41 / 56
6-6.
しおりを挟む「先生、いい加減声のボリュームもうちょっと下げてくれない?!うるさすぎて妄想できないし!!」
椅子に座り、髪をかきあげる心陽君。凄いクズ感が様になっている。
高梨先生はベッドでお尻を天井に付き出したままヘエヘエとラリったトドみたいにベッドで寝そべっている。
「で?今日は約束通り、朱南ちゃんの実家情報を教えてくれるんだよね?!あ、あとさっさと金出せよ先生。」
びっくり。"先生"と呼ばれているのに背徳感とかそういうものは全く感じない。
先生は、「ちょ、ちょい待ってーな」と膝をガクガクと震わせ、未だフル勃起が止まらない、生まれたての小鹿のようになっている。
「僕はあいつらみたいに金持ちじゃないし、最初から社会で権力を振りかざせるわけでもない。奴らを必ず手駒にしてのしあがってやる!!」
机に向かい、何やら資料を捲りながら、ぶつくさ文句を言っている心陽君。
···あいつらって琉生たちのことだよね??というか、心陽君ってそんなキャラだっけ??あ、そんなキャラだわ。
思えば、心陽君は入学当初、キャラが被ってるとか言って私を地に落とそうとしてたんだ!
マッパでまごつく高梨先生が、床に置いてある自分の鞄らしきものを取ろうとした。
でもそのまま顔から床にベシャッと落ちた。
「いつまで待たせんだよヤリ穴がっ。」
心陽君がドスを利かせた重低音でキレ、高梨先生を睨みつける。
でも先生は「あ、そのキレ声好きっ、もっかい、もっかい出ちまうっ」と、ベッドから落ちながら腰を動かしている。
私のいとこじゃなければ、第三者目線で笑いながら楽しめたのに。なんか血縁者が"ドMのヤリ穴"って、もう自分の臓器の一部を誰かに提供したい気分だ。
もっかい出ちまったのか、先生はいそいそとフルチンで自分の鞄を漁り始めた。早くパンツ履けって言ってやれ。
「一色家は母親が元々庶民の出やし、ご主人様の輝かしい成績なら、真っ向から婚約者候補に名乗り出てもいけるんちゃう?」
ご主人様って誰やねん。
「いや、何かしら功績がないとあいつら3人の比にはならない。御曹司と庶民じゃ、天と地の差がある。」
「···まあ、な。。事実、朱南ちゃんの母親は、大学在学中に、学会の研究論文書いて賞もろてるくらいやからなあ。」
「お前が気安く朱南ちゃん呼ばわりしてんじゃねーよ。」
「あっんんっんん"ん"ッッ♡」
もう先生がマッパでしゃがんでる時点で、私の視線は一点に集中し、会話が全然頭に入ってこない。
てか先生ってけっこう巨チンだ。巨チンなのに"受け"なんて、勿体ないやら、逆に人を傷つけずにすむやら何やら。
先生が鞄から資料一式と、財布から札束を取り出し心陽君に渡す。
「ご主人様、朱南ちゃんのことならわざわざ調べなくても、直接本人に聞けばいいんとちゃいます?」
心陽君が先生に向かって唾を吐いた。威嚇するアルパカみたいに。
「あああ"ッッ好き、ご主人様の唾液最高っ♡」
「朱南ちゃんは簡単に取り入りやすそうだけど、僕は単に朱南ちゃんを欲しいってだけじゃないからね。」
「出ちまう!オラあっこからまた出ちまう!!」
高梨先生の方言が孫悟空になったところで、心陽君が再びスマホに視線を落とす。目を血走らせ、何やらハアハア言いながら。
「朱南····好きだよ、好き好き愛してる。僕の世界で僕色に汚してやるからね。」
一体何の画像を見ているのか···。
厨二病のような言葉だが、心陽君が言うとなぜか現実味を帯びているのは気のせいだろうか。
彼はこの漫画の世界で主役のはず···、と同時にラスボス感が否めない。
あれは魔王、いや、悪役令嬢、いや、悪役庶民。そう、悪役庶民だ!悪役庶民?!凄いな悪役庶民!"庶民"がつくだけで凄く親しみやすいな!
タイトルはきっと、『転生したら主役のはずでしたが、周りが変態すぎてついていけなくなったので悪役庶民になりました』的な感じだ。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

乙ゲーの主人公になって喜んでたら、ヤンデレ、メンヘラ、サイコパスに囲まれた病みゲーでバッドエンディングの予感しかしませんっっ!!
奏音 美都
恋愛
交通事故に遭って転生した先が乙女ゲーム、しかも自分がその主人公だと知って喜んでたわけだけど……なにやらおかしいことに気付いてしまった。
ヤンデレの弟、メンヘラな幼馴染、サイコパスな転入生……攻略キャラが病みすぎる。
こんな乙ゲー、ハピエンになるはずがねー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

オアソビの時間〜sとm〜
菩提 樹子
恋愛
新卒トモダユウキ(22)は
会社の上司で既婚者のカジタナコ(33)に退屈しのぎにペットにならないか誘われる
最初は抵抗していたユウキだったが次第にナコにハマっていく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる