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第一部 第二章 戦乙女を救い出すまで

14話 副作用②(※)

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行為に関する描写が入りますのでご注意ください。
キーワード的に該当するのは、媚薬/喘ぎ、あたりです
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「治療みたいなものだから気楽にしてもらって構わない」
「やだ、やめて……!」
「大丈夫。生理現象を落ち着かせるだけだ。気持ちよくなれる」

 女性経験が豊富なシグルズでも男は経験がない。
 性行為自体には慣れているはずだが、薬を使われて混乱しているのもあるし、本人の気持ちが伴っていない。繊細な配慮が必要だった。

 服の袖からそっと手を侵入させ、柔い肌を優しく撫でた。

「やっ! ああ、……!」

 びくりとネフィリムの体が反応する。
 不覚にもシグルズはその声に興奮した。

「……口を開けて」

 目にあふれんばかりの涙を浮かべる相手の様子に謎の罪悪感が湧き上がる。
 優しく、なだめるように声をかけると、戸惑いながらもネフィリムがわずかに口を開けた。

 シグルズは淡い色の唇に己のものを重ねた。
 そっと、相手を怯えさせないように。
 静かに唇を重ねて熱を伝える。

 時間を置かずに熱の上を滑らせて己の舌を相手の口内に忍ばせる。ネフィリムが目を見開く。
 それでもシグルズは行為を止めず、舌を少しずつ奥へと進めた。

 キスは性行為の一部だ。
 さまざまな女を相手にしてきたシグルズは、唇を重ねる行為が相手の警戒心を解くもっとも優しい触れ合いだと知っていた。

 舌の先端を触れ合わせ、ちゅくちゅくと小刻みに動かす。
 連動してネフィリムの体も震える。まるでキスすらも初めてのような反応。

「ん、ふっ……」

 最初は口内で逃げ惑っていた彼の舌も、追い込まれるうちに観念してシグルズの舌に絡めとられていった。
 水音が激しくなるにつれ、ネフィリムの腰の動きも激しくなった。

 おそらく本人は無意識だろうが下腹部をシグルズにこすりつけてくる。

 まさか男に、それも被保護者に性欲を刺激されるわけにもいかない。
 シグルズは理性を総動員しながら、それでも相手の快感をうながすようにキスを続ける。

 長い口づけからようやく解放されたネフィリムの目はわずかに熱をはらんでいた。

「ん、はぁっ……! こ、これはなに……?」
「大人のキスだよ。ネフィルにはまだ早かったかな」
「こんな……こんな、の、知らない……」

 頬を染めてそんなことを言う。
 シグルズは先が思いやられた。

「……気持ちよくなってもらえたなら嬉しいね。だが、あまり男の前でそういう顔はしないほうがいい」
「……ふ、ぇ…?」
「さあ、続きをしよう」

 ネフィリムが言葉を続ける前に、思いきり深いキスを贈った。

 時折声を上げるネフィリムの快感の波を感じながら、伸ばした片手を彼の服の裾から侵入させる。
 さらに器用に下着をくぐらせれば、彼の性器はすでに欲を高めて形を変えており花蜜を垂らしていた。

「やっ……! シグ、そこは、……ああっ!」

 薄いしげみから伸びるそれをするりと撫でてやれば、ネフィリムがひと際甲高い声を上げた。
 薬の効果で普段よりも刺激を感じやすくなっているのだろう。とぷ、と溢れた蜜がシグルズの指をしとどに濡らす。

「ひゃ、あんっ! や、だぁ……汚い……からっ…」

 シグルズはネフィリムに見せつけるように蜜の絡まった指をペロリと舐めた。

「感じているのだろう? そのまま快感に身をゆだねていろ。大丈夫だ。怖くはない」

 淡い色合いの性器に指を這わせ、先走りの蜜を馴染ませながらしごく。
 男ならば誰でも慣れている行為だ。

 きもちい、きもちいと上の空で呟くネフィリムの声。
 陰嚢いんのうを刺激し、竿に蜜を塗り、先端を親指の腹でそっと刺激した。

「あ、でちゃ……でちゃう、よ……!」
「大丈夫だ、俺しか見ていない。出して」
「ひゃっ……だめ、イッっちゃ……!」

 のけったネフィリムの先端からは白濁が放たれ、それはシグルズの手を濡らした。
 放心状態のネフィリムはとろんとした目を騎士に向けている。

「あ……、ふ……」
「体は俺が拭いておく。このまま寝てしまいなさい」

 言葉を理解しているのかどうかも定かではなかったが、潤んだ目をシグルズに向けたまま徐々にまぶたを閉じていくネフィリム。

 完全に目を閉じてから少しすると寝息が聞こえてきた。


「まったく……手のかかる奴だな」

 シグルズは苦笑しながらも洗面台からタオルを持ってくると、優しい手つきでその体を拭いてやった。
 王家の人間だけあってその肢体はなめらかな肌に守られており、乳白色の皮膚は女のものと大差ない。

 顔も整っているので、その性別をいつわって生きてきた彼が「戦乙女ヴァルキリー」を名乗っても信じる人間は多かっただろう。


 不意に、先ほどのネフィリムの表情が蘇る。

 柔らかい乳白色の頬を林檎と見紛う赤に染め、快楽で潤んだ黒い瞳をこちらに向けてくるその様子は男だと分かっていてもシグルズの興奮を促した。

 女に慣れている自分が年下の男に惑わされるなどどうかしている。

 それなりに疲れているのかもしれないと、意識を切り替えるよう努めた。


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