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第12話 レベルが上がらなくて困ってます(前編)
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最近何かと面倒ごとに巻き込まれそうになりがちなアリアは、いざというときのために箒の魔導具を扱う練習を行っている。
そして今日もアリアは、その練習のために箒を振り回して風のマナをかき集めている模様。
「よし、マナはこれくらいでいいかな。さて、今日はどんな魔法を試そうか、うーん……」
アリアは箒を眺めながら考えこんでいる。
そして、何かを思いついた模様。
「これ、いけるかな?」
アリアは横向きにした箒の上に腰かけた。
そしてその状態で箒から風を噴出させる。
「えいっ!」
するとアリアを乗せたその箒は、勢いよく空中に飛び上がったのである。
「わあぁぁっ! ……と…飛べた? だめもとで試してみただけなんだけど、ほんとに飛べちゃった?」
どうやらアリアは、魔導具の箒で空を飛ぶ魔法を編み出してしまったようである。
「わぁぁ、すっごーい。いつまでも飛んでいられる……。そっか、箒で飛んでいると自動的にマナがかき集められるから、ずっと飛んでいられるのかも」
そう、大気中に含まれる風のマナは高度の高い場所ほど濃い傾向があるため、一定以上の高さ、一定以上のスピードで飛んでいる間は、飛行に必要な風のマナが切れることはないのである。
そしてしばらくの間、魔女の館の上空をぐるぐると飛び続けていたアリアは、だんだんこの箒で飛ぶことが楽しくなってきて、せっかくだからちょっと遠出でもしてみよう…などと思いいたってしまった模様。
「ええっと、どこに行こうかなー…」
そんなことを言いながらアリアは空中で辺りをぐるっと見回す。
すると、アリアの目にあるものが映り込んでしまった。
それは、リッカがユヅキを連れて行ってしまったと思われる、強い魔物がうようよといる山。
「あー……」
アリアはその山を目にしてしまったことで、先ほどまでの楽しい気持ちが一気に失せてしまった。
そしてそれと同時に、ユヅキへの心配の気持ちが大きくなってくる。
「ユヅキさん、大丈夫かな。町に戻って来てる様子もないし、ちょっと様子を見に行ったほうがいいのかな」
こうしてアリアは、その山のほうへと向けて箒を飛ばすのであった。
魔女の館から例の山までは、普通に歩けば結構な距離であるものの、箒に乗って飛んでいるアリアにとってはあっという間。
こうして山の近くまでやってきたアリアは、さっそくユヅキを探すために辺りを見回した。
「ユヅキさん、まだここにいるのかな。もう帰ってくれてればいいんだけど……」
だが、ユヅキはまだ帰ってはいなかった。
今ちょうど山から下りてきたところで、何かから逃げるように必死に走っている模様。
「きゃあぁぁぁっ!」
「ブゴォォォッ!」
必死に走るユヅキの背後に見えるのは、豚の獣人系魔物、オーク。
オークはたとえ異種族であっても異性に対してはひどく興奮し追い回してくる習性があるため、一度見つかってしまったら逃げ切るのは困難。
この状況を切り抜けるためには、もうオークを倒す以外にないのだが、ユヅキがここまで必死に逃げている…ということは、まだオークを倒せるほどのレベルにはなっていないということ。
そしてリッカの姿も近くには見当たらない。
「あわわわわわわっ! どうしてリッカさん、ユヅキさんを一人にしてるんですかっ!」
さすがにこのままではまずいと思ったアリアは、箒をユヅキのそばまで寄せていった。
「大丈夫ですか?ユヅキさん」
「アリアさんっ! 私もう、これ以上は足がっ…」
「ユヅキさん、つかまってください!」
すでに足が限界に達しているユヅキを助けるために、アリアは箒の上から手を伸ばした。
そして、ユヅキはその手を取って箒に飛び乗った……が、この箒で集めたマナは人の持つ魔力に触れると霧散してしまう。
ユヅキは魔法の存在しない世界から来た人間であるため、元々は魔力を持っていなかったが、勇者としてのレベルを一つ上げてしまっているため、そのときにわずかばかりの魔力を獲得している。
つまり…
「えっ? あわっ…わわわっ!」
「アリアさ…」
「きゃあぁぁぁっ!」
「わあぁぁぁっ!」
