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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを

Episode:02

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 異星人など信じてもいなかったため、いきなりの襲来に右往左往するだけだった地球人。
 そこへ彼らはこんなアピール映像を流して、「敵意がない」と伝えてきたのだ。

 侵略されて、全員殺されてしまうかもしれない。
 そう怯えていた地球人たちは、自分たちが助かったことに舞い上がって、裏があるなど考えなかった。

 加えてソドム人は次々と地球に有利な交換を持ちかけてきて、「いい宇宙人」の名を欲しいままにした。

 まず彼らが持ち出したのが、「大気中の炭素から食糧を生み出す機械」と交換の、衛星軌道上の「停泊権」。

 当時食糧危機に喘いでいた地球は、一も二もなくこの話に乗った。
 宇宙船を停泊させるだけで食料が手に入るなら、こんないい話はないと思ったのだろう。

 その後もソドム人は、恒星系内の自由航行権や地球への上陸権、限定地域への居住権等を要求し、そのつど新しい機械を対価に出してきた。
 どれも地球側に有利な取り引きで、地球人は次々と応じた。

 当時、誰が考えただろう。この便利な機械たちが、自分たちの枷になるなど。
 何しろ見た目には、食糧難は去り、エネルギー問題も解決の方向に向かい始め、新しい技術が導入されて、地球の未来はバラ色としか思えなかったのだ。

 だが10年後、状況は一変する。

 最初の食糧生産機がとつぜん稼動しなくなり、慌てて地球政府はソドム人に問い合わせた。
 すると「機械に初めから標準装備されているエネルギーパックが尽きたためだ」との回答が来た。

 機械を動かすには新しいパックが必要だが、その製造技術は地球に存在しない。
 かといって異星人からパックを購入しようにも、地球側には売るものがない。

 どうしようかと頭を抱えている間にも機械は次々とエネルギー切れで停止していき、地球は世界的な飢餓状態となってしまった。

 当時のことは、エルヴィラも覚えている。
 店から食べるものが消え、ポケットに小銭があっても飴玉ひとつ買えなくなった。

 配られる食べ物だけではとても足りず、毎日毎日お腹を空かし、庭や窓辺で野菜を育てると、すぐに誰かが根こそぎ持っていく。そんな日々が続いた。

 進退窮まった地球人に解決策を提示したのは、ソドム人だった。

 恒星間航行技術を持たない地球人は、銀河系での市民権はまだ得られず、保護対象生物に当たる。
 そしてこれは通常、星系外への持ち出しが禁じられる。

 だがそれには抜け道があった。もし本人の意思が確認できたなら、そちらが優先されるのだ。
 一方で知能の高い生物は、愛玩動物としての需要が高い。

 この二点から地球人は、銀河系で「売れる」存在だったのだ。
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