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癒術士試験
33.癒術士として
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「メルお嬢様、お願い出来ますか?」
ユリウスが軽く体を動かして、私を見る。私は小さく頷いてから、ユリウスの傍に膝をついた。
目の前には、大人が一人。――怪我をして、苦しんでいる男性がベッドに寝転んでいる。話を聞くに、森へ入った際に魔獣に襲われ、命からがら逃げてきた、とのことだった。足首や腕に噛まれた後が複数残っており、痛々しい。
少しだけ息が震える。瞬間、そっと私の背に手が触れた。ユリウスの手だ。
「大丈夫、メルお嬢様なら出来ますよ」
「――うん、ありがとう。ユリウス」
傍に信頼のおける人が居る。それだけで、震える心が少しずつおとなしくなっていくのがわかった。
大丈夫。――出来る。何度も何度も、やったのだから。
ゆっくりと男性の体に手をかざす。癒術を行使するときの、独特の光が漏れ出す。男性の体の中を巡る魔力の線が、怪我をしたところだけふつりと途切れたり、ほつれている。そういった部分に魔力を流し込み、そうして少しずつ体の不調を治していく。
数十分かけて、私は男性の体を治療することが出来た。
呻くような息づかいだった男性が、今は穏やかに寝息を立てている。ユリウスが小さく頷いて、「凄いですね」と笑った。私は頷いて返す。恐らく男性の家族だったのだろう、遠くから見守っていた女性と、その子ども達が「お父さん!」と泣きながら走り寄ってくるのが見えた。女性が泣きながら感謝を口にする。それに首を振って返しながら、子ども達に抱きしめられる男性をじっと見つめた。
――私がメルになってから、おおよそ、三年の月日が経って。
ようやく、私は、癒術を使いこなすことが出来るようになった。
その後、他にも怪我をしている人達を治して回り、そうしている内に時刻が昼を過ぎる。休憩を取りましょう、とユリウスが言うので、ありがたく昼食を取ることにした。
今日、ユリウスに連れてこられたのは、イストリア帝国、ミュートス辺境領の西部、田園地帯が広がる村だ。平らかで、かつ、山と川が近いこともあり、肥沃な土地であるため、農業で栄えている。
そして、これは何にでも言えることだが、農村部というのは魔獣に襲われる機会が他の場所よりも多くなる。特に、冬になるとそれは顕著だ。山で食事を手に入れることの出来なくなった魔獣たちが、農村部まで降りてきて蓄えている食物を盗ったり、人を襲う。
持って来ていたパンを手に、穏やかな風景を眺めながら小さく息を吐く。癒術士の数は少なく、怪我や病人の数は、留まるところを知らずに増え続けている。
「メルお嬢様、疲れていませんか?」
「ん、大丈夫! 全然元気だよ」
「なら、よかったです。……メルお嬢様は、本当に……、本当に強くなりましたね」
ユリウスが私の横にやってきて、腰を下ろす。同じように持参した食事を口にしながら、彼は目を細めた。
ユリウスに褒められるのは、結構、嬉しい。自分でも、ここ数年の成長は実感しているので、尚更だ。癒術で人を治せるようになったし、動物や花なんかは一瞬で治療することが出来るようになった。
「でも、最近、魔獣とか、魔物とか……よく出るよね。どうしてなんだろう」
「王都では、他国から魔物や魔獣が送られてきている、とか、言われていますけれど。……まあ違うと、僕は思います」
ユリウスは慎重に言葉を続けて、それから首を振る。
「精霊の森の一件以降、少しずつ――少しずつ、イストリア帝国を守る……何かが、無くなっているような。そんな気がするんです」
「精霊の森――」
リュジが狩猟祭に参加した、王都近くに存在する森だ。事件から短くは無い月日が流れたが、それでも、未だ立ち入り禁止になっている。
何があったのか、どうしてなのか。その理由は定かではないが、調査中、にしてはあまりにもその調査が長すぎるのだ。
「それに、国境での小競り合いも激化してきましたからね」
「……」
私は目を軽く伏せる。確かに、最近、――それこそ冬になってからというもの、ミュートス辺境領と、他国との境で起こる小競り合いが頻発している。タリオンおじさまが、私兵の騎士団を連れて鎮圧に向かうことも多い。
カイネやリュジが着いていくこともあるのだが、その度に肝が冷える心地がする。私も着いていく、と進言したが、却下された。危ないから、とのことであるが、危ないのはカイネやリュジだって同じだろう。
リュジなんて、私より一つ年下で、まだ十三歳なのに、それでも戦場に着いて行っている。
「戦争が起きたりとか、しないよね……」
「どう……、でしょう。このまま……小競り合いが続けば、可能性はあります」
「……そっか……」
ゲーム内では、戦争は、起きていなかった。そう、リュジが――兄を失ったリュジが、外から中へ敵を扇動しない限り。それまでは、小競り合いは頻発するものの、問題は無い、という感じだった覚えがある。
ただ、ゲームで文字として読むのと、その状況に身を置くのでは、また少し――抱く恐怖感というものが違う。毎日のようにタリオンおじさまが忙しくしているのを見ると、なんだかとても怖くなってくるのだ。
ユリウスが私をじっと見る。そうしてから、彼は軽く私の背を撫でた。こわばった体を解すように、指先が優しく動く。
「大丈夫、です。メルお嬢様。――メルお嬢様のことは、僕が……守ります。必ず」
「ユリウス……」
「怖い話を、……してしまって、申し訳ございませんでした。……楽しい、お話を、しましょうか」
ユリウスが小さく笑う。――瞬間、かちゃかちゃと、固いものがふれあうような音が近づいてきた。そっと視線を向けると、私たちの方に近づいてきた人影が、すぐに手を振ってくる。
「兄様、おかえりなさい」
「メル。それにユリウス様。お疲れ様です」
「兄様こそ、魔獣の掃討は大変だったんじゃ……」
カイネだ。彼は銀色の髪を惜しげも無く晒しながら、私たちの元に近づいてくる。紺碧の瞳が柔らかく緩んだ。
「ふふ。兄様は強いから、大丈夫だよ。それに、騎士団の皆もいるからね。問題無く終わらせたよ」
朝の内に出て行って、昼過ぎには掃討作戦を終えたと言って帰ってくるのはもの凄く早い、気がする。何せ大きな森である。
カイネは防具を身につけたまま、私の傍に腰を下ろした。そうして、私が見ていたのと同じように農村を見つめる。
風が吹くと、銀色の髪がきらきらと、空気を孕んで揺れるのが見えた。二十歳を超えて、カイネはますます美形に磨きがかかったように思う。風に揺れる髪を指先で押さえながら、カイネはすぐに私の視線に気付いて、こちらへ目を向ける。そうして嬉しそうに頬を赤らめて「どうしたの、メル」と優しく私を呼んだ。
「ううん。なんでもないよ」
「ええっ。嘘でしょう。そんな目じゃなかったよ。何か言いたそうな目だった。兄様にはわかるんだよ」
「もう。本当になんでもないってば」
そう? なんて、カイネは小さく首を傾げる。そうしてからぐ、と伸びをして、「今日には家に帰れるね」と朗らかに言葉を続ける。
「そうだね。リュジ、待ってるかな」
「待っているよ。だって、今日この村へ行くことを伝えた時にだって、凄く凄く心配していただろう。ハンカチは持ったか、だとか、昼食はちゃんと持って行け、だとか、飲み水も、なんて」
カイネが笑う。同じように、今日の朝のことを思い出して、私は小さく笑った。
きっと帰ったら、今日のことを沢山聞かれるだろう。今から何を話そうかな、なんて考えて居ると、ユリウスが「メルお嬢様」と、ささやかに言葉を続けた。
「楽しい話、の続きなんですが」
「あっ。うん。なになに?」
「――メルお嬢様の癒術の腕は、確かなもの、になってきました。人も、花も、物も――なんでも治療出来る……。なので、そろそろ、癒術士としての資格を取ってはどうか、と……思うんです」
「癒術士としての資格?」
「はい」
ユリウスが頷く。カイネが「わあ、素敵だね」と声を明るくするのが聞こえた。
「国認定の癒術士になれば、出来ることや行ける場所がたくさん広がると聞いたことがあるよ。もちろん、自分で起業をすることも出来るんだとか」
「そう――なの?」
「そう、です。メルお嬢様のご両親も、癒術士としての資格を取って、沢山の街を回られていました。癒術士になれば、国に厳重に保管されている、重要な魔法書なんかも、……読めるようになります。恐らく、ですが、その中には、メルお嬢様が作りたいと言っていた――魔法道具作成を手助けするものも、ある、かと」
私は微かに瞬く。ユリウスに作りたい、と相談したのは、食事などに毒物が含まれていたとき、勝手にそれを浄化してくれる魔法道具のことだ。一年以上前に相談して、一緒に試行錯誤したのだが、中々上手く出来ずに居た。――のだが、それらを作るヒントになるような本が、癒術士になると見られる、というなら。
「なる。――なりたい!」
「大丈夫、メルならなれるよ。兄様が補償する」
