40 / 72
22-1 期限
しおりを挟む
ステラ・エンデリオンは朗々と言葉を紡ぐと、奏を見て微笑みを浮かべた。
「聖女様の噂はかねがね。お会い出来て光栄です」
「あ――こちらこそ。先日は申し訳ございませんでした」
奏は首を振る。思い浮かぶのは、先月のことである。
騎士の大会の後、アレウス、ステラ、そしてフェリクス、奏の四人で晩餐会が行われる予定だった。だが、あの時、奏は急を要するであろう騎士を優先し、結果として倒れた。その為、ステラとは顔を合わせることが出来ずに居たのだ。
それがずっと心のどこかに引っかかっていたこともあり、突然とは言え、会うことが出来たのは僥倖とも言える。直接、謝罪も伝えたかったところである。
ステラは奏の言葉に瞬くと、僅かに相好を崩す。「いえ、お体は? 元気になったというのは、アレウス伝いに聞いておりますが」と囁いた。
「元気です。もう大丈夫です! 折角、場を設けてくださったのに……」
「元気ならばそれが何よりですから。聖女様さえ良ければ、また場を設けたいな。どうだろう?」
「はい。是非、お願いしたいです」
「じゃあまた、良かったら日にちを決めましょうか」
ステラは弾むように言葉を続ける。綺麗な人だった。年の頃は、アレウスと同じくらいだろうか。はつらつとした魅力を感じる。
アレウスとステラの婚約関係は結構前に決まっていた、と侍女のステリアが言っていた。
恐らく、それもあって、ステラはフェリクスと接することも多かったのだろう。先ほどまでの会話に漂う気安い態度に、二人の間で築き上げられた年月が見える。
「――それで、ステラ様、どうされたのですか? そもそもどうしてルーデンヴァールへ? まさか、用もなく、私の部屋に入ってきたとは思いたくないのですが、そんな暇人のような所業をされるだなんて、いえ、失言をしました」
失言、という割に流ちょうに、確実に相手に棘を刺すつもりで紡がれた言葉が、フェリクスの唇から漏れる。まるで作り物めいた笑顔を浮かべている。瞳が剣呑な光を宿しているのが奏にも感じられた。
奏が気付くくらいなのだから、正面から視線を受けているステラは確実に気付いているだろう。ステラは軽く笑い声を零すと、「質問が多いな」と囁いた。
「用はあるさ。アレウスが呼んでいたよ。大事な話がある、とね」
「……兄上が、婚約者を、その為だけに遣わしたのですか?」
「それだけ、ではないね。今フェリクス殿下の部屋に行ったら面白いものを見られる気がする――とも言っていた」
「……お帰り願っても宜しいでしょうか?」
フェリクスがうっとりするほどの笑みを浮かべて続ける。目は全く笑っていない。ステラはふふ、と笑みを零した後、奏の傍に近づいてくると、その手を取った。
「もちろん。聖女様と少し話をしたら帰ろうかな」
「今すぐに帰ってください」
「家族になるというのに、そのような対応をするなんて。昔は可愛かったのになあ。ステラ様、ステラ様と言って私の後を追いかけてきて」
「いつの話をされているのですか? 十五年以上前のことでしょう」
フェリクスは静かに言葉を続けると、ため息を零す。ステラをじっとねめつけるように見つめた後、「聖女様と話したいこととは?」と首を傾げた。
「それを言う必要は無いだろう。同性でしか話せないこともあるからね。大丈夫、変なことは言わないさ。もちろん、聖女様の力を貸して欲しい、だとか秘密裡に言うこともない!」
「それに関しては、……信頼はしていますが」
「ほら、アレウスが待っている! さっさと行くんだ、私はここで聖女様と歓談に花を咲かせながらフェリクス殿下の帰りを待つとしよう」
これ以上の問答はしない、とでも言い出すかのような快活さで言葉を続け、ステラは奏に笑みを向けた。
綺麗な人だ。快活で、そして意思のある面立ちをしながら、どこかに楚々とした美しさが滲んでいる。
フェリクスもそうだが、王族という人達は幼いころから礼儀などを学ぶためか、一つ一つの所作が流麗だ。極論、怒っていてもその行動から優雅さが消えることはないのだろうな、なんて考えながら、奏はフェリクスを見た。
なんにせよ、アレウスに呼ばれているのであれば、行く必要があるのではないだろうか。
奏の視線を受けて、フェリクスは軽く顎を引く。悩むように視線を揺らした後、「直ぐに戻ってきます」と早口に続けた。
「変なことは何があっても教えないようにしてください」
「わかっている。ほら、大事な話をしてくると良い」
「……奏、何かあったら悲鳴を上げるんだ。助けに来るから」
「信頼していると言った口でなんてことを言うんだ」
ステラが笑う。同じように奏も笑った。フェリクス一人が、「笑い事じゃないんだけど」と怒ったように言葉を続けている。
だが、その怒りも長続きはしなかったのだろう。そっと吐息を零して、奏の耳元に口を寄せた。
「行ってくるよ。待っていて」
「はい。待ってます」
フェリクスが顔を上げる。口元を指先で隠しながら、フェリクスは早足に室内から出て行った。
室内に、奏とステラだけになる。ステラはそっと息を零すと、奏を見た。柔らかく微笑む様が、とても優美で、同性であるというのに胸が高鳴る。
「申し訳無い。フェリクス殿下との時間を邪魔してしまって……」
「いえ、そんな――そんなことは」
「フェリクス殿下と聖女様の話は、アレウスからよく聞いている。フェリクス殿下は……なんというか、面倒臭い男だろう?」
ステラは笑う。少しばかり穏やかで、優しい口調は、まるで手のかかる弟について話しているようにも聞こえた。
座って話そう、とステラが続け、執務室の隅にある、来客用のテーブルセットの傍に腰掛けた。ステラが手を打ち鳴らすと、室内に使用人が入ってくる。
「聖女様と私にお茶を用意してくれるかな?」
「かしこまりました。すぐに」
呼ばれた使用人が頭を下げ、戻っていく。手慣れた動作だった。多分、何度もここに来て、何度もこういったことをしているのだろう。
幼い頃からの婚約者なのだから、奏が想像出来ないほどの日数を、ステラはアレウスやフェリクスと過ごしているはずだ。途方もない年月に思いを馳せると同時に、ステラは息を零すように笑った。
「昔はああではなかったんだけどね。――流石に、もう少し素直だったかな。面倒臭い男と一緒に居るのは大変では? 保護してくれた相手とはいえ」
「――いえ、フェリクス殿下は本当によくしてくれています」
奏は首を振る。確かに面倒臭いな、と思ったことは一度、二度、三度……では、収まりきらないだろう。面倒臭い恋人みたいなことを言う人だな……という認識自体は結構前から、奏の中に根付いている。
――けれど、それを、嫌とは思わないのだ。むしろ可愛いな、なんて思ってしまう辺り、もう奏の気持ちは随分フェリクスに傾いていると言える。
「手袋も……そうなんですが、フェリクス殿下が私の体質を知ってすぐに用意してくれて。その他にも色々、……沢山、私が何をしても返せないくらい、様々なことをしてもらっています」
囁くように言葉を続ける。フェリクスとの思い出は、奏の心の、柔らかな部分にそっと仕舞われている。唐突な出会いから、――今日に至るまでの、全て。
フェリクスとの日々を思い返すと、じんわりと胸が温かくなるような心地を覚える。頬を僅かに赤らめながら、奏は視線を落とした。
「帰る時が来るまでに、少しでも返せたら良いのですが」
「おや、――帰るの?」
ステラが驚いたように声を上げる。帰るの、とは。奏も同じく目を開いて、ステラを見つめた。
「聖女は急に来て、急に帰るものなのでは?」
「確かにそれはそうだね。けれど、残った聖女も居るよ。――いや、強制をしたいわけではないんだ」
ステラは首を振る。そうしてから、ただ、と静かに続けた。
「二人の雰囲気が、……いや、これは言うべきことではないか。忘れて欲しい。そうだね、聖女様には元の世界というものがあるのか。元の場所に置いてきてしまった家族や友人などもいるだろうし……、簡単に、ここへ残る、とは決められないか」
絡まった思考の糸を解すように、ステラは囁くように続ける。そうして、ふ、と息を零すようにして目を細めた。
「私は勝手に、あなた方二人が婚姻をすると考えてしまっていたよ」
「ええっ」
「実際、そういう噂が流れているのだろう? 人嫌いとして名高いルーデンヴァール第二王子が、聖女様のことは近くに居ることを許している、なんていう噂が」
「……り、隣国に届くくらいの噂が?」
「それはまあ、王族なんてものの噂はどこにでも流れるものさ」
「聖女様の噂はかねがね。お会い出来て光栄です」
「あ――こちらこそ。先日は申し訳ございませんでした」
奏は首を振る。思い浮かぶのは、先月のことである。
騎士の大会の後、アレウス、ステラ、そしてフェリクス、奏の四人で晩餐会が行われる予定だった。だが、あの時、奏は急を要するであろう騎士を優先し、結果として倒れた。その為、ステラとは顔を合わせることが出来ずに居たのだ。
それがずっと心のどこかに引っかかっていたこともあり、突然とは言え、会うことが出来たのは僥倖とも言える。直接、謝罪も伝えたかったところである。
