6 / 6
第六幕:またあした
しおりを挟む
「零…」
電車が通り過ぎていく
二人は遮断器の外で抱きしめ合っていた
「なんで…来てくれたんだ?」
「そんなん一つに決まってるよ!洞くんが自殺しようとしてたんだから!そりゃ止めに行くよ!」
と涙を目に溜めながら答える
「俺に会いたくないから来なかったんじゃないのか?」
「そんなわけ無いじゃん!ずっと洞くんに会いたかったのだけど家の事情でいつもの公園にいけなくて…自殺しないかが心配だったの!ずっとずっとずぅっと!」
必死に俺の肩を掴みながら揺らす
零がこんなに必死なのは見たことない…
いや…最初からずっと必死だったのかもしれない
そう…零はずっと俺のことを心配してくれてたんだ…
だけど俺はその零の気も知らず死のうとしていた…
零を悲しませた上に自分の欲を貫くようなことをしてしまうところだった…
そう思うと洞の目が霞んでくる…
そして洞の頬を水のようなものが伝った
洞は一瞬雨なのかと思ったがすぐ結論にたどり着いた
洞は静かに泣いていた
「お母さんが洞くんが線路のほうへ向かったって聞いて急いで飛び出しちゃったんだか…ゴホッゴホッ!」
いきなりかがみ込み、とても苦しそうに咳をする
家の事情というか風邪を引いてしまったのだろう
俺に心配させないように家の事情と言ってくれたのか…
俺はしゃがんで零の背中を擦りながら言う
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ…そろそろ暗くなってきたね…帰らなきゃ」
と立ち上がるがすぐよろけてしまう
「足元がおぼつかないぞ、家の前まで送ろうか?」
というと零は首を振り微笑む
「ううん、大丈夫私の家は近いからすぐにつくの」
「そうか…わかったじゃあまた明日な」
と手を振ると
ニコッと笑って
「うんまた明日!」
といって大きく手を振る
よかった俺は嫌われても無く失望されてもなかったんだ
あの声の言っていたことは間違っていたんだ…
零が笑顔で手を振りながら帰るのを少し見送った後
またあの声が聞こえた
『ほんとうにそれでいいの?』
前は不快に思えたその声は
今聞くととても懐かしくそして哀れに思える
うつむき考えながらその声のこと場に答える
「あぁ、これでいいんだ…もうお前の言葉には騙されない…お前は生きることに希望を持ってまた絶望させられることを怖がっている前の俺だ…」
顔を上げただ一言言う
弱虫で人とあんまりうまくやれなかった俺に対するたった一つの言葉
そんなに難しい言葉ではないだった一つのシンプルな言葉
大きく息を吸って不安を吹き飛ばして
今の俺の誓いの言葉…
「俺は……生きてやるっ!」
電車が通り過ぎていく
二人は遮断器の外で抱きしめ合っていた
「なんで…来てくれたんだ?」
「そんなん一つに決まってるよ!洞くんが自殺しようとしてたんだから!そりゃ止めに行くよ!」
と涙を目に溜めながら答える
「俺に会いたくないから来なかったんじゃないのか?」
「そんなわけ無いじゃん!ずっと洞くんに会いたかったのだけど家の事情でいつもの公園にいけなくて…自殺しないかが心配だったの!ずっとずっとずぅっと!」
必死に俺の肩を掴みながら揺らす
零がこんなに必死なのは見たことない…
いや…最初からずっと必死だったのかもしれない
そう…零はずっと俺のことを心配してくれてたんだ…
だけど俺はその零の気も知らず死のうとしていた…
零を悲しませた上に自分の欲を貫くようなことをしてしまうところだった…
そう思うと洞の目が霞んでくる…
そして洞の頬を水のようなものが伝った
洞は一瞬雨なのかと思ったがすぐ結論にたどり着いた
洞は静かに泣いていた
「お母さんが洞くんが線路のほうへ向かったって聞いて急いで飛び出しちゃったんだか…ゴホッゴホッ!」
いきなりかがみ込み、とても苦しそうに咳をする
家の事情というか風邪を引いてしまったのだろう
俺に心配させないように家の事情と言ってくれたのか…
俺はしゃがんで零の背中を擦りながら言う
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫だよ…そろそろ暗くなってきたね…帰らなきゃ」
と立ち上がるがすぐよろけてしまう
「足元がおぼつかないぞ、家の前まで送ろうか?」
というと零は首を振り微笑む
「ううん、大丈夫私の家は近いからすぐにつくの」
「そうか…わかったじゃあまた明日な」
と手を振ると
ニコッと笑って
「うんまた明日!」
といって大きく手を振る
よかった俺は嫌われても無く失望されてもなかったんだ
あの声の言っていたことは間違っていたんだ…
零が笑顔で手を振りながら帰るのを少し見送った後
またあの声が聞こえた
『ほんとうにそれでいいの?』
前は不快に思えたその声は
今聞くととても懐かしくそして哀れに思える
うつむき考えながらその声のこと場に答える
「あぁ、これでいいんだ…もうお前の言葉には騙されない…お前は生きることに希望を持ってまた絶望させられることを怖がっている前の俺だ…」
顔を上げただ一言言う
弱虫で人とあんまりうまくやれなかった俺に対するたった一つの言葉
そんなに難しい言葉ではないだった一つのシンプルな言葉
大きく息を吸って不安を吹き飛ばして
今の俺の誓いの言葉…
「俺は……生きてやるっ!」
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
夏の出来事
ケンナンバワン
青春
幼馴染の三人が夏休みに美由のおばあさんの家に行き観光をする。花火を見た帰りにバケトンと呼ばれるトンネルを通る。その時車内灯が点滅して美由が驚く。その時は何事もなく過ぎるが夏休みが終わり二学期が始まっても美由が来ない。美由は自宅に帰ってから金縛りにあうようになっていた。その原因と名をす方法を探して三人は奔走する。
[百合]短編集
[百合垢]中頭[etc垢]
現代文学
百合の短編集です。他サイトに掲載していたものもあります。健全が多めです。当て馬的男性も出てくるのでご注意ください。
表紙はヨシュケイ様よりお借りいたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる