響は唇を噛み締め、拳を握り潰した。今のペースで鍛錬を続けていても源十郎だけではなく、誠一や紅葉にも追い付けそうになかった。
二人の兄姉は既に魔術を自在に操り、武術でさえも響を圧巻する実力を持っていた。どんなに努力を重ねても追いつけない。歯痒い気持ちが胸を締め付ける。悔しかった。悲しかった。魔術を使えないのであれば武術で巻き返そうとした。
魔術が扱えないのであれば勉強では追い抜かれないように努力を重ねた。しかし、誠一も紅葉も響には持ちえない天賦の才を持っていた。その上、努力を怠らない。付け入る隙がないと表現するしかなかった。
響との差は開いていく一方で、今では二人の兄姉を見上げるようになっていた。気付いたらどんなに努力を重ねても追いつけない距離にまで達していた。毎日、朝から晩まで武術の稽古を繰り返し、同時に魔術の鍛錬も同様に繰り返した。
合間を見ては勉強も繰り返し、何度も何度も努力を重ねてきた。血の滲むような二年を過ごしてきた。響に休日など存在しなかった。朝から晩までスケジュールがみっちりと詰まり、二人の兄姉に追いつくことで頭が一杯だった。
少しでも鍛錬を怠ると、誠一や紅葉との差が一方的に広がっていく。これ以上の差は許容できるはずがなかった。一分、一秒でも無駄にはできない。五歳の少年が過ごす日課とは思えないほどの修練を積んでいた。
三歳以前の記憶は朧気で殆ど覚えていない。しかし、三歳の誕生日を迎えると同時に厳しい英才教育が始まった。初めは厳しかった武術の稽古も勉強も慣れてしまえば苦でなかった。日に日に厳しさが増していたが、挫けることはなかった。
例え、どんなに厳しい鍛錬でも乗り越えることができ、難しい勉強でさえも解き明かすことができた。しかし、どんなに努力を重ねても魔術だけは成果を上げることが出来ずにいた。それでも親族は誰一人として響を責めることをしなかった。
武術の稽古も魔術の鍛錬も勉強でさえも、二人の兄姉と同じ環境で同じことを学んでも圧倒的な差が存在した。それでも父親も母親も優しく接してくれていた。温かい家庭に恵まれ、響も笑顔が絶えない明るい少年だった。
同世代の子供達に比べたら礼儀や作法もきちんとしていた。言葉も早くに覚え、相手のことを思いやって接することもできた。魔術は扱えないが、早熟で将来性が期待できる。この時の評価はその程度だった。
響の家系は代々から有能な魔術師を輩出してきた歴史ある名家である。響を含めた四人の兄妹は将来を嘱望されていた。厳しさの中に確かな愛があった。勿論、紅葉や誠一に対する教育も厳しかった。二人の兄姉が努力している姿を見てきた。
だが、響もまた風祭家の次男として相応しく育つように徹底的な教育が施され、毎日が死に物狂いだった。朝から晩まで勉強と鍛錬を繰り返し、遊んでいる時間はなかった。だからこそ友達と呼べる知り合いは少なかった。
それでも不憫だとは思わなかった。家族がいたからだ。響の両親は仕事が忙しく、家にいることが珍しかった。それでもできる限り、家族の時間を大切にする両親であった。少しでも子供達と触れ合う時間を作ろうと努力していることを理解していた。
「響様、少し休憩しますか?」
「いえ、続けましょう。稽古の最中に考え事をして申し訳ありません。次は集中するので」
「では、行きますよ。」
「ええ、いつでも来て下さい。次こそは攻撃を当ててみせます。」
青く澄み渡る空が広がり、雲が風に流されていく。太陽から放たれる陽射しが肌を焦がすように刺激していた。見渡す限りに青々とした芝生が広がっている庭は広大で、牧場を連想させる。辺りは物静かで長閑な光景を映し出していた。
庭の片隅で響は武術の稽古を行っていた。相手をしているのは立花源十郎である。濃紺色のタキシード姿にも拘らず、汗一つ掻いていなかった。白髪をオールバックにした還暦を過ぎた男性だ。風祭家の従者であると同時に響の教育係も兼任している。
響が赤ん坊の時から世話をしているため、源十郎は第二の父親と言っても過言ではない。勉強だけではなく、武術や魔術も源十郎が指南している。筋骨隆々とした肉体は六十代に差し掛かっても衰えることなく、未だに現役の魔術師である。
