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3.三周目のループ
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(あれ……)
気付けば朝になっていた。
ロジェが髪を撫でてくれるのが嬉しくて、ついそのままにしていたら眠りについていたらしい。
のっそり起き上がって溜息をつく。
ここ数か月のことである。
ベツォ王国は、今までにない窮地に追い込まれていた。
マノロ王太子殿下の病気に続き、ヴィヴィアン殿下までもが病に倒れ、なんとか一命を取り留めたと聞いたときには、今度は国王陛下が心労がたたりご病気になられ、退位されることになったと――
(今世ではヴィヴィアン殿下がお元気になられて、本当によかった……)
そうでなければきっと、二周目のときのようにレイが王太子になっていたことだろう。
今世ではべイエレン公爵令嬢だったマイナと既に結婚済みなので、誰かと離婚するようなことにはならず、マイナなら王妃も難なくこなすはずだが。
(私がマノロ殿下の愛妾だったころに聞いたヴィヴィアン殿下の噂は本当に素晴らしいものばかりだったのよね……ヴィヴィアン殿下ほどの方が亡くなるのは、国にとって大きな損失だったはず……)
一周目のマイナを背に庇うヴィヴィアン殿下のイメージが強く残っており、少し苦手意識があったのだが、あのときの彼の立場を思えばその行動は当たり前といえるだろう。
なぜ今世のマイナがヴィヴィアン殿下ではなくレイを選んだのかはよくわからないが……。
過去二回、ヴィヴィアン殿下と同い年だったはずのレイは、マイナやクリスティーヌより八歳も年上で生まれている。それが原因だろうか。
(そもそもロジェ様がすでに三十一歳だものね……ロジェ様もヴィヴィアン殿下と同い年だったのに……)
もうすぐヴィヴィアン殿下が即位するための戴冠式が行われる。
ロジェはここに帰る時間すら惜しいほど忙しいだろう。
(半分寝ぼけていたとはいえ、隣に寝てくださったことに気付いたのだから、きちんとご挨拶すればよかった……ついつい髪を撫でてもらいたいだなんて思ってしまって……自分の欲望を優先してしまったわ)
契約妻にさえ恥をかかせないロジェの完璧ぶりに恐縮してしまう。
確かに結婚して一か月で外泊なんて外聞が悪いだろう。いくらこの邸の使用人たちがロジェの激務を理解していても、それとこれとは話が別だ。
(二周目までよりもずっとずっと、今世はロジェ様にお世話になってしまってるわ)
たとえこの結婚が王命で、ロジェに断ることなどできない結婚だったとしても――
クリスティーヌにとっては、最高の契約結婚となった今世。
ロジェに迷惑をかけたという意味では過去一番の失敗ではないかとさえ思ってしまう。
だからといって、今から修道院に行くことはできない。
それこそロジェに恥をかかせてしまうからだ。
(何度ループしても、どうしてもアーレ伯爵家の陰謀に巻き込まれるのよね……)
今世もまた、二十歳を迎えることなくこの世を去るだろう。
クリスティーヌは、二十歳を迎える自分というものが想像できなかった。
そしてまたループしてしまったら……そのときこそ、誰にも迷惑をかけず生きたい。
(そのために今できることは何かしら? たった三年とはいえ、今世のロジェ様の役に立つためには何ができる? 今回、間違えたのはどこ?)
ベッドから出ることなく、変化の大きかった今世に思いを馳せた。
気付けば朝になっていた。
ロジェが髪を撫でてくれるのが嬉しくて、ついそのままにしていたら眠りについていたらしい。
のっそり起き上がって溜息をつく。
ここ数か月のことである。
ベツォ王国は、今までにない窮地に追い込まれていた。
マノロ王太子殿下の病気に続き、ヴィヴィアン殿下までもが病に倒れ、なんとか一命を取り留めたと聞いたときには、今度は国王陛下が心労がたたりご病気になられ、退位されることになったと――
(今世ではヴィヴィアン殿下がお元気になられて、本当によかった……)
そうでなければきっと、二周目のときのようにレイが王太子になっていたことだろう。
今世ではべイエレン公爵令嬢だったマイナと既に結婚済みなので、誰かと離婚するようなことにはならず、マイナなら王妃も難なくこなすはずだが。
(私がマノロ殿下の愛妾だったころに聞いたヴィヴィアン殿下の噂は本当に素晴らしいものばかりだったのよね……ヴィヴィアン殿下ほどの方が亡くなるのは、国にとって大きな損失だったはず……)
一周目のマイナを背に庇うヴィヴィアン殿下のイメージが強く残っており、少し苦手意識があったのだが、あのときの彼の立場を思えばその行動は当たり前といえるだろう。
なぜ今世のマイナがヴィヴィアン殿下ではなくレイを選んだのかはよくわからないが……。
過去二回、ヴィヴィアン殿下と同い年だったはずのレイは、マイナやクリスティーヌより八歳も年上で生まれている。それが原因だろうか。
(そもそもロジェ様がすでに三十一歳だものね……ロジェ様もヴィヴィアン殿下と同い年だったのに……)
もうすぐヴィヴィアン殿下が即位するための戴冠式が行われる。
ロジェはここに帰る時間すら惜しいほど忙しいだろう。
(半分寝ぼけていたとはいえ、隣に寝てくださったことに気付いたのだから、きちんとご挨拶すればよかった……ついつい髪を撫でてもらいたいだなんて思ってしまって……自分の欲望を優先してしまったわ)
契約妻にさえ恥をかかせないロジェの完璧ぶりに恐縮してしまう。
確かに結婚して一か月で外泊なんて外聞が悪いだろう。いくらこの邸の使用人たちがロジェの激務を理解していても、それとこれとは話が別だ。
(二周目までよりもずっとずっと、今世はロジェ様にお世話になってしまってるわ)
たとえこの結婚が王命で、ロジェに断ることなどできない結婚だったとしても――
クリスティーヌにとっては、最高の契約結婚となった今世。
ロジェに迷惑をかけたという意味では過去一番の失敗ではないかとさえ思ってしまう。
だからといって、今から修道院に行くことはできない。
それこそロジェに恥をかかせてしまうからだ。
(何度ループしても、どうしてもアーレ伯爵家の陰謀に巻き込まれるのよね……)
今世もまた、二十歳を迎えることなくこの世を去るだろう。
クリスティーヌは、二十歳を迎える自分というものが想像できなかった。
そしてまたループしてしまったら……そのときこそ、誰にも迷惑をかけず生きたい。
(そのために今できることは何かしら? たった三年とはいえ、今世のロジェ様の役に立つためには何ができる? 今回、間違えたのはどこ?)
ベッドから出ることなく、変化の大きかった今世に思いを馳せた。
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