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25-2 お互いの色
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考えてみれば、ステリアとの付き合いも半年近くなる。奏は鏡越しにステリアを眺め、「いつもありがとうございます」と少し冗談めいた口調で笑う。ステリアが視線を合わせて微笑んだ。
「今日がステリアさんにとっても良い日となりますように」
「ありがとうございます。聖女様にとっても、そうであるよう、祈っております」
ステリアの指先が離れる。美しく結い上げられた髪にそっと触れて、奏は頷いた。
いつもより早くに支度をして、朝食の場へ赴いたにもかかわらず、フェリクスは既に居た。一体いつからここでスタンバイしているのだろうか。
奏を見ると嬉しそうに笑い、「早いね」と続ける。
「早いのはフェリクス殿下の方では……一度で良いから私よりも後に来て下さい」
「なにそれ、そんなお願いされたの初めてだよ。まあ、今日は早めに支度が終わったから。それに、今日はしたいこともあったからね」
言いながらフェリクスは笑った。
「したいこと?」
「そう。変装の魔法を使う、って言っただろう? その用意をしておいたから……食事の後でも、前でも良いけれど、少し時間をくれると助かる」
「それはもちろん」
奏は頷く。出かけるのなら、『聖女』と『第二王子』であることがバレないように、と言うのは以前にも話したことだ。特に、十八日に出かけるのは特別な意味を持つのだから、尚更。
フェリクスは嬉しそうに瞳を細め、「髪の色を変える魔法なんだ」と囁く。
用意され始めた食事を眺めながら、奏は「髪の色を?」と首を傾げた。
「そう。――ほら、髪って人の印象に残るでしょう。目の色もね。聖女様といえば黒髪の女性、という認識が現状広がっているから、髪の色を変えて、そうだね、服装も……」
そこまで言い切って、フェリクスは口を噤んだ。僅かな間を置いて、「先日のようにすればいいよ」と早口に言う。
「先日?」
「……騎士と出かけた日、あっただろう?」
「ああ、はい」
奏は頷く。騎士と共に街へ降りて、フェリクスへのプレゼント選びを試行錯誤した日のことを言っているのだろう。
「わかりました、あの時の感じですね」
「うん。……、……ねえ、でも、あの時と同じ服は着てこないでよ」
「えっ」
「いや、着て……着て来ても、良い、けれど、僕が別に勝手にそう、ってなるだけだから。そう、って、うん、そうってなるだけ」
そうってなるだけ、とは。どういうことなのだろう。ただとにかく、フェリクスは奏に違う服を着て欲しいようである、ということだけはなんとなく察しが付く。
その理由までもは、ちょっとわからないが。
「わかりました、違う服ですよね。ステリアに用意してもらいます」
「……ステリアと一緒に奏が選んで、くれない?」
「うん?」
「……キミの意思が介在している服が良い」
どういう。なんだろう、面倒臭さが極地に達しているような気がする。
つまりフェリクスは、自分と出かけるのだから服装を他人任せにせず、奏自身に選んで欲しいと言っているのだ。
「服を選んでいる間は僕のことを考えてよ」
早口に紡がれた言葉に奏は呆ける。フェリクスが静かに眉根を寄せ「面倒臭そうな顔をしないでくれる?」と怒ったように続けた。
完全に心中がバレてしまっている。奏は笑う。
「それなら、フェリクス殿下も自分で服を選んでくださいよ。その間は、私のことだけを考えてくださいね」
「……良いよ、もちろん。そうする。それでいい? ならこの話は終わりだよ。わかった? 早く食事を済ませて。魔法をかけるのも大変なんだから」
フェリクスが自分から話題にしたというのに、もうこれ以上話すことはないとばかりに切り捨ててしまう。
まるで照れ隠しのようだな、と考えて、奏はじっとフェリクスを見つめる。その眦が、僅かに赤くなっているのを眺めていると、視線に気付いたフェリクスがさっと顔を逸らした。
食事の後、フェリクスによって魔法をかけてもらうことになった。
外見を変える、というのは中々難しい魔法らしく、宝石を使って魔法を使うことになる。一日、つまりは二十四時間経てば元の色に戻るので、明日の昼には黒髪に戻るようだ。
「色は好きな色を選べたりしますか?」
「好きな色……そうだね、出来るよ。強く思い浮かべたら、そうなると思う。準備が出来たら声をかけて」
「わかりました……! 大丈夫です!」
奏は頷く。椅子に座った奏の後ろにフェリクスが立っていた。今回使う宝石は、アクセサリーに加工されていない原石に近いもののようである。
折角だから自分が以前渡したものを使用してはどうか、と奏がフェリクスに提案すると、「いつかね。今日はこれで大丈夫だから」と素気なく断られた。
原石をかり、と爪先で傷つける音がする。しかし、好きな髪の色。何色でも面白そうだ。そう、赤色だって良いだろうし、現代では髪を傷めそうで出来なかったブリーチ必須の色だって今日ばかりは挑戦出来る。ただ、あまりに奇抜な色だと似合わないだろうし、それを考えるとミルクティー色みたいな、そういう淡い色合いが良いのかもしれない。
うん、そういう色が良い。そういう色で! 心の中で念じながら目を閉じる。ふわ、と耳元を擽るように風が吹いて、フェリクスが「えっ」と声を上げた。
完全に意表を突かれたような声だった。
「……え? で、出来ました?」
「出来た、けれど、……、……ふ、あは。ねえ、奏、キミ、こういう色が好きなんだ?」
「え?」
そんな奇抜な色を思い浮かべたつもりはないが。目を開く。髪は結われているので、自分ではどんな色になったかを確認出来ない。
奏はフェリクスを見上げる。
「どういう色なんですか?」
「どういう色って言うか……、ふふ。はあ。騎士とあんな楽しそうに出かけるなんて、って、怒っていた僕が馬鹿らしく思えてくるな」
フェリクスは笑いながら軽く指を振った。瞬間、何も無い場所に水泡が現れ、それが平たくなり鏡のようになる。
そこには、奏が映っていた。フェリクスと同じ――薄い水色の髪をした、奏が。
「……え!?」
「ふふ。似合ってるよ、奏。じゃあ、僕も髪の色を変えようかな」
言いながら、フェリクスは上機嫌に魔法を使う。薄い水色の髪が、ゆっくりと毛先から滲むように黒くなっていくのが見えた。完全に黒髪に染め上げられた髪の毛先を、フェリクスが指で軽く摘まみ、頬を赤らめながら笑う。
「出来た」
「……あ、え、あの、え!?」
「僕と奏で、色を交換したみたいだね。中々面白いし――うん、凄く、良い」
一気に奏の頬が熱くなる。なんで、おかしい、だって違う色のことを考えていたはずだ。それなのに、こんな色になるなんて。
これではまるで、フェリクスのことばかり考えているのだと明かされてしまったように思える。どうしようもなく恥ずかしい。
「う、うそ、あの、やり直し、やり直し……!」
「どうして。似合っていると言っているのに。僕が信じられない? ねえ、お互いの色で染め上げられているなんて、素敵だし、問題無いよ。それにほら、宝石をそんなに簡単に消耗して良いわけでもないしね」
それとも、とフェリクスは静かに笑う。金色と緑のグラデーションがかった美しい瞳が、蠱惑的に細められる。
「僕の色は、嫌?」
「――っ」
嫌じゃないから困っているのだ。
奏は息を飲む。視線が逸れた。それだけで、多分、感情が伝わったのだろう。フェリクスが息を零すようにして笑った。どこまでも楽しげなそれを聞いていると、奏も結局つられたように笑ってしまう。
馬鹿みたいだな、と奏は思う。こんなことで一喜一憂する自分も、何もかも。それでも、どうしようもなく嬉しい気持ちがふつふつと湧いてくるのを、止めることは出来なかった。
「今日がステリアさんにとっても良い日となりますように」
「ありがとうございます。聖女様にとっても、そうであるよう、祈っております」
ステリアの指先が離れる。美しく結い上げられた髪にそっと触れて、奏は頷いた。
いつもより早くに支度をして、朝食の場へ赴いたにもかかわらず、フェリクスは既に居た。一体いつからここでスタンバイしているのだろうか。
奏を見ると嬉しそうに笑い、「早いね」と続ける。
「早いのはフェリクス殿下の方では……一度で良いから私よりも後に来て下さい」
「なにそれ、そんなお願いされたの初めてだよ。まあ、今日は早めに支度が終わったから。それに、今日はしたいこともあったからね」
言いながらフェリクスは笑った。
「したいこと?」
「そう。変装の魔法を使う、って言っただろう? その用意をしておいたから……食事の後でも、前でも良いけれど、少し時間をくれると助かる」
「それはもちろん」
奏は頷く。出かけるのなら、『聖女』と『第二王子』であることがバレないように、と言うのは以前にも話したことだ。特に、十八日に出かけるのは特別な意味を持つのだから、尚更。
フェリクスは嬉しそうに瞳を細め、「髪の色を変える魔法なんだ」と囁く。
用意され始めた食事を眺めながら、奏は「髪の色を?」と首を傾げた。
「そう。――ほら、髪って人の印象に残るでしょう。目の色もね。聖女様といえば黒髪の女性、という認識が現状広がっているから、髪の色を変えて、そうだね、服装も……」
そこまで言い切って、フェリクスは口を噤んだ。僅かな間を置いて、「先日のようにすればいいよ」と早口に言う。
「先日?」
「……騎士と出かけた日、あっただろう?」
「ああ、はい」
奏は頷く。騎士と共に街へ降りて、フェリクスへのプレゼント選びを試行錯誤した日のことを言っているのだろう。
「わかりました、あの時の感じですね」
「うん。……、……ねえ、でも、あの時と同じ服は着てこないでよ」
「えっ」
「いや、着て……着て来ても、良い、けれど、僕が別に勝手にそう、ってなるだけだから。そう、って、うん、そうってなるだけ」
そうってなるだけ、とは。どういうことなのだろう。ただとにかく、フェリクスは奏に違う服を着て欲しいようである、ということだけはなんとなく察しが付く。
その理由までもは、ちょっとわからないが。
「わかりました、違う服ですよね。ステリアに用意してもらいます」
「……ステリアと一緒に奏が選んで、くれない?」
「うん?」
「……キミの意思が介在している服が良い」
どういう。なんだろう、面倒臭さが極地に達しているような気がする。
つまりフェリクスは、自分と出かけるのだから服装を他人任せにせず、奏自身に選んで欲しいと言っているのだ。
「服を選んでいる間は僕のことを考えてよ」
早口に紡がれた言葉に奏は呆ける。フェリクスが静かに眉根を寄せ「面倒臭そうな顔をしないでくれる?」と怒ったように続けた。
完全に心中がバレてしまっている。奏は笑う。
「それなら、フェリクス殿下も自分で服を選んでくださいよ。その間は、私のことだけを考えてくださいね」
「……良いよ、もちろん。そうする。それでいい? ならこの話は終わりだよ。わかった? 早く食事を済ませて。魔法をかけるのも大変なんだから」
フェリクスが自分から話題にしたというのに、もうこれ以上話すことはないとばかりに切り捨ててしまう。
まるで照れ隠しのようだな、と考えて、奏はじっとフェリクスを見つめる。その眦が、僅かに赤くなっているのを眺めていると、視線に気付いたフェリクスがさっと顔を逸らした。
食事の後、フェリクスによって魔法をかけてもらうことになった。
外見を変える、というのは中々難しい魔法らしく、宝石を使って魔法を使うことになる。一日、つまりは二十四時間経てば元の色に戻るので、明日の昼には黒髪に戻るようだ。
「色は好きな色を選べたりしますか?」
「好きな色……そうだね、出来るよ。強く思い浮かべたら、そうなると思う。準備が出来たら声をかけて」
「わかりました……! 大丈夫です!」
奏は頷く。椅子に座った奏の後ろにフェリクスが立っていた。今回使う宝石は、アクセサリーに加工されていない原石に近いもののようである。
折角だから自分が以前渡したものを使用してはどうか、と奏がフェリクスに提案すると、「いつかね。今日はこれで大丈夫だから」と素気なく断られた。
原石をかり、と爪先で傷つける音がする。しかし、好きな髪の色。何色でも面白そうだ。そう、赤色だって良いだろうし、現代では髪を傷めそうで出来なかったブリーチ必須の色だって今日ばかりは挑戦出来る。ただ、あまりに奇抜な色だと似合わないだろうし、それを考えるとミルクティー色みたいな、そういう淡い色合いが良いのかもしれない。
うん、そういう色が良い。そういう色で! 心の中で念じながら目を閉じる。ふわ、と耳元を擽るように風が吹いて、フェリクスが「えっ」と声を上げた。
完全に意表を突かれたような声だった。
「……え? で、出来ました?」
「出来た、けれど、……、……ふ、あは。ねえ、奏、キミ、こういう色が好きなんだ?」
「え?」
そんな奇抜な色を思い浮かべたつもりはないが。目を開く。髪は結われているので、自分ではどんな色になったかを確認出来ない。
奏はフェリクスを見上げる。
「どういう色なんですか?」
「どういう色って言うか……、ふふ。はあ。騎士とあんな楽しそうに出かけるなんて、って、怒っていた僕が馬鹿らしく思えてくるな」
フェリクスは笑いながら軽く指を振った。瞬間、何も無い場所に水泡が現れ、それが平たくなり鏡のようになる。
そこには、奏が映っていた。フェリクスと同じ――薄い水色の髪をした、奏が。
「……え!?」
「ふふ。似合ってるよ、奏。じゃあ、僕も髪の色を変えようかな」
言いながら、フェリクスは上機嫌に魔法を使う。薄い水色の髪が、ゆっくりと毛先から滲むように黒くなっていくのが見えた。完全に黒髪に染め上げられた髪の毛先を、フェリクスが指で軽く摘まみ、頬を赤らめながら笑う。
「出来た」
「……あ、え、あの、え!?」
「僕と奏で、色を交換したみたいだね。中々面白いし――うん、凄く、良い」
一気に奏の頬が熱くなる。なんで、おかしい、だって違う色のことを考えていたはずだ。それなのに、こんな色になるなんて。
これではまるで、フェリクスのことばかり考えているのだと明かされてしまったように思える。どうしようもなく恥ずかしい。
「う、うそ、あの、やり直し、やり直し……!」
「どうして。似合っていると言っているのに。僕が信じられない? ねえ、お互いの色で染め上げられているなんて、素敵だし、問題無いよ。それにほら、宝石をそんなに簡単に消耗して良いわけでもないしね」
それとも、とフェリクスは静かに笑う。金色と緑のグラデーションがかった美しい瞳が、蠱惑的に細められる。
「僕の色は、嫌?」
「――っ」
嫌じゃないから困っているのだ。
奏は息を飲む。視線が逸れた。それだけで、多分、感情が伝わったのだろう。フェリクスが息を零すようにして笑った。どこまでも楽しげなそれを聞いていると、奏も結局つられたように笑ってしまう。
馬鹿みたいだな、と奏は思う。こんなことで一喜一憂する自分も、何もかも。それでも、どうしようもなく嬉しい気持ちがふつふつと湧いてくるのを、止めることは出来なかった。
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