箒の中にたまっていた魔力は全て消し飛んでしまい、二人は地面に墜落することになるのであった。
「ブゴゴゴゴゴゴ……」
アリア&ユヅキ、絶体絶命。
そして今日もアリアは、その練習のために箒を振り回して風のマナをかき集めている模様。
「よし、マナはこれくらいでいいかな。さて、今日はどんな魔法を試そうか、うーん……」
アリアは箒を眺めながら考えこんでいる。
そして、何かを思いついた模様。
「これ、いけるかな?」
アリアは横向きにした箒の上に腰かけた。
そしてその状態で箒から風を噴出させる。
「えいっ!」
するとアリアを乗せたその箒は、勢いよく空中に飛び上がったのである。
「わあぁぁっ! ……と…飛べた? だめもとで試してみただけなんだけど、ほんとに飛べちゃった?」
どうやらアリアは、魔導具の箒で空を飛ぶ魔法を編み出してしまったようである。
「わぁぁ、すっごーい。いつまでも飛んでいられる……。そっか、箒で飛んでいると自動的にマナがかき集められるから、ずっと飛んでいられるのかも」
そう、大気中に含まれる風のマナは高度の高い場所ほど濃い傾向があるため、一定以上の高さ、一定以上のスピードで飛んでいる間は、飛行に必要な風のマナが切れることはないのである。
そしてしばらくの間、魔女の館の上空をぐるぐると飛び続けていたアリアは、だんだんこの箒で飛ぶことが楽しくなってきて、せっかくだからちょっと遠出でもしてみよう…などと思いいたってしまった模様。
「ええっと、どこに行こうかなー…」
そんなことを言いながらアリアは空中で辺りをぐるっと見回す。
すると、アリアの目にあるものが映り込んでしまった。
それは、リッカがユヅキを連れて行ってしまったと思われる、強い魔物がうようよといる山。
「あー……」
アリアはその山を目にしてしまったことで、先ほどまでの楽しい気持ちが一気に失せてしまった。
そしてそれと同時に、ユヅキへの心配の気持ちが大きくなってくる。
「ユヅキさん、大丈夫かな。町に戻って来てる様子もないし、ちょっと様子を見に行ったほうがいいのかな」
こうしてアリアは、その山のほうへと向けて箒を飛ばすのであった。
魔女の館から例の山までは、普通に歩けば結構な距離であるものの、箒に乗って飛んでいるアリアにとってはあっという間。
こうして山の近くまでやってきたアリアは、さっそくユヅキを探すために辺りを見回した。
「ユヅキさん、まだここにいるのかな。もう帰ってくれてればいいんだけど……」
だが、ユヅキはまだ帰ってはいなかった。
今ちょうど山から下りてきたところで、何かから逃げるように必死に走っている模様。
「きゃあぁぁぁっ!」
「ブゴォォォッ!」
必死に走るユヅキの背後に見えるのは、豚の獣人系魔物、オーク。
オークはたとえ異種族であっても異性に対してはひどく興奮し追い回してくる習性があるため、一度見つかってしまったら逃げ切るのは困難。
この状況を切り抜けるためには、もうオークを倒す以外にないのだが、ユヅキがここまで必死に逃げている…ということは、まだオークを倒せるほどのレベルにはなっていないということ。
そしてリッカの姿も近くには見当たらない。
「あわわわわわわっ! どうしてリッカさん、ユヅキさんを一人にしてるんですかっ!」
さすがにこのままではまずいと思ったアリアは、箒をユヅキのそばまで寄せていった。
「大丈夫ですか?ユヅキさん」
「アリアさんっ! 私もう、これ以上は足がっ…」
「ユヅキさん、つかまってください!」
すでに足が限界に達しているユヅキを助けるために、アリアは箒の上から手を伸ばした。
そして、ユヅキはその手を取って箒に飛び乗った……が、この箒で集めたマナは人の持つ魔力に触れると霧散してしまう。
ユヅキは魔法の存在しない世界から来た人間であるため、元々は魔力を持っていなかったが、勇者としてのレベルを一つ上げてしまっているため、そのときにわずかばかりの魔力を獲得している。
つまり…
「えっ? あわっ…わわわっ!」
「アリアさ…」
「きゃあぁぁぁっ!」
「わあぁぁぁっ!」
箒の中にたまっていた魔力は全て消し飛んでしまい、二人は地面に墜落することになるのであった。
「ブゴゴゴゴゴゴ……」
アリア&ユヅキ、絶体絶命。
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