カイネが軽く拍手をしながら言葉を続ける。ユリウスが小さく頷いて、それなら今度、手続きをしましょう、と続けた。
ユリウスが軽く体を動かして、私を見る。私は小さく頷いてから、ユリウスの傍に膝をついた。
目の前には、大人が一人。――怪我をして、苦しんでいる男性がベッドに寝転んでいる。話を聞くに、森へ入った際に魔獣に襲われ、命からがら逃げてきた、とのことだった。足首や腕に噛まれた後が複数残っており、痛々しい。
少しだけ息が震える。瞬間、そっと私の背に手が触れた。ユリウスの手だ。
「大丈夫、メルお嬢様なら出来ますよ」
「――うん、ありがとう。ユリウス」
傍に信頼のおける人が居る。それだけで、震える心が少しずつおとなしくなっていくのがわかった。
大丈夫。――出来る。何度も何度も、やったのだから。
ゆっくりと男性の体に手をかざす。癒術を行使するときの、独特の光が漏れ出す。男性の体の中を巡る魔力の線が、怪我をしたところだけふつりと途切れたり、ほつれている。そういった部分に魔力を流し込み、そうして少しずつ体の不調を治していく。
数十分かけて、私は男性の体を治療することが出来た。
呻くような息づかいだった男性が、今は穏やかに寝息を立てている。ユリウスが小さく頷いて、「凄いですね」と笑った。私は頷いて返す。恐らく男性の家族だったのだろう、遠くから見守っていた女性と、その子ども達が「お父さん!」と泣きながら走り寄ってくるのが見えた。女性が泣きながら感謝を口にする。それに首を振って返しながら、子ども達に抱きしめられる男性をじっと見つめた。
――私がメルになってから、おおよそ、三年の月日が経って。
ようやく、私は、癒術を使いこなすことが出来るようになった。
その後、他にも怪我をしている人達を治して回り、そうしている内に時刻が昼を過ぎる。休憩を取りましょう、とユリウスが言うので、ありがたく昼食を取ることにした。
今日、ユリウスに連れてこられたのは、イストリア帝国、ミュートス辺境領の西部、田園地帯が広がる村だ。平らかで、かつ、山と川が近いこともあり、肥沃な土地であるため、農業で栄えている。
そして、これは何にでも言えることだが、農村部というのは魔獣に襲われる機会が他の場所よりも多くなる。特に、冬になるとそれは顕著だ。山で食事を手に入れることの出来なくなった魔獣たちが、農村部まで降りてきて蓄えている食物を盗ったり、人を襲う。
持って来ていたパンを手に、穏やかな風景を眺めながら小さく息を吐く。癒術士の数は少なく、怪我や病人の数は、留まるところを知らずに増え続けている。
「メルお嬢様、疲れていませんか?」
「ん、大丈夫! 全然元気だよ」
「なら、よかったです。……メルお嬢様は、本当に……、本当に強くなりましたね」
ユリウスが私の横にやってきて、腰を下ろす。同じように持参した食事を口にしながら、彼は目を細めた。
ユリウスに褒められるのは、結構、嬉しい。自分でも、ここ数年の成長は実感しているので、尚更だ。癒術で人を治せるようになったし、動物や花なんかは一瞬で治療することが出来るようになった。
「でも、最近、魔獣とか、魔物とか……よく出るよね。どうしてなんだろう」
「王都では、他国から魔物や魔獣が送られてきている、とか、言われていますけれど。……まあ違うと、僕は思います」
ユリウスは慎重に言葉を続けて、それから首を振る。
「精霊の森の一件以降、少しずつ――少しずつ、イストリア帝国を守る……何かが、無くなっているような。そんな気がするんです」
「精霊の森――」
リュジが狩猟祭に参加した、王都近くに存在する森だ。事件から短くは無い月日が流れたが、それでも、未だ立ち入り禁止になっている。
何があったのか、どうしてなのか。その理由は定かではないが、調査中、にしてはあまりにもその調査が長すぎるのだ。
「それに、国境での小競り合いも激化してきましたからね」
「……」
私は目を軽く伏せる。確かに、最近、――それこそ冬になってからというもの、ミュートス辺境領と、他国との境で起こる小競り合いが頻発している。タリオンおじさまが、私兵の騎士団を連れて鎮圧に向かうことも多い。
カイネやリュジが着いていくこともあるのだが、その度に肝が冷える心地がする。私も着いていく、と進言したが、却下された。危ないから、とのことであるが、危ないのはカイネやリュジだって同じだろう。
リュジなんて、私より一つ年下で、まだ十三歳なのに、それでも戦場に着いて行っている。
「戦争が起きたりとか、しないよね……」
「どう……、でしょう。このまま……小競り合いが続けば、可能性はあります」
