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第三章
閑話 佐伯雅史のひとりごと
しおりを挟むこの日のゼクロス達は、2番目のエリアのディルドラ王国にあるレストという町の北で「アーマーオーク」を討伐するクエストをしていた。
PTは、パラディンのゼクロス、ソルジャーのクレイド、ガードナイトのライナス、そして新たに入ったビショップのリオールであった。
前衛3人、支援一人のこの布陣は、リオールが提案したもので、戦士3人でのスキルを用いた白兵と、回復系魔法の覚えが早いビショップのリオールの回復魔法「ハイヒール」でのHP回復により、アーマーオークは相手にもならず、曇天模様の岩場のMAPで、無難にクエストは進んでいた。
「この調子なら、楽にいけそうだな」とゼクロスは余裕をかましていたが、油断大敵とはいったもので、またも場違いな強力そうなモンスターと遭遇した。
翼の生えた巨大な黒いリザードマンが、PTの前に立ちはだかったのだ。
この巨大な黒いリザードマンは、意外に俊敏でもあり、曲刀を以って、前衛のゼクロスに斬りつける。
「ぐはっ!」
ゼクロスは、HPの6割を超える大ダメージを受けて、慌てて「パリィ」で防御態勢に入る。
「危ないわ、持ちこたえて!」
リオールが素早く「ハイヒール」でゼクロスのHPの4割弱を回復させる。
「このっ!」
クレイドが白兵にはいり、この黒いリザードマンに、新しく覚えた打撃スキル「デストロイクラッシュ」を使い、ヘビーメイスで殴りつける。ギロリとクレイドを睨んでターゲットする黒いリザードマン。
「おっと、やらせないよ!」
そこにライナスが、ターゲットを取る「ヘイト」上昇系スキル「ドレッドノート・アタック」をブロードソードで仕掛けて、この突きスキルで、黒いリザードマンのターゲットを自分に向ける。
この「ドレッドノート・アタック」は、相手とのLV差が高いほど、高いヘイト値が取れるので、ライナスはこれを連打して、ターゲットを自分に固定しにかかる。
もちろん、黒いリザードマンの攻撃が向かうわけだが、この時、ライナスはプレートメイルにガントレット、レッグガードにオープンヘルム、さらにはラージシールドまで持った重装備であったので、2割強のHPダメージでこの曲刀による攻撃をしのぐ。
(これは見たところデーモン系だな。なら、あれでいけるはずだ)
そう思い、ゼクロスは、クラススイッチして「パラディン」から「ホーリーナイト」になると、魔族やアンデッド系に絶大なダメージを与えるスキル「聖光剣」での斬撃を、この黒いリザードマンに浴びせた。黒いリザードマンは、予想通り魔族の類であったようで、そのHPバーが3割程削れる。
「前衛は大丈夫だな。よし、僕は支援に回る!」
クレイドはこれを見て、自分も後ろに引きながらクラススイッチして「ウィザード」になると「ステータス・ブレイク」の魔法でこの黒いリザードマンの防御力を大幅に下げた。
ターゲットを取り続けるライナスのHPは、リオールが回復魔法「ハイヒール」で治している。
「弱体化させるから、止めは頼むぞ、ゼクロス!」
クレイドは「ステータス・ブレイク」の魔法でさらに黒いリザードマンの素早さも大幅に下げる。
「これで決まりだ!!」
そして、ゼクロスが、その支援を受けて、スキル「聖光剣」での2撃目、3撃目を入れると、黒いリザードマンはHPが0になって「グェェェェェ」と断末魔を上げて、黒くなって、かき消えた。
「LVUP!」PT全員のLVが上がる。
「結構きつい相手だったな。リオールの提案したこの編成でなかったら、もっと危なかったかもしれない。助かったよ」
手で軽く自分の頭をかきつつ、ゼクロスがリオールに礼を言う。司祭服姿のリオールは口元に笑みを浮かべて、曰く。
「私の編成もそうですが、PTのみんなの連携がうまくいった上での勝利ですよ?相手モンスターとの相性もありますから、色々メンバーを入れ替えて、有効だと思える編成で討伐クエストを受けるともっといいですね」とのこと。
ゼクロス達は、この後ポーション類でHPとSP、MPを回復させて、「アーマーオーク討伐」の続きをこなすと、翼のペンダントで、ギルド拠点に戻り、ギルドクエストカウンターに報告した。
するとギルドLVが10になり、拠点が小屋から家屋にレベルアップした。
「よし、大分見栄えもよくなってきたな」とゼクロスは満足そうに言い、ギルド拠点のワープポイントから、セルフィの街の中央公園に戻り、エリシャの隠れ家的な店に帰還した。
このとき、店では、ちょっとしたハプニングが起こっていた……。
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