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「なっ!!」
止める間もなく、椅子の上で足を開かされ、下着の腰紐が解かれたのがわかる。
「んあっ!!」
痺れるほどの快感が突き抜けた。
(そんな場所をこんな明るい陽射しの中、舌でなぶられるだなんて……)
「や……」
首を振るレナータのことなど、ドレスの中に隠れたラッセルは見ていない。
開いた足を肘掛けに乗せる仕草は、案外優しかった。
そんな風に思えるのは、自分の中にまだ冷静な部分が残っているからだろう。
義務のように抱かれることが虚しかったのは本当だ。
綺麗なラッセルにはわからないであろう、ふしだらな想いを抱いているのだと知られれば、きっと嫌ってくれるだろうと、そう思って言っただけなのに。
毒を飲んで死んだ妻に罪悪感を持たないで欲しいと――
ぴちゃぴちゃ、ずるずると、卑猥な音がレナータの可憐な部屋に響き渡る。
ラッセルは、そのつもりで部屋に入ってきたのだろう。
人の気配がしない。
人払いがなされているのはあきらかだった。
あえかな声をあげながら、レナータの思考は不思議と晴れていった。
(こんなことをされて、私は、喜んでいるのだわ……)
清廉潔白が服を着て歩いているようなラッセルが、獣のようにレナータをなぶる。
内太腿に歯を立てられても体は快感と認識し、レナータはいっそう淫らな蜜と声を零した。
いつものようにキスから愛撫が始まり、順序よく丁寧にほぐしていくわけでもないのに、いくら薬を使ったからといって、これはない。
とめどなく溢れる蜜がドレスに染みを作る。
はくはくと、浅い息を漏らしていると、顔をあげたラッセルと目が合った。
欲情に濡れた獣の瞳だ。
いつものような静かな、冬の湖畔のごとき青ではない。
底冷えするような冷たさと、焼き切れそうな熱さ。
「愛してるの……」
だからどんなに詰っても、一言も嫌いとは言えなかったではないか。
そのことに、ラッセルは気付かない。
「……レイモンドにはもう……妻がいる。諦めろ」
「私が愛してるのは昔からずっと、あなたよ!!」
ラッセルはカチャカチャと音を立てて腰のベルトを外し、どうやって隠していたのかと思うほどの昂ぶりを引き出した。
「私を愛していると言えば満足して止まると思ったのか。さすがレナータは賢いな……だが、本来の私は、レナータがどんなに泣き叫んでも欲望を止められない……そんな醜い男なんだよ」
ずぷり……
音が聞こえるほどの泥濘を、一気に貫かれた。
「ああああああああーーーーーーー」
喉が反り、違う、愛してるのは本当だと叫びたかったが声にならない。
死ねないのであれば、あんな心にもない言葉でラッセルを傷つけなければよかった。
(ラッセルの正しさが苦しかったのは本当……。でも、そんなラッセルだから愛していたのも本当なの……)
首を振りたいが、強くて深い快感に思考が薄れる。
激しく何度も突かれ、椅子がギシギシと悲鳴のような音を立てた。
それはまるでラッセルの心の悲鳴のようで、レナータの心を強く揺さぶる。
「いっ!!」
首筋にラッセルが歯を立てた。
そんなことをされたというのに、レナータの体は絶頂を覚えてしまう。
喘ぎにもならない、息だけの叫びと、張り裂けそうな心臓の音。
首元にうずくまるラッセルの銀の頭をかき抱いた。
「……聞いて……おねがい……」
ラッセルは腕の中の頭を振り、背中に手を回してきた。
そのまま抱き上げられ、歩きながら下から突かれる。
酷い抱き方をされているのに、頭がおかしくなるほど気持ちがよかった。
止める間もなく、椅子の上で足を開かされ、下着の腰紐が解かれたのがわかる。
「んあっ!!」
痺れるほどの快感が突き抜けた。
(そんな場所をこんな明るい陽射しの中、舌でなぶられるだなんて……)
「や……」
首を振るレナータのことなど、ドレスの中に隠れたラッセルは見ていない。
開いた足を肘掛けに乗せる仕草は、案外優しかった。
そんな風に思えるのは、自分の中にまだ冷静な部分が残っているからだろう。
義務のように抱かれることが虚しかったのは本当だ。
綺麗なラッセルにはわからないであろう、ふしだらな想いを抱いているのだと知られれば、きっと嫌ってくれるだろうと、そう思って言っただけなのに。
毒を飲んで死んだ妻に罪悪感を持たないで欲しいと――
ぴちゃぴちゃ、ずるずると、卑猥な音がレナータの可憐な部屋に響き渡る。
ラッセルは、そのつもりで部屋に入ってきたのだろう。
人の気配がしない。
人払いがなされているのはあきらかだった。
あえかな声をあげながら、レナータの思考は不思議と晴れていった。
(こんなことをされて、私は、喜んでいるのだわ……)
清廉潔白が服を着て歩いているようなラッセルが、獣のようにレナータをなぶる。
内太腿に歯を立てられても体は快感と認識し、レナータはいっそう淫らな蜜と声を零した。
いつものようにキスから愛撫が始まり、順序よく丁寧にほぐしていくわけでもないのに、いくら薬を使ったからといって、これはない。
とめどなく溢れる蜜がドレスに染みを作る。
はくはくと、浅い息を漏らしていると、顔をあげたラッセルと目が合った。
欲情に濡れた獣の瞳だ。
いつものような静かな、冬の湖畔のごとき青ではない。
底冷えするような冷たさと、焼き切れそうな熱さ。
「愛してるの……」
だからどんなに詰っても、一言も嫌いとは言えなかったではないか。
そのことに、ラッセルは気付かない。
「……レイモンドにはもう……妻がいる。諦めろ」
「私が愛してるのは昔からずっと、あなたよ!!」
ラッセルはカチャカチャと音を立てて腰のベルトを外し、どうやって隠していたのかと思うほどの昂ぶりを引き出した。
「私を愛していると言えば満足して止まると思ったのか。さすがレナータは賢いな……だが、本来の私は、レナータがどんなに泣き叫んでも欲望を止められない……そんな醜い男なんだよ」
ずぷり……
音が聞こえるほどの泥濘を、一気に貫かれた。
「ああああああああーーーーーーー」
喉が反り、違う、愛してるのは本当だと叫びたかったが声にならない。
死ねないのであれば、あんな心にもない言葉でラッセルを傷つけなければよかった。
(ラッセルの正しさが苦しかったのは本当……。でも、そんなラッセルだから愛していたのも本当なの……)
首を振りたいが、強くて深い快感に思考が薄れる。
激しく何度も突かれ、椅子がギシギシと悲鳴のような音を立てた。
それはまるでラッセルの心の悲鳴のようで、レナータの心を強く揺さぶる。
「いっ!!」
首筋にラッセルが歯を立てた。
そんなことをされたというのに、レナータの体は絶頂を覚えてしまう。
喘ぎにもならない、息だけの叫びと、張り裂けそうな心臓の音。
首元にうずくまるラッセルの銀の頭をかき抱いた。
「……聞いて……おねがい……」
ラッセルは腕の中の頭を振り、背中に手を回してきた。
そのまま抱き上げられ、歩きながら下から突かれる。
酷い抱き方をされているのに、頭がおかしくなるほど気持ちがよかった。
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