「……そっか……」
ゲーム内では、戦争は、起きていなかった。そう、リュジが――兄を失ったリュジが、外から中へ敵を扇動しない限り。それまでは、小競り合いは頻発するものの、問題は無い、という感じだった覚えがある。
ただ、ゲームで文字として読むのと、その状況に身を置くのでは、また少し――抱く恐怖感というものが違う。毎日のようにタリオンおじさまが忙しくしているのを見ると、なんだかとても怖くなってくるのだ。
ユリウスが私をじっと見る。そうしてから、彼は軽く私の背を撫でた。こわばった体を解すように、指先が優しく動く。
「大丈夫、です。メルお嬢様。――メルお嬢様のことは、僕が……守ります。必ず」
「ユリウス……」
「怖い話を、……してしまって、申し訳ございませんでした。……楽しい、お話を、しましょうか」
ユリウスが小さく笑う。――瞬間、かちゃかちゃと、固いものがふれあうような音が近づいてきた。そっと視線を向けると、私たちの方に近づいてきた人影が、すぐに手を振ってくる。
「兄様、おかえりなさい」
「メル。それにユリウス様。お疲れ様です」
「兄様こそ、魔獣の掃討は大変だったんじゃ……」
カイネだ。彼は銀色の髪を惜しげも無く晒しながら、私たちの元に近づいてくる。紺碧の瞳が柔らかく緩んだ。
「ふふ。兄様は強いから、大丈夫だよ。それに、騎士団の皆もいるからね。問題無く終わらせたよ」
朝の内に出て行って、昼過ぎには掃討作戦を終えたと言って帰ってくるのはもの凄く早い、気がする。何せ大きな森である。
カイネは防具を身につけたまま、私の傍に腰を下ろした。そうして、私が見ていたのと同じように農村を見つめる。
風が吹くと、銀色の髪がきらきらと、空気を孕んで揺れるのが見えた。二十歳を超えて、カイネはますます美形に磨きがかかったように思う。風に揺れる髪を指先で押さえながら、カイネはすぐに私の視線に気付いて、こちらへ目を向ける。そうして嬉しそうに頬を赤らめて「どうしたの、メル」と優しく私を呼んだ。
「ううん。なんでもないよ」
「ええっ。嘘でしょう。そんな目じゃなかったよ。何か言いたそうな目だった。兄様にはわかるんだよ」
「もう。本当になんでもないってば」
そう? なんて、カイネは小さく首を傾げる。そうしてからぐ、と伸びをして、「今日には家に帰れるね」と朗らかに言葉を続ける。
「そうだね。リュジ、待ってるかな」
「待っているよ。だって、今日この村へ行くことを伝えた時にだって、凄く凄く心配していただろう。ハンカチは持ったか、だとか、昼食はちゃんと持って行け、だとか、飲み水も、なんて」
カイネが笑う。同じように、今日の朝のことを思い出して、私は小さく笑った。
きっと帰ったら、今日のことを沢山聞かれるだろう。今から何を話そうかな、なんて考えて居ると、ユリウスが「メルお嬢様」と、ささやかに言葉を続けた。
「楽しい話、の続きなんですが」
「あっ。うん。なになに?」
「――メルお嬢様の癒術の腕は、確かなもの、になってきました。人も、花も、物も――なんでも治療出来る……。なので、そろそろ、癒術士としての資格を取ってはどうか、と……思うんです」
「癒術士としての資格?」
「はい」
ユリウスが頷く。カイネが「わあ、素敵だね」と声を明るくするのが聞こえた。
「国認定の癒術士になれば、出来ることや行ける場所がたくさん広がると聞いたことがあるよ。もちろん、自分で起業をすることも出来るんだとか」
「そう――なの?」
「そう、です。メルお嬢様のご両親も、癒術士としての資格を取って、沢山の街を回られていました。癒術士になれば、国に厳重に保管されている、重要な魔法書なんかも、……読めるようになります。恐らく、ですが、その中には、メルお嬢様が作りたいと言っていた――魔法道具作成を手助けするものも、ある、かと」
私は微かに瞬く。ユリウスに作りたい、と相談したのは、食事などに毒物が含まれていたとき、勝手にそれを浄化してくれる魔法道具のことだ。一年以上前に相談して、一緒に試行錯誤したのだが、中々上手く出来ずに居た。――のだが、それらを作るヒントになるような本が、癒術士になると見られる、というなら。
「なる。――なりたい!」
「大丈夫、メルならなれるよ。兄様が補償する」
カイネが軽く拍手をしながら言葉を続ける。ユリウスが小さく頷いて、それなら今度、手続きをしましょう、と続けた。
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