源十郎と相対する響は、額から大粒の汗を掻きながら呼吸を荒くしていた。先程から響の繰り出す攻撃は悉く躱され、隙を見せると容赦なく反撃されていた。両者共に武術の稽古をしているとは思えないほど、真剣な表情をしていた。
響は呼吸を整えると、素早く源十郎に接近する。懐に潜り込み、流れるような動作で正拳突きを繰り出した。鳩尾を的確に狙っていたが、あっさりと躱された。源十郎は身を引くだけで躱すと、左足を軸足にして右足で中段前蹴りを繰り出した。
響は咄嗟の判断で後転しながら跳躍して源十郎から離れる。だが、源十郎には完全に読まれていた。響が着地する地点に先回りし、上段廻し蹴りを放つ。空中で身動きの取れない響は、両腕を顔の前でクロスさせ、防御体勢に入ることで精一杯だった。
凄まじい衝撃が両腕に襲い掛かり、響は豪快に吹き飛ばされた。芝生の上を何度も跳ねるように転がった。それでも源十郎の攻撃は終わらなかった。響が転がった先に回り込むと、響の身体を強引に蹴り上げた。回避も防御もする暇がなかった。
宙に投げ出された響は空中で後転して体勢を整えるが、再び源十郎が真上に表れた。響もやられてばかりではない。空中で腕を振り被ると、拳を連続で放った。常人には理解しがたい速度の攻撃を何度も繰り出していた。
源十郎と響の拳がぶつかり合う度に、轟音が鳴り響いた。五歳の少年とは思えない攻防戦だった。激しい連打の応酬に源十郎でさえも、思わず舌を巻いた。身長、体格、筋力、体力、経験の差を物ともせずに、攻撃を繰り出していた。
だが、響の攻撃は一向に当たらない。全ての攻撃が源十郎によって、上手く誘導されていた。それでも響は臆することなく、攻撃を続けた。掌底打ちと正拳突きを交互に繰り出し、隙を窺っては中段前蹴り、上段前蹴りの連打を繰り出していた。
「響様、もっと相手の行動を深く読んで下さい。大切なのは予測と把握、そして相手の癖を見極めることです。もっと大袈裟に言いますと相手の行動を先読みするイメージです。ただ、がむしゃらに攻撃を繰り返すだけでは意味がありません」
「はい。でも、どうやって相手の行動を先読みするのですか?」
両者共に会話をしながら手足を忙しなく動かし、連打を繰り出していた。空中での激しい攻防戦が続き、集中力が途切れることはなかった。油断すると闘いは、あっという間に決着が付いてしまう。それほどまでにシビアな稽古を行っていた。
「頭で考えるのではなく、感じるのです」
「どういう意味ですか?」
「稽古を続けていくうちに身につきます」
「分かりました」
響が中段前蹴りを繰り出すと、源十郎も中段前蹴りを繰り出した。両者の足が交差し、凄まじい衝撃が右足に襲い掛かる。それでも響は気にする素振りを見せなかった。そのまま反動を利用して、後転しながら跳躍して源十郎から距離を取った。
「はぁはぁ……」
地面に着地した響は呼吸を整える。頬をなぞるように大粒の汗が流れ、両手足がビリビリと痺れていた。いくら痛みに慣れたと言っても、まだ五歳の少年である。両手足が赤く腫れ上がっていた。それでも気にしている余裕がなかった。
三歳から英才教育を始め、二年目の夏。鍛錬を日常的に続けているため、ある程度の成長は実感できた。三歳の頃に比べたら身体の動きも良くなったし、筋肉も発達してきている。手加減をしている源十郎と良い勝負ができるようになってきていた。
少しばかり自信が持てるようになってきてはいる。それでも源十郎に攻撃を当てることは一度も叶わなかった。響は唇を噛み締め、拳を握り潰した。今のペースで鍛錬を続けていても源十郎だけではなく、誠一や紅葉にも追い付けそうになかった。
二人の兄姉は既に魔術を自在に操り、武術でさえも響を圧巻する実力を持っていた。どんなに努力を重ねても追いつけない。歯痒い気持ちが胸を締め付ける。悔しかった。悲しかった。魔術を使えないのであれば武術で巻き返そうとした。
魔術が扱えないのであれば勉強では追い抜かれないように努力を重ねた。しかし、誠一も紅葉も響には持ちえない天賦の才を持っていた。その上、努力を怠らない。付け入る隙がないと表現するしかなかった。
響との差は開いていく一方で、今では二人の兄姉を見上げるようになっていた。気付いたらどんなに努力を重ねても追いつけない距離にまで達していた。毎日、朝から晩まで武術の稽古を繰り返し、同時に魔術の鍛錬も同様に繰り返した。
合間を見ては勉強も繰り返し、何度も何度も努力を重ねてきた。血の滲むような二年を過ごしてきた。響に休日など存在しなかった。朝から晩までスケジュールがみっちりと詰まり、二人の兄姉に追いつくことで頭が一杯だった。
少しでも鍛錬を怠ると、誠一や紅葉との差が一方的に広がっていく。これ以上の差は許容できるはずがなかった。一分、一秒でも無駄にはできない。五歳の少年が過ごす日課とは思えないほどの修練を積んでいた。
三歳以前の記憶は朧気で殆ど覚えていない。しかし、三歳の誕生日を迎えると同時に厳しい英才教育が始まった。初めは厳しかった武術の稽古も勉強も慣れてしまえば苦でなかった。日に日に厳しさが増していたが、挫けることはなかった。
例え、どんなに厳しい鍛錬でも乗り越えることができ、難しい勉強でさえも解き明かすことができた。しかし、どんなに努力を重ねても魔術だけは成果を上げることが出来ずにいた。それでも親族は誰一人として響を責めることをしなかった。
武術の稽古も魔術の鍛錬も勉強でさえも、二人の兄姉と同じ環境で同じことを学んでも圧倒的な差が存在した。それでも父親も母親も優しく接してくれていた。温かい家庭に恵まれ、響も笑顔が絶えない明るい少年だった。
同世代の子供達に比べたら礼儀や作法もきちんとしていた。言葉も早くに覚え、相手のことを思いやって接することもできた。魔術は扱えないが、早熟で将来性が期待できる。この時の評価はその程度だった。
響の家系は代々から有能な魔術師を輩出してきた歴史ある名家である。響を含めた四人の兄妹は将来を嘱望されていた。厳しさの中に確かな愛があった。勿論、紅葉や誠一に対する教育も厳しかった。二人の兄姉が努力している姿を見てきた。
だが、響もまた風祭家の次男として相応しく育つように徹底的な教育が施され、毎日が死に物狂いだった。朝から晩まで勉強と鍛錬を繰り返し、遊んでいる時間はなかった。だからこそ友達と呼べる知り合いは少なかった。
それでも不憫だとは思わなかった。家族がいたからだ。響の両親は仕事が忙しく、家にいることが珍しかった。それでもできる限り、家族の時間を大切にする両親であった。少しでも子供達と触れ合う時間を作ろうと努力していることを理解していた。
「響様、少し休憩しますか?」
「いえ、続けましょう。稽古の最中に考え事をして申し訳ありません。次は集中するので」
「では、行きますよ。」
「ええ、いつでも来て下さい。次こそは攻撃を当ててみせます。」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ようこそ『異能者の夜会』へ
ロシキ
ファンタジー
ある日、おかしな夢を見た
何も見えず、何も言えず、何も感じれない夢
ただ、誰かの声だけは聞こえた
「ようこそ、『異能者の夜会』へ」
その一言だけが、強く印象に残っている
※設定ふわふわ
ご都合主義です。
名前は主要人物以外はあまり出てきません。
作中では登場人物や設定の詳しい説明は少なめですので、気になる方は『簡易設定』もご覧ください。
『簡易設定』は読まなくとも話は分かるように書いていますので、ご安心下さい。
投稿予定
1日目
〜13時 合計3話投稿
18時30分〜20時30分 1時間毎に投稿
投稿開始2日目
11時30分〜13時30分
18時30分〜20時30分
1時間毎に合計6話投稿
3日目以降、12時30分に1話づつ投稿
1話目安1100字前後
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる