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煌びやかなダンスホールに揺れる花達が咲き乱れている。
ある一点に集中して。
「ジークハルト様、今日は一層素敵ですわ」
「ダンスを踊って頂けないかしら」
「あちらの庭園を散歩しませんか?」
今日は王宮主催のパーティーである。
私はハルトと共に参加していた。
正装したハルトは、どこぞの王子様ですかってくらいキラキラしい。だから、あんなに蝶が寄ってきてるんだな、と納得。
私は只今、絶賛壁の花を満喫中である。
飲み物を取りに行った筈のパートナーが帰って来ないので、こっそり軽食食べてみたり。
「ヴィオ!」
「あ、マリア。ヒューバート様も、ご機嫌よう」
私が1人だったからなのか、マリアが来てくれたので感謝した。
「ジークハルト様は、あっちでリリア・ノックスに捕まってたわよ」
「あー…、そりゃなかなか帰ってこない筈だわ」
「今日のドレス、ジークハルト様からの贈り物でしょ?凄く見つけやすいわ」
「色がね。…派手よね…」
ハルトが贈ってくれたドレスは、真紅に、濃紺のレースで彩られたマーメイドドレスだ。
宝飾品は、ピアス、ネックレス共に濃い色のサファイアが贈られてきた。この間お揃いにしたネックレスと重ね付けできるタイプのセットジュエリーで、気に入っている。
「ヴィオのネックレス可愛い、薔薇?あ、重ね付けなんだ!ヴィオにしては珍しいね」
「ハルトから貰ったの」
「センスいいね、ジークハルト様は」
「そうね、これはお気に入りなの」
ハルトとお揃いのネックレスは、2つをくっつけると1輪の薔薇になる。私は薔薇の花部分、ハルトは葉の部分に分かれる。花の真ん中と、葉の上に朝露に見立てたお互いの色の宝石が嵌っている。それに合わせたネックレスを見つけるなんて、ハルトのセンスの良さを認めるしかない。
「じゃあヴィオ、私達はちょっと挨拶に行ってくるね。変なのに付いて行ったらダメよ?」
「行かないわよ。ありがと、声掛けてくれて」
手を振りマリア達を見送る。ハルトを探して会場を見回してみたが、ハルトが居なくなっていた。
「あれ?どこに行ったんだろ」
ノックスさんと話でもしてるのかな。
まったく!パートナーを放ったらかしにして!
紳士にあるまじき行為ね!!
「飲み物でも貰おう」
ウェイターに果実水をもらって、バルコニーに移動した。熱気と、香水の匂いでクラクラする。
ふとバルコニーから庭園を見たら、ハルトとノックスさんが2人でいるのが見えた。
「あら、″浮気″かしら?」
また私に証拠を提出してくれるのね。
じっと観察していると、ノックスさんがハルトに抱きついている。ハルトも頭を下に下げて、ここから見るとまるで2人がキスをしているように見えた。
「……浮気ね。慰謝料…いくらにしようかしら」
目が離せない。じくりと胸が痛い。
ハルトに限って、婚約者がいるのに浮気をするとは思えない。何か理由があるんだろうけど。
「そういう状況になる事がダメよね」
すーっと熱が冷めていく。先程までじんわり感じていた嬉しさも、はらはらと解けて、やはり好かれてなど居なかったんだと痛感する。
「まぁ、元の計画に戻るだけだし」
元から解っていた。
髪も、目も嫌いだと。ノックスさんみたいになれと言ってたじゃないか。
今、目の前に本人が居るのに、それ以上があるのか。
ある一点に集中して。
「ジークハルト様、今日は一層素敵ですわ」
「ダンスを踊って頂けないかしら」
「あちらの庭園を散歩しませんか?」
今日は王宮主催のパーティーである。
私はハルトと共に参加していた。
正装したハルトは、どこぞの王子様ですかってくらいキラキラしい。だから、あんなに蝶が寄ってきてるんだな、と納得。
私は只今、絶賛壁の花を満喫中である。
飲み物を取りに行った筈のパートナーが帰って来ないので、こっそり軽食食べてみたり。
「ヴィオ!」
「あ、マリア。ヒューバート様も、ご機嫌よう」
私が1人だったからなのか、マリアが来てくれたので感謝した。
「ジークハルト様は、あっちでリリア・ノックスに捕まってたわよ」
「あー…、そりゃなかなか帰ってこない筈だわ」
「今日のドレス、ジークハルト様からの贈り物でしょ?凄く見つけやすいわ」
「色がね。…派手よね…」
ハルトが贈ってくれたドレスは、真紅に、濃紺のレースで彩られたマーメイドドレスだ。
宝飾品は、ピアス、ネックレス共に濃い色のサファイアが贈られてきた。この間お揃いにしたネックレスと重ね付けできるタイプのセットジュエリーで、気に入っている。
「ヴィオのネックレス可愛い、薔薇?あ、重ね付けなんだ!ヴィオにしては珍しいね」
「ハルトから貰ったの」
「センスいいね、ジークハルト様は」
「そうね、これはお気に入りなの」
ハルトとお揃いのネックレスは、2つをくっつけると1輪の薔薇になる。私は薔薇の花部分、ハルトは葉の部分に分かれる。花の真ん中と、葉の上に朝露に見立てたお互いの色の宝石が嵌っている。それに合わせたネックレスを見つけるなんて、ハルトのセンスの良さを認めるしかない。
「じゃあヴィオ、私達はちょっと挨拶に行ってくるね。変なのに付いて行ったらダメよ?」
「行かないわよ。ありがと、声掛けてくれて」
手を振りマリア達を見送る。ハルトを探して会場を見回してみたが、ハルトが居なくなっていた。
「あれ?どこに行ったんだろ」
ノックスさんと話でもしてるのかな。
まったく!パートナーを放ったらかしにして!
紳士にあるまじき行為ね!!
「飲み物でも貰おう」
ウェイターに果実水をもらって、バルコニーに移動した。熱気と、香水の匂いでクラクラする。
ふとバルコニーから庭園を見たら、ハルトとノックスさんが2人でいるのが見えた。
「あら、″浮気″かしら?」
また私に証拠を提出してくれるのね。
じっと観察していると、ノックスさんがハルトに抱きついている。ハルトも頭を下に下げて、ここから見るとまるで2人がキスをしているように見えた。
「……浮気ね。慰謝料…いくらにしようかしら」
目が離せない。じくりと胸が痛い。
ハルトに限って、婚約者がいるのに浮気をするとは思えない。何か理由があるんだろうけど。
「そういう状況になる事がダメよね」
すーっと熱が冷めていく。先程までじんわり感じていた嬉しさも、はらはらと解けて、やはり好かれてなど居なかったんだと痛感する。
「まぁ、元の計画に戻るだけだし」
元から解っていた。
髪も、目も嫌いだと。ノックスさんみたいになれと言ってたじゃないか。
今、目の前に本人が居るのに、それ以上があるのか。
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