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「飲んでない。反撃したから」
「良かった…!!」
ほっとした様子でぎゅうぎゅうと締められる。
苦しい、ハルトさん、苦しいから!!
「ハルト、苦しい…」
「あ。悪い」
「ん、大丈夫」
にこっと笑ってハルトに私から抱き付いた。
「こいつ、やっぱりヴィーに惚れてたのか」
「知ってたの?股間抑えてはぁはぁしてたから気持ち悪くて思い切り蹴っちゃったけど大丈夫かな」
「前から、ちらちらお前を見てたんだよ。その度に牽制してたけど。ヴィーの想像するとかやっぱ殺す。そのまま踏み潰して2度と使えないようにしてやろうか」
「大人の愛で心も身体も包んでくれるらしいわよ」
「気持ち悪りぃな」
「でしょ。鳥肌たっちゃって。ハルト以外は気持ち悪いし」
「じゃあ俺は良いの?」
「むしろハルト以外は無理」
「ふふん…そのうち俺で包んでやるからな!」
「あ、それでね」
「おい、無視か」
ムッとしたハルトに大量の媚薬を見せると、呆れた表情で「どんだけ溜め込んでんだよ」とぶつぶつ言いながら押収していた。
「そういえば、どうしてここがわかったの?」
「たまたま訓練しようと思ってヴィーの家に行ったら、侯爵とカイルさんと騎士団が武装して怒り狂っててさ。理由聞いたら誘拐だって言うから、ここかなって」
「うわぁ、お父様とお兄様が…騎士団も…。想像したくないわね」
「特にお前の騎士団がヤバくて。アダルとかいつもの紳士じゃ無くなってるし。ラビなんて単騎で行こうとしてたし、1番狂ってたのがラルフだな。一階がヤバい事になってる」
「…見たくないな…」
「いや、行ってくれ。お前の騎士団手が付けられない。何だよあの質の悪ぃ戦闘集団。主人の顔が見たいわ」
「…誰かしらねぇ、困った人ねぇ…」
「お前だよ」
そんな軽口を叩きながら部屋から出たら、先ほど戦闘集団と言われた6人が心配そうに整列していた。
それはそれは、雨の中で震える仔犬のような可愛らしいご様子で。
「ヴィオレット様…」
「心配かけてごめんね?みんな」
「うわあぁぁん!お嬢!!無事で良かったああぁ!!」
「ご無事だと信じていました!我が主!」
それぞれに心配かけたと謝って、共に階下に行くと廃墟のようになっていて、お父様とお兄様が捕えた人達を馬車に詰めている所だった。
「ヴィオレット!心配したよ!」
「ヴィオ、無事で良かった」
2人とも普段はあまり闘わないが、実はかなり武闘派だ。
特にお兄様は普段、陽だまりの君と言われるほど温厚だが一度キレると冥界まで追い制裁を加える魔王と密かに恐れられている。
「ヴィオ、アルベルト殿を含む全ての悪党に、きちんと罪を償って貰うからね」
陽だまりのような和やかな笑顔を向け、穏やかに言うお兄様の後ろに君臨する魔王が見えた。
絶対に怒らせてはならない、お兄様だけは絶対に。
私はハルトの手をぎゅっと握りそっと誓った。
「良かった…!!」
ほっとした様子でぎゅうぎゅうと締められる。
苦しい、ハルトさん、苦しいから!!
「ハルト、苦しい…」
「あ。悪い」
「ん、大丈夫」
にこっと笑ってハルトに私から抱き付いた。
「こいつ、やっぱりヴィーに惚れてたのか」
「知ってたの?股間抑えてはぁはぁしてたから気持ち悪くて思い切り蹴っちゃったけど大丈夫かな」
「前から、ちらちらお前を見てたんだよ。その度に牽制してたけど。ヴィーの想像するとかやっぱ殺す。そのまま踏み潰して2度と使えないようにしてやろうか」
「大人の愛で心も身体も包んでくれるらしいわよ」
「気持ち悪りぃな」
「でしょ。鳥肌たっちゃって。ハルト以外は気持ち悪いし」
「じゃあ俺は良いの?」
「むしろハルト以外は無理」
「ふふん…そのうち俺で包んでやるからな!」
「あ、それでね」
「おい、無視か」
ムッとしたハルトに大量の媚薬を見せると、呆れた表情で「どんだけ溜め込んでんだよ」とぶつぶつ言いながら押収していた。
「そういえば、どうしてここがわかったの?」
「たまたま訓練しようと思ってヴィーの家に行ったら、侯爵とカイルさんと騎士団が武装して怒り狂っててさ。理由聞いたら誘拐だって言うから、ここかなって」
「うわぁ、お父様とお兄様が…騎士団も…。想像したくないわね」
「特にお前の騎士団がヤバくて。アダルとかいつもの紳士じゃ無くなってるし。ラビなんて単騎で行こうとしてたし、1番狂ってたのがラルフだな。一階がヤバい事になってる」
「…見たくないな…」
「いや、行ってくれ。お前の騎士団手が付けられない。何だよあの質の悪ぃ戦闘集団。主人の顔が見たいわ」
「…誰かしらねぇ、困った人ねぇ…」
「お前だよ」
そんな軽口を叩きながら部屋から出たら、先ほど戦闘集団と言われた6人が心配そうに整列していた。
それはそれは、雨の中で震える仔犬のような可愛らしいご様子で。
「ヴィオレット様…」
「心配かけてごめんね?みんな」
「うわあぁぁん!お嬢!!無事で良かったああぁ!!」
「ご無事だと信じていました!我が主!」
それぞれに心配かけたと謝って、共に階下に行くと廃墟のようになっていて、お父様とお兄様が捕えた人達を馬車に詰めている所だった。
「ヴィオレット!心配したよ!」
「ヴィオ、無事で良かった」
2人とも普段はあまり闘わないが、実はかなり武闘派だ。
特にお兄様は普段、陽だまりの君と言われるほど温厚だが一度キレると冥界まで追い制裁を加える魔王と密かに恐れられている。
「ヴィオ、アルベルト殿を含む全ての悪党に、きちんと罪を償って貰うからね」
陽だまりのような和やかな笑顔を向け、穏やかに言うお兄様の後ろに君臨する魔王が見えた。
絶対に怒らせてはならない、お兄様だけは絶対に。
私はハルトの手をぎゅっと握りそっと誓った。
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