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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを

Episode:04

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「誰も追いかけるなんて言ってないじゃない……。でもホント、発生星系じゃなければ簡単だったんだけどな」

「発生星系」と言うのは、「その星系を生まれ故郷とする生命が存在する」もののことだ。
 だから地球を擁する太陽系も、発生星系になる。

 このネメイエス星系の場合は、第六惑星がネメイエス人の生まれ故郷だった。

 恒星間航行技術がこの銀河で確立したのは、ずいぶん昔の話だ。
 そしてさまざまな知的生命体が、その好奇心や必要度によって差はあるものの、ある程度の植民星を持っている。

 といっても、地球の植民地とはかなり違う。

 なにしろ宇宙は広くて、生命の存在する惑星は稀だ。
 だから環境の似た星を見つけて惑星改造し、移民するだけでいい。

 ただそれでも、生命を有する惑星はある。
 そしてさらに稀ではあるが、知的生命体が存在する場合もある。

 当然ながら、植民をする側とされる側の間で大問題になり、戦争へ発展するケースまで出た。
 これらを解消するために出来たのが「発生星系」の概念と、「恒星間航行技術を持たない生命体の保護」のルールだ。

 このルールにより生命が発生している星系は、自動的に異星人の干渉が禁止される。
 通常の星系は自由に植民が可能なのことと比べると、その違いは明らかだ。

 当然だが発生星系内は植民も全面禁止で、現地に知的生命が生まれて取り引きが成立しない限り、他星系からは何も出来ない。
 それどころか星系全体が自動的に「領域」となるため、無許可では星系内に入ることさえ出来なかった。

 そこへ不慮の事故とは言え飛び込んでしまったのだから、向こうの入領管理局は今ごろ大騒ぎだろう。

「まぁそろそろ、釈明しろって呼び出しが来るだろうけど」

 来なかったらそれはそれで嫌だな、などと思いながら、立ち上がって部屋を出る。
 こういう公式の通信は、操縦室でのほうがいい。

 そういえば姪っ子は何しに来たのだろう、そんな疑問も浮かんだが、エルヴィラはあえて追求しなかった。

 後ろを黙ってついてくるイノーラは、案外寂しがりやだ。
 なんやかんやと理由をつけて、エルヴィラの傍に居ようとするのだ。

 これもまともな育ち方をしなかった弊害だろうと思いながら、通信を待つ。

 そうやって移動してから、地球時間で30分ほどだろうか?
 ようやく通信が来た。

「管理局より返信。『珍しいケースだが状況は理解。入領を許可、歓迎する』とのことです」
「え?」

 姪っ子の言葉に耳を疑う。
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