ステラは奏の言葉に瞬くと、僅かに相好を崩す。「いえ、お体は? 元気になったというのは、アレウス伝いに聞いておりますが」と囁いた。
「元気です。もう大丈夫です! 折角、場を設けてくださったのに……」
「元気ならばそれが何よりですから。聖女様さえ良ければ、また場を設けたいな。どうだろう?」
「はい。是非、お願いしたいです」
「じゃあまた、良かったら日にちを決めましょうか」
ステラは弾むように言葉を続ける。綺麗な人だった。年の頃は、アレウスと同じくらいだろうか。はつらつとした魅力を感じる。
アレウスとステラの婚約関係は結構前に決まっていた、と侍女のステリアが言っていた。
恐らく、それもあって、ステラはフェリクスと接することも多かったのだろう。先ほどまでの会話に漂う気安い態度に、二人の間で築き上げられた年月が見える。
「――それで、ステラ様、どうされたのですか? そもそもどうしてルーデンヴァールへ? まさか、用もなく、私の部屋に入ってきたとは思いたくないのですが、そんな暇人のような所業をされるだなんて、いえ、失言をしました」
失言、という割に流ちょうに、確実に相手に棘を刺すつもりで紡がれた言葉が、フェリクスの唇から漏れる。まるで作り物めいた笑顔を浮かべている。瞳が剣呑な光を宿しているのが奏にも感じられた。
奏が気付くくらいなのだから、正面から視線を受けているステラは確実に気付いているだろう。ステラは軽く笑い声を零すと、「質問が多いな」と囁いた。
「用はあるさ。アレウスが呼んでいたよ。大事な話がある、とね」
「……兄上が、婚約者を、その為だけに遣わしたのですか?」
「それだけ、ではないね。今フェリクス殿下の部屋に行ったら面白いものを見られる気がする――とも言っていた」
「……お帰り願っても宜しいでしょうか?」
フェリクスがうっとりするほどの笑みを浮かべて続ける。目は全く笑っていない。ステラはふふ、と笑みを零した後、奏の傍に近づいてくると、その手を取った。
「もちろん。聖女様と少し話をしたら帰ろうかな」
「今すぐに帰ってください」
「家族になるというのに、そのような対応をするなんて。昔は可愛かったのになあ。ステラ様、ステラ様と言って私の後を追いかけてきて」
「いつの話をされているのですか? 十五年以上前のことでしょう」
フェリクスは静かに言葉を続けると、ため息を零す。ステラをじっとねめつけるように見つめた後、「聖女様と話したいこととは?」と首を傾げた。
「それを言う必要は無いだろう。同性でしか話せないこともあるからね。大丈夫、変なことは言わないさ。もちろん、聖女様の力を貸して欲しい、だとか秘密裡に言うこともない!」
「それに関しては、……信頼はしていますが」
「ほら、アレウスが待っている! さっさと行くんだ、私はここで聖女様と歓談に花を咲かせながらフェリクス殿下の帰りを待つとしよう」
これ以上の問答はしない、とでも言い出すかのような快活さで言葉を続け、ステラは奏に笑みを向けた。
綺麗な人だ。快活で、そして意思のある面立ちをしながら、どこかに楚々とした美しさが滲んでいる。
フェリクスもそうだが、王族という人達は幼いころから礼儀などを学ぶためか、一つ一つの所作が流麗だ。極論、怒っていてもその行動から優雅さが消えることはないのだろうな、なんて考えながら、奏はフェリクスを見た。
なんにせよ、アレウスに呼ばれているのであれば、行く必要があるのではないだろうか。
奏の視線を受けて、フェリクスは軽く顎を引く。悩むように視線を揺らした後、「直ぐに戻ってきます」と早口に続けた。
「変なことは何があっても教えないようにしてください」
「わかっている。ほら、大事な話をしてくると良い」
「……奏、何かあったら悲鳴を上げるんだ。助けに来るから」
「信頼していると言った口でなんてことを言うんだ」
ステラが笑う。同じように奏も笑った。フェリクス一人が、「笑い事じゃないんだけど」と怒ったように言葉を続けている。
だが、その怒りも長続きはしなかったのだろう。そっと吐息を零して、奏の耳元に口を寄せた。
「行ってくるよ。待っていて」
「はい。待ってます」
フェリクスが顔を上げる。口元を指先で隠しながら、フェリクスは早足に室内から出て行った。
室内に、奏とステラだけになる。ステラはそっと息を零すと、奏を見た。柔らかく微笑む様が、とても優美で、同性であるというのに胸が高鳴る。
「申し訳無い。フェリクス殿下との時間を邪魔してしまって……」
「いえ、そんな――そんなことは」
「フェリクス殿下と聖女様の話は、アレウスからよく聞いている。フェリクス殿下は……なんというか、面倒臭い男だろう?」
ステラは笑う。少しばかり穏やかで、優しい口調は、まるで手のかかる弟について話しているようにも聞こえた。
座って話そう、とステラが続け、執務室の隅にある、来客用のテーブルセットの傍に腰掛けた。ステラが手を打ち鳴らすと、室内に使用人が入ってくる。
「聖女様と私にお茶を用意してくれるかな?」
「かしこまりました。すぐに」
呼ばれた使用人が頭を下げ、戻っていく。手慣れた動作だった。多分、何度もここに来て、何度もこういったことをしているのだろう。
幼い頃からの婚約者なのだから、奏が想像出来ないほどの日数を、ステラはアレウスやフェリクスと過ごしているはずだ。途方もない年月に思いを馳せると同時に、ステラは息を零すように笑った。
「昔はああではなかったんだけどね。――流石に、もう少し素直だったかな。面倒臭い男と一緒に居るのは大変では? 保護してくれた相手とはいえ」
「――いえ、フェリクス殿下は本当によくしてくれています」
奏は首を振る。確かに面倒臭いな、と思ったことは一度、二度、三度……では、収まりきらないだろう。面倒臭い恋人みたいなことを言う人だな……という認識自体は結構前から、奏の中に根付いている。
――けれど、それを、嫌とは思わないのだ。むしろ可愛いな、なんて思ってしまう辺り、もう奏の気持ちは随分フェリクスに傾いていると言える。
「手袋も……そうなんですが、フェリクス殿下が私の体質を知ってすぐに用意してくれて。その他にも色々、……沢山、私が何をしても返せないくらい、様々なことをしてもらっています」
囁くように言葉を続ける。フェリクスとの思い出は、奏の心の、柔らかな部分にそっと仕舞われている。唐突な出会いから、――今日に至るまでの、全て。
フェリクスとの日々を思い返すと、じんわりと胸が温かくなるような心地を覚える。頬を僅かに赤らめながら、奏は視線を落とした。
「帰る時が来るまでに、少しでも返せたら良いのですが」
「おや、――帰るの?」
ステラが驚いたように声を上げる。帰るの、とは。奏も同じく目を開いて、ステラを見つめた。
「聖女は急に来て、急に帰るものなのでは?」
「確かにそれはそうだね。けれど、残った聖女も居るよ。――いや、強制をしたいわけではないんだ」
ステラは首を振る。そうしてから、ただ、と静かに続けた。
「二人の雰囲気が、……いや、これは言うべきことではないか。忘れて欲しい。そうだね、聖女様には元の世界というものがあるのか。元の場所に置いてきてしまった家族や友人などもいるだろうし……、簡単に、ここへ残る、とは決められないか」
絡まった思考の糸を解すように、ステラは囁くように続ける。そうして、ふ、と息を零すようにして目を細めた。
「私は勝手に、あなた方二人が婚姻をすると考えてしまっていたよ」
「ええっ」
「実際、そういう噂が流れているのだろう? 人嫌いとして名高いルーデンヴァール第二王子が、聖女様のことは近くに居ることを許している、なんていう噂が」
「……り、隣国に届くくらいの噂が?」
「それはまあ、王族なんてものの噂はどこにでも流れるものさ」
27
お気に入りに追加
336
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
人形な美貌の王女様はイケメン騎士団長の花嫁になりたい
青空一夏
恋愛
美貌の王女は騎士団長のハミルトンにずっと恋をしていた。
ところが、父王から60歳を超える皇帝のもとに嫁がされた。
嫁がなければ戦争になると言われたミレはハミルトンに帰ってきたら妻にしてほしいと頼むのだった。
王女がハミルトンのところにもどるためにたてた作戦とは‥‥
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人
花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。
そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。
森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。
孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。
初投稿です。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる