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狩猟祭
16.襲来
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「……リュジが?」
「はい。――以前はカイネ様と、そして今回はリュジ様と。狙っていると思います。殿下が、ではなく……」
その先の言葉を続ける、前に、低い遠吠えの声が聞こえた。それをかわきりに、そこかしこで強い嘶きのようなものが響きはじめ、地面を揺らす。
え、と思わず声を漏らす。この遠吠えの声も、嘶きも、聞いたことのないものだった。それなのに、耳にした瞬間、ぞわぞわと背筋が凍るかのような感覚を覚える。慌てて視線を映像の方に向ける。
リュジが映っていた。彼は杖を構えたまま、精霊犬と一緒に何かと対峙しているように見える。
風船――ではない。何か……動物のような、形をしていた。
「リュジ……?」
ユリウスが同じように顔を上げる。瞬間、映像が黒い靄に遮られるようにしてぶつりと途切れる。どの投影魔法道具も、である。
「えっ……?」
「――非常事態が発生した、みたいです」
「ひ、非常事態?」
思わず聞き返す。なんだそれ。そんなのあるの? 原作ゲームでは『狩猟祭』はいつも朗らかな雰囲気で終わっていた気がする。点数を稼いで攻略対象の好感度上げるミニゲームがあるくらいだから、相当なものである。
それなのに、何が。狩猟祭で非常事態って、どういう。
一体何が起こっているのだろう。わからない。けれど――。
リュジが危ない目に遭っているかもしれない、ということだけは、わかる。ぞわ、と背筋が粟立つ。私は今は何も写さない映像を眺めながら、首を振った。
「リュジ……! さ、さっき、リュジが。リュジが、何かと戦っていて……! リュジを助けに行かないと……!」
守らないと。――守らないと、いけない。まさかここで死んだりするとは思わないけれど、それでも。
焦燥感がじんわりと喉を伝う。私は慌てて杖を持つ。魔法を使用する時につかう、自分専用の杖だ。
「行かなきゃ……!」
「メルお嬢様、待ってください。危ないです」
「危ないって……! リュジの方が危ないのに……!」
「――さきほどの、遠吠え。あれは、精霊犬が発したもの、です。精霊犬では対処出来ない状況に遭遇したとき、あの声をあげるよう、彼らは躾けられています」
なら、尚更、大変な状況ではないか。直ぐにその場に駆けつけなければいけないし、そこにリュジが居たら、助けなくてはいけない。
魔法は――魔法は、沢山、訓練した。だから、出来るはずだ。癒術に関しては難しいけれど、魔法だけなら、少しくらい役に立てる。
「精霊犬で対処出来ない状況、というのは、とても……とても、危ないんです。リュジ様のために出迎えば、メルお嬢様のほうが傷ついてしまうかもしれません。それに、映像も途切れました。相手は魔法道具を簡単に壊すことが出来るくらい、強いんです」
足手まといだと、暗に言われているのがわかった。
ぐ、と唇を強く結ぶ。でも、とか、だって、とか、沢山の言い訳めいた言葉が喉の奥を回る。ここで我が儘を言ってはいけないことはわかっていた。
指先が震える。自分に対する怒りと、そして、今の状況に対する、感情で。
――嫌だ。行きたい。お願い。連れて行って。そう言えば、ユリウスは迷った後、私を連れて行ってくれるだろう。けれどそれは、ユリウスに私という重荷を背負わせてしまうことに他ならない。
他の癒術士たちが、ざわめくように言葉を交わす音が聞こえる。何があった、現場に向かうべきでは。様々な憶測が飛び交う救護室で、待機していた貴族の子息たちにも、その不安の波が滲んでいく。何が起こったのかわからず泣き出す子どもも居れば、隣に座る子どもの手をぎゅうっと握り絞める子どもも居る。
「メルお嬢様、どうかここに――」
「メル」
不意に、天恵のように声が振ってくる。見ると、救護室の入り口に、カイネが立っていた。騎士団の服装を身に纏ったままだ。恐らく、街中の警ら活動から、精霊犬の声を聞いて、飛んできたのだろう。
「良かった。救護室にはメルが居るだろうと思ったから。怪我は無い?」
「兄様……」
そっと頬に触れられて、私は小さく呻く。怪我は無い。私は、ずっと安全な場所に居た。けれど。
「リュジが……」
声が震える。カイネは微かに顎を引いて、それからゆっくりと頷いた。
「大丈夫だよ。精霊犬の遠吠えは王都にも聞こえたから、すぐにこっちに来たんだ。もちろん、他の騎士団も追って到着する。それまでは、祭に際して編成された騎士団が、子ども達を守るために手を尽くしてくれるから――」
「兄様……」
「大丈夫。泣かないで、リュジのことは私に任せて。必ず見つけるよ。ほら、今日は――約束したからね」
先日の――約束のことを言っているのだろうことは、すぐにわかった。
狩猟祭が終わったら、リュジとカイネと私とで、共に王都に出て、遊ぼうという約束。
喉が詰まる。声が震える。私は。私は、どうしても。
「私……。私、兄様」
「うん」
「行きたい」
喉の奥から我が儘が零れ落ちる。どう考えてもカイネを困らせる言葉だ。けれど、それでも。
ここで待つだけしか出来ないなんて、嫌だった。
「お願い……兄様。一生に一度のお願いだから……」
「……メル」
カイネが僅かに息を飲む。そうこうしている内に、騎士団に所属されているであろう、甲冑を身につけた人々が救護室の中に入ってきた。怪我人、そして癒術士を、安全な場所へ移動させようとしているらしい。漏れ聞こえてくる声で、それらが理解出来た。
「メルは優しい子だね」
カイネはゆっくりと私に触れる。そうして、一拍、間を置いてから、「うん。わかった。兄様が、そのお願い、叶えてあげる」と続ける。
「リュジがきっと待っている。一緒に探しに行こうか、メル」
私の横でユリウスが、「それは……許可できません」と慌てたように言葉を続ける。カイネは微かに顎を引いて、それから薄く笑みを零した。
美しい顔の人が浮かべる、どこまでも冷徹な笑みは、見ている人に恐怖のようなものを与える。
「私が、メルを危険にさらすと思われる――ということですか?」
「……いえ。カイネ卿ほどの実力者であれば、そんなことはないかと思います。ですが――」
「なら、行かせてください。メルは、リュジのことを心配している。そしてきっと、それはリュジも。なら、兄として、私のすることは決まっているでしょう。――精霊の座する森で非常事態が起きているのは確定的です。ならば私は、皇帝の騎士として、やるべきことをするだけです」
どうか他の子ども達を、お願い致します。カイネはそう言って軽く頭を下げる。ユリウスが慌てたようにそれより深く頭を下げるのが見えた。
行こう、とカイネは続けて囁く。
足手まといになるかもしれない。けれど、せめて、少しだけでも役に立てるかもしれないなら。
私はこの手を取ることを、拒否出来ない。
「……ユリウス、ごめんなさい、私、行きたい」
「――メルお嬢様」
「我が儘でごめんなさい。でも、でも――心配で仕方ないの。待ってるなんて出来ない」
ユリウスは微かに首を振る。そうしてから「無事に……必ず無事に、帰ってきてください」と続ける。それに頷いて返し、私はカイネの手を強く握った。
カイネが笑って「必ず」と続ける。そのまま、カイネは腰に佩いた杖を取り出すと軽く揺らした。瞬間、体がふわりと浮かび上がる。柔らかな風のクッションに腰掛けるようにして、カイネは私に向かって笑った。
「リュジはきっと、メルと兄様が一緒に来るなんて、思ってもいないだろうな。行って、驚かせてあげようね」
「――うん」
喉が震える。自分の、弱さに。そして、我が儘を通してしまう、子どもっぽさに。
駄目だ。――私はもっと。もっと、きちんと、強くならなければならない。
強く、なりたい。
「はい。――以前はカイネ様と、そして今回はリュジ様と。狙っていると思います。殿下が、ではなく……」
その先の言葉を続ける、前に、低い遠吠えの声が聞こえた。それをかわきりに、そこかしこで強い嘶きのようなものが響きはじめ、地面を揺らす。
え、と思わず声を漏らす。この遠吠えの声も、嘶きも、聞いたことのないものだった。それなのに、耳にした瞬間、ぞわぞわと背筋が凍るかのような感覚を覚える。慌てて視線を映像の方に向ける。
リュジが映っていた。彼は杖を構えたまま、精霊犬と一緒に何かと対峙しているように見える。
風船――ではない。何か……動物のような、形をしていた。
「リュジ……?」
ユリウスが同じように顔を上げる。瞬間、映像が黒い靄に遮られるようにしてぶつりと途切れる。どの投影魔法道具も、である。
「えっ……?」
「――非常事態が発生した、みたいです」
「ひ、非常事態?」
思わず聞き返す。なんだそれ。そんなのあるの? 原作ゲームでは『狩猟祭』はいつも朗らかな雰囲気で終わっていた気がする。点数を稼いで攻略対象の好感度上げるミニゲームがあるくらいだから、相当なものである。
それなのに、何が。狩猟祭で非常事態って、どういう。
一体何が起こっているのだろう。わからない。けれど――。
リュジが危ない目に遭っているかもしれない、ということだけは、わかる。ぞわ、と背筋が粟立つ。私は今は何も写さない映像を眺めながら、首を振った。
「リュジ……! さ、さっき、リュジが。リュジが、何かと戦っていて……! リュジを助けに行かないと……!」
守らないと。――守らないと、いけない。まさかここで死んだりするとは思わないけれど、それでも。
焦燥感がじんわりと喉を伝う。私は慌てて杖を持つ。魔法を使用する時につかう、自分専用の杖だ。
「行かなきゃ……!」
「メルお嬢様、待ってください。危ないです」
「危ないって……! リュジの方が危ないのに……!」
「――さきほどの、遠吠え。あれは、精霊犬が発したもの、です。精霊犬では対処出来ない状況に遭遇したとき、あの声をあげるよう、彼らは躾けられています」
なら、尚更、大変な状況ではないか。直ぐにその場に駆けつけなければいけないし、そこにリュジが居たら、助けなくてはいけない。
魔法は――魔法は、沢山、訓練した。だから、出来るはずだ。癒術に関しては難しいけれど、魔法だけなら、少しくらい役に立てる。
「精霊犬で対処出来ない状況、というのは、とても……とても、危ないんです。リュジ様のために出迎えば、メルお嬢様のほうが傷ついてしまうかもしれません。それに、映像も途切れました。相手は魔法道具を簡単に壊すことが出来るくらい、強いんです」
足手まといだと、暗に言われているのがわかった。
ぐ、と唇を強く結ぶ。でも、とか、だって、とか、沢山の言い訳めいた言葉が喉の奥を回る。ここで我が儘を言ってはいけないことはわかっていた。
指先が震える。自分に対する怒りと、そして、今の状況に対する、感情で。
――嫌だ。行きたい。お願い。連れて行って。そう言えば、ユリウスは迷った後、私を連れて行ってくれるだろう。けれどそれは、ユリウスに私という重荷を背負わせてしまうことに他ならない。
他の癒術士たちが、ざわめくように言葉を交わす音が聞こえる。何があった、現場に向かうべきでは。様々な憶測が飛び交う救護室で、待機していた貴族の子息たちにも、その不安の波が滲んでいく。何が起こったのかわからず泣き出す子どもも居れば、隣に座る子どもの手をぎゅうっと握り絞める子どもも居る。
「メルお嬢様、どうかここに――」
「メル」
不意に、天恵のように声が振ってくる。見ると、救護室の入り口に、カイネが立っていた。騎士団の服装を身に纏ったままだ。恐らく、街中の警ら活動から、精霊犬の声を聞いて、飛んできたのだろう。
「良かった。救護室にはメルが居るだろうと思ったから。怪我は無い?」
「兄様……」
そっと頬に触れられて、私は小さく呻く。怪我は無い。私は、ずっと安全な場所に居た。けれど。
「リュジが……」
声が震える。カイネは微かに顎を引いて、それからゆっくりと頷いた。
「大丈夫だよ。精霊犬の遠吠えは王都にも聞こえたから、すぐにこっちに来たんだ。もちろん、他の騎士団も追って到着する。それまでは、祭に際して編成された騎士団が、子ども達を守るために手を尽くしてくれるから――」
「兄様……」
「大丈夫。泣かないで、リュジのことは私に任せて。必ず見つけるよ。ほら、今日は――約束したからね」
先日の――約束のことを言っているのだろうことは、すぐにわかった。
狩猟祭が終わったら、リュジとカイネと私とで、共に王都に出て、遊ぼうという約束。
喉が詰まる。声が震える。私は。私は、どうしても。
「私……。私、兄様」
「うん」
「行きたい」
喉の奥から我が儘が零れ落ちる。どう考えてもカイネを困らせる言葉だ。けれど、それでも。
ここで待つだけしか出来ないなんて、嫌だった。
「お願い……兄様。一生に一度のお願いだから……」
「……メル」
カイネが僅かに息を飲む。そうこうしている内に、騎士団に所属されているであろう、甲冑を身につけた人々が救護室の中に入ってきた。怪我人、そして癒術士を、安全な場所へ移動させようとしているらしい。漏れ聞こえてくる声で、それらが理解出来た。
「メルは優しい子だね」
カイネはゆっくりと私に触れる。そうして、一拍、間を置いてから、「うん。わかった。兄様が、そのお願い、叶えてあげる」と続ける。
「リュジがきっと待っている。一緒に探しに行こうか、メル」
私の横でユリウスが、「それは……許可できません」と慌てたように言葉を続ける。カイネは微かに顎を引いて、それから薄く笑みを零した。
美しい顔の人が浮かべる、どこまでも冷徹な笑みは、見ている人に恐怖のようなものを与える。
「私が、メルを危険にさらすと思われる――ということですか?」
「……いえ。カイネ卿ほどの実力者であれば、そんなことはないかと思います。ですが――」
「なら、行かせてください。メルは、リュジのことを心配している。そしてきっと、それはリュジも。なら、兄として、私のすることは決まっているでしょう。――精霊の座する森で非常事態が起きているのは確定的です。ならば私は、皇帝の騎士として、やるべきことをするだけです」
どうか他の子ども達を、お願い致します。カイネはそう言って軽く頭を下げる。ユリウスが慌てたようにそれより深く頭を下げるのが見えた。
行こう、とカイネは続けて囁く。
足手まといになるかもしれない。けれど、せめて、少しだけでも役に立てるかもしれないなら。
私はこの手を取ることを、拒否出来ない。
「……ユリウス、ごめんなさい、私、行きたい」
「――メルお嬢様」
「我が儘でごめんなさい。でも、でも――心配で仕方ないの。待ってるなんて出来ない」
ユリウスは微かに首を振る。そうしてから「無事に……必ず無事に、帰ってきてください」と続ける。それに頷いて返し、私はカイネの手を強く握った。
カイネが笑って「必ず」と続ける。そのまま、カイネは腰に佩いた杖を取り出すと軽く揺らした。瞬間、体がふわりと浮かび上がる。柔らかな風のクッションに腰掛けるようにして、カイネは私に向かって笑った。
「リュジはきっと、メルと兄様が一緒に来るなんて、思ってもいないだろうな。行って、驚かせてあげようね」
「――うん」
喉が震える。自分の、弱さに。そして、我が儘を通してしまう、子どもっぽさに。
駄目だ。――私はもっと。もっと、きちんと、強くならなければならない。
強く、なりたい。
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