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番外編〜新婚の悩み〜 2
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「ねぇ、あんた達、早速離婚するの?」
「は?」
マリアに聞いた所によると、寝室を別にすると言っているのを通りすがりの人が聞いたらしく、瞬く間に私達の離婚説が校舎を駆け巡ったようだった。
「…ありえないわ…私はただ、寝たいだけなのに…」
「あんた達の噂は回るの早いからねぇ。てか、あんたの旦那、大丈夫なの?」
「うーん…生気を無くした瞳をしてたけど、死んではないと思うわ!」
「や、もうそれ限界超えてるじゃない。帰ったら、ちゃんと寝不足だから寝たいって説明しなさいよ?」
「あ、確かに。言ってなかったかも」
「赤き甘えっ子ちゃんが、赤き暴れ熊になるかもね」
「うわ、それヤダ…」
私達はそんな話をしていたのだ、何気なく。
突然寝室を分けると言われたハルトの気持ちなんて考えていなかったのだ。
噂が中々の広まりを見せた頃、放課後になっていた。
私はハルトを迎えに騎士科の皆さんが集う訓練所へと足を運んだ。
「え?」
訓練所には、ぶっ倒れる騎士科の皆さんがごろごろと転がっている。
何だこれは。
凄い訓練してるんだな、感心感心と思っていると、数人対1人で打ち合いをしている光景が目に入る。
「あ、ハルト」
1人で対戦している方がハルトだったが、様子がおかしい。
打ち合う、というより叩きのめしているように見える。
「あれじゃ訓練じゃなくて、ただの暴力よ」
私はひらりと塀を超えて、打ち合いをしている所まで近寄った。
「ヴィオレット様!近寄らないで下さい!!危ないですから!!」
周りで見ていた騎士科の方々が口々に叫ぶ。
危ないわよね、あの赤い暴力熊。
周りが見えてるのかしら。
「ハルト」
暴れ回っているハルトに声を掛けたら、ハルトの表情がぐしゃりと崩れてくるりと背を向けた。
「帰れ、ヴィー」
そっけなく帰れと言われるが…。
「帰れないわね、この暴力熊を置いては」
私はハルトに向かって遠慮なく近付いて行く。
騎士科の皆さんが「ヤバいって!」と慌てているが、知ったことではない。ヤバいのはとばっちりを食らってるあなた方だ。
「帰れよ、俺となんて居たくないんだろ!」
「はぁ?何を言ってるのよ、そんな訳ないでしょ」
「実家に帰るって言ったじゃねぇか!!」
「それはハルトがゴネるからでしょ」
「いきなり寝室別にするって言われて、はい、そうですかなんてなる訳ないだろ!!」
瞬時に理解した。
ハルトは、悲しいんだ、と。
理由もわからずに寝室を分けると言われて。
でもね?
「ねぇ、ハルト。何故、寝室を分けましょうって言われたか、理由は考えたのかしら?」
「はぁ?そんなのヴィーが俺を嫌ったからに決まってるだろ!」
「決まってる…ねぇ?じゃあ、何で嫌われたのかは考えたのかしら?」
「んなのヴィーが俺に愛想尽かしたからだろ!!!言わせんなよそんなの!!!」
悲痛な声が響き渡る。
騎士科の皆さんも、固唾を飲んで見守っている。
……が。
私は沸々と怒りが湧いて来た。
元はと言えば、ハルトが毎日毎日朝までやりっぱなしだから私が睡眠不足になったわけで。
だいたいこの顔のクマの酷さに気付かないのもどうなの?
状況見えてないでしょ、絶対。
浮かれすぎてるだけでしょ。
「ハルト、あなた状況判断が甘いんじゃない?自分嫌われた!みたいな事言ってるけど、自分の事だけしかわからないのね」
「あぁ、そうだよ!俺は自分勝手な奴だよ!だから嫌になったのかよ!」
「そうねぇ、確かに自分勝手よねぇ。私の事なんて見てもいない。あ、そこの騎士様、訓練用の剣を1本貸して下さる?」
私は近くにいた騎士ににこりと微笑みかけると、貸してもらった訓練用の剣を受け取った。
「は?」
マリアに聞いた所によると、寝室を別にすると言っているのを通りすがりの人が聞いたらしく、瞬く間に私達の離婚説が校舎を駆け巡ったようだった。
「…ありえないわ…私はただ、寝たいだけなのに…」
「あんた達の噂は回るの早いからねぇ。てか、あんたの旦那、大丈夫なの?」
「うーん…生気を無くした瞳をしてたけど、死んではないと思うわ!」
「や、もうそれ限界超えてるじゃない。帰ったら、ちゃんと寝不足だから寝たいって説明しなさいよ?」
「あ、確かに。言ってなかったかも」
「赤き甘えっ子ちゃんが、赤き暴れ熊になるかもね」
「うわ、それヤダ…」
私達はそんな話をしていたのだ、何気なく。
突然寝室を分けると言われたハルトの気持ちなんて考えていなかったのだ。
噂が中々の広まりを見せた頃、放課後になっていた。
私はハルトを迎えに騎士科の皆さんが集う訓練所へと足を運んだ。
「え?」
訓練所には、ぶっ倒れる騎士科の皆さんがごろごろと転がっている。
何だこれは。
凄い訓練してるんだな、感心感心と思っていると、数人対1人で打ち合いをしている光景が目に入る。
「あ、ハルト」
1人で対戦している方がハルトだったが、様子がおかしい。
打ち合う、というより叩きのめしているように見える。
「あれじゃ訓練じゃなくて、ただの暴力よ」
私はひらりと塀を超えて、打ち合いをしている所まで近寄った。
「ヴィオレット様!近寄らないで下さい!!危ないですから!!」
周りで見ていた騎士科の方々が口々に叫ぶ。
危ないわよね、あの赤い暴力熊。
周りが見えてるのかしら。
「ハルト」
暴れ回っているハルトに声を掛けたら、ハルトの表情がぐしゃりと崩れてくるりと背を向けた。
「帰れ、ヴィー」
そっけなく帰れと言われるが…。
「帰れないわね、この暴力熊を置いては」
私はハルトに向かって遠慮なく近付いて行く。
騎士科の皆さんが「ヤバいって!」と慌てているが、知ったことではない。ヤバいのはとばっちりを食らってるあなた方だ。
「帰れよ、俺となんて居たくないんだろ!」
「はぁ?何を言ってるのよ、そんな訳ないでしょ」
「実家に帰るって言ったじゃねぇか!!」
「それはハルトがゴネるからでしょ」
「いきなり寝室別にするって言われて、はい、そうですかなんてなる訳ないだろ!!」
瞬時に理解した。
ハルトは、悲しいんだ、と。
理由もわからずに寝室を分けると言われて。
でもね?
「ねぇ、ハルト。何故、寝室を分けましょうって言われたか、理由は考えたのかしら?」
「はぁ?そんなのヴィーが俺を嫌ったからに決まってるだろ!」
「決まってる…ねぇ?じゃあ、何で嫌われたのかは考えたのかしら?」
「んなのヴィーが俺に愛想尽かしたからだろ!!!言わせんなよそんなの!!!」
悲痛な声が響き渡る。
騎士科の皆さんも、固唾を飲んで見守っている。
……が。
私は沸々と怒りが湧いて来た。
元はと言えば、ハルトが毎日毎日朝までやりっぱなしだから私が睡眠不足になったわけで。
だいたいこの顔のクマの酷さに気付かないのもどうなの?
状況見えてないでしょ、絶対。
浮かれすぎてるだけでしょ。
「ハルト、あなた状況判断が甘いんじゃない?自分嫌われた!みたいな事言ってるけど、自分の事だけしかわからないのね」
「あぁ、そうだよ!俺は自分勝手な奴だよ!だから嫌になったのかよ!」
「そうねぇ、確かに自分勝手よねぇ。私の事なんて見てもいない。あ、そこの騎士様、訓練用の剣を1本貸して下さる?」
私は近くにいた騎士ににこりと微笑みかけると、貸してもらった訓練用の剣を受け取った。
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