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第11話 虚像の護衛

依頼 Episode:13

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 呼び出して仲良く楽しめると思ったら、その彼女が一緒に男連れてきたとか……魔視鏡の番組だったら、どろどろの修羅場モノ。

 まぁあたしは、そういうのけっこう好きだけど。
 見てる分には面白いし。

 けどイマド、別にやりあう気はなかったみたい。ふいっと視線をそらして、天井仰いで。

「んー、そんなら別にいいです。どうしてもだったら、また訊くんで。
 てか、俺の勘ぐり過ぎかもしんねぇし」

 なんか謎めいたことだけ言って。
 気になったみたいで、隣のルーフェも教えて欲しそうに見上げたけど、それも頭撫でられてうやむやにされちゃった。

「にしても、なんだってこんな時期なんです?」

 イマドが話を変えて。

「もちっとあったかい時期に、行きゃぁいいのに。オロス山の辺り、いい加減寒くなってません?
 もうそろそろ、霜降りた気が」

「僕も来年の夏と思っていたのだがな、祖父が倒れて事態が変わった」

 あっさり言われて最初はふーんと思ったけど、意味が分かった瞬間、あっと思う。

「そ、祖父って……殿下のお爺さんってここの王様でしょ?!」

「ああ。幸い大事には至らなくて、もう普通にしてるが。
 ただいい加減、歳だからな。継承順位を固めておかないと、何があるか分からん」

 淡々と言う殿下。でも内容が……。

「ホントにお爺さん、大丈夫なの?」
「心配してくれるのか? お爺さまに言ったら、さぞ喜ぶだろうな」

 殿下がどうしてか、嬉しそうに笑う。

 もしかしたら、こういう貴族とかの人たち、誰も本当には心配してくれないのかも。
 そんな風に思った。

 あたしたちを、殿下が見回して。

「出発は明後日の早朝だ。だから明日はお前たち、観光でもしてくるといい。費用はこちらで出す。
 ただしトラブルと、無駄遣いは無用だぞ」

「はーい」

 最後に殿下が茶化して、その日は解散になったの。
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