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過去に禍殃を討伐した伝説の死神のように、人知れず世界を救ったソウタたち。
「すみません、クライドさん」
「んあ? おでになにかようかぁ?」
「ちょっと、この岩をあっちに運ぶのを手伝ってくれませんか? あとで使うかもしれないみたいで」
「もぉちろんだ、力仕事ならおでにまかせてくれぇ」
「ありがとうございます。あ、キーランさん! それ、明日やるので置いといてください! ……っと、サマキさん、大丈夫ですか?」
「おお、すまんな。助かったよ」
「いえ、もしまた穴掘りスキルが必要になったら、いつでもいってください」
「ありがとう。じゃが……わしはそろそろ、お役御免かもしれんの」
「何を言っているんですか! ここだけの話、サマキさんが頑張ってる姿を見るだけで、こっちはもっと頑張らなきゃって思うんです。働いている姿、かっこいいです」
その栄光を世界から讃えられることはないが、そこにはソウタの充実した姿があった。
「じゃあ、すみません! あとお願いします!」
急いで職場をあとにすると、すぐそばで三人のパーティメンバーがソウタを待っていた。
「ごめん、おまたせ」
「そんなに待ってないわ。今ちょうど、行先がザラミル付近の海底にあるダンジョンに決まったところよ」
「おお、そうか。じゃあ、早速いこう」
リヴィエッタの時空間魔法を使って、ザラミル付近に飛んだ。
「しかしなぁ……なんか、世界を救ったっていっても、普段と変わらない日常が待っていたな」
「わたしは実際に禍殃をこの目で見ることができたし、データもたくさん取れたから満足だけどね~」
「私も同感です! 禍殃学において、私たちの右側に出る人なんていませんよ! ただ、論文を発表できないというのがとても残念ですが……」
「心配しなくても、ルシェが研究結果を後世に残してくれるわ。そのとき貴方たちの名前も入れてもらったら?」
「全員の名前を入れるつもりだよ~。もちろん、リオちゃんもね」
「おおっ! ありがとうございます! 私たち、きっと伝説になりますよ!」
「それで十分過ぎるほどじゃない?」
かく言うソウタも、富や名声より大切なものを得た現状には満足していた。
「ま、それもそうだな」
今夜も一行はダンジョンに向けて歩き出した。
――さあ、冒険だ。
「すみません、クライドさん」
「んあ? おでになにかようかぁ?」
「ちょっと、この岩をあっちに運ぶのを手伝ってくれませんか? あとで使うかもしれないみたいで」
「もぉちろんだ、力仕事ならおでにまかせてくれぇ」
「ありがとうございます。あ、キーランさん! それ、明日やるので置いといてください! ……っと、サマキさん、大丈夫ですか?」
「おお、すまんな。助かったよ」
「いえ、もしまた穴掘りスキルが必要になったら、いつでもいってください」
「ありがとう。じゃが……わしはそろそろ、お役御免かもしれんの」
「何を言っているんですか! ここだけの話、サマキさんが頑張ってる姿を見るだけで、こっちはもっと頑張らなきゃって思うんです。働いている姿、かっこいいです」
その栄光を世界から讃えられることはないが、そこにはソウタの充実した姿があった。
「じゃあ、すみません! あとお願いします!」
急いで職場をあとにすると、すぐそばで三人のパーティメンバーがソウタを待っていた。
「ごめん、おまたせ」
「そんなに待ってないわ。今ちょうど、行先がザラミル付近の海底にあるダンジョンに決まったところよ」
「おお、そうか。じゃあ、早速いこう」
リヴィエッタの時空間魔法を使って、ザラミル付近に飛んだ。
「しかしなぁ……なんか、世界を救ったっていっても、普段と変わらない日常が待っていたな」
「わたしは実際に禍殃をこの目で見ることができたし、データもたくさん取れたから満足だけどね~」
「私も同感です! 禍殃学において、私たちの右側に出る人なんていませんよ! ただ、論文を発表できないというのがとても残念ですが……」
「心配しなくても、ルシェが研究結果を後世に残してくれるわ。そのとき貴方たちの名前も入れてもらったら?」
「全員の名前を入れるつもりだよ~。もちろん、リオちゃんもね」
「おおっ! ありがとうございます! 私たち、きっと伝説になりますよ!」
「それで十分過ぎるほどじゃない?」
かく言うソウタも、富や名声より大切なものを得た現状には満足していた。
「ま、それもそうだな」
今夜も一行はダンジョンに向けて歩き出した。
――さあ、冒険だ。
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