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3:誰もが逃げ出す大冒険?
Episode:02
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「イノーラ?」
「いま、分析中です」
ほどなく答えが返ってきた。
「惑星のちょうど反対側の座標へ、移動してます」
「どういうこと……?」
そう口にしながら思い出した。この惑星は他星系の人間だと「素通り」するという、ネメイエス人の言葉を。
「つまり、そう簡単には入れないってことか」
「そうなりますわね」
「うーん、どうするかなぁ」
天井を仰いで腕組みするエルヴィラに、イノーラがすました声で返す。
「おばさまったら、もうお忘れになりまして?」
「何が? ――あ」
エルヴィラの反応に、姪っ子が勝ち誇ったように微かに笑った。
「ほんとに、おばさまの記憶力には感服しますわ」
「うるさいなぁ、ちょっと忘れてただけじゃない」
思い出してみればネメイイエス人からは、「素通りする」という言葉と共に、座標と宝珠をもらっている。
たぶんそれが、カギなのだろう。
「座標、分かる?」
「もう向かってます」
頭の回転が速い姪っ子は、同じ答えにとっくにたどり着いていたようだ。
それから幾らも経たないうちに、船は教えられた座標のひとつにたどり着いてた。
「あとは、この宝珠かー」
「本当にそうだといいんですけど」
半信半疑、という声でイノーラが返す。
とはいえあの「対等」をモットーとするネメイエス人が、嘘を教えるとも思えなかった。
「とりあえず、もう一回行ってみて」
「了解です」
先程と同じように、船が惑星に向かって降下を始める。
と、宝珠が光り出した。
そして今度こそ、順調に高度が下がっていく。
「なるほど、この2つが揃わない限り、入れない仕組みなのか」
なぜここまで厳重にしたかは分からないが、効果は抜群だ。
その後は何事もなく、地表が近づくだけだった。
「お茶でも淹れる?」
「どうぞ。おばさまが席にいらっしゃらなくても、問題はありませんから」
やっぱりこの姪っ子、ひねくれている。そう思いながらエルヴィラは操縦室を出て、居住スペースへと向かった。
そして戸棚を開け、とっておきのパックを取り出す。もう幾らも残っていない、地球産のお茶の葉だ。
銀河系の技術は、エネルギーを物質に変換して食料を生み出すところまで来ている。
当然成分や何かもすべて同じだ。
ただ不思議なもので、誰もが何故か「自然に育ったもの」のほうが美味しいと感じる。
だからこのお茶をはじめ、天然物は引っ張りだこで高級品扱いだった。
「いま、分析中です」
ほどなく答えが返ってきた。
「惑星のちょうど反対側の座標へ、移動してます」
「どういうこと……?」
そう口にしながら思い出した。この惑星は他星系の人間だと「素通り」するという、ネメイエス人の言葉を。
「つまり、そう簡単には入れないってことか」
「そうなりますわね」
「うーん、どうするかなぁ」
天井を仰いで腕組みするエルヴィラに、イノーラがすました声で返す。
「おばさまったら、もうお忘れになりまして?」
「何が? ――あ」
エルヴィラの反応に、姪っ子が勝ち誇ったように微かに笑った。
「ほんとに、おばさまの記憶力には感服しますわ」
「うるさいなぁ、ちょっと忘れてただけじゃない」
思い出してみればネメイイエス人からは、「素通りする」という言葉と共に、座標と宝珠をもらっている。
たぶんそれが、カギなのだろう。
「座標、分かる?」
「もう向かってます」
頭の回転が速い姪っ子は、同じ答えにとっくにたどり着いていたようだ。
それから幾らも経たないうちに、船は教えられた座標のひとつにたどり着いてた。
「あとは、この宝珠かー」
「本当にそうだといいんですけど」
半信半疑、という声でイノーラが返す。
とはいえあの「対等」をモットーとするネメイエス人が、嘘を教えるとも思えなかった。
「とりあえず、もう一回行ってみて」
「了解です」
先程と同じように、船が惑星に向かって降下を始める。
と、宝珠が光り出した。
そして今度こそ、順調に高度が下がっていく。
「なるほど、この2つが揃わない限り、入れない仕組みなのか」
なぜここまで厳重にしたかは分からないが、効果は抜群だ。
その後は何事もなく、地表が近づくだけだった。
「お茶でも淹れる?」
「どうぞ。おばさまが席にいらっしゃらなくても、問題はありませんから」
やっぱりこの姪っ子、ひねくれている。そう思いながらエルヴィラは操縦室を出て、居住スペースへと向かった。
そして戸棚を開け、とっておきのパックを取り出す。もう幾らも残っていない、地球産のお茶の葉だ。
銀河系の技術は、エネルギーを物質に変換して食料を生み出すところまで来ている。
当然成分や何かもすべて同じだ。
ただ不思議なもので、誰もが何故か「自然に育ったもの」のほうが美味しいと感じる。
だからこのお茶をはじめ、天然物は引っ張りだこで高級品扱いだった。
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