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第11話 虚像の護衛
依頼 Episode:08
しおりを挟む「幸い、内容自体はそんなにキツくなさそうだし、殿下のタカビーさえガマンすりゃ、けっこう面白いんじゃないかな」
要するに細かいことはあるけれど、「任務」という珍しい体験自体が楽しみ、ってことらしい。
だとすれば名前を挙げたのも、そんなに悪いことじゃなかったんだろう。
「てかさ、殿下、なんかちょっと改心したっぽいから、行ったら案外平気かもだし」
あたしが心配してたよりは、シーモアもナティエスも楽しそうだ。
「でさ、どうする? 準備とか言われても、すぐには揃わないじゃない?」
「今晩中に見ておいて、明日揃えればいいと思うけどね。それでダメなら、先輩に相談でいいだろうし」
そんな会話を聞いていて、ふと思いつく。
「あたし……揃えても、いいけど……」
あたしたちでも簡単に揃えられる物ならいいけど、そうでない場合は意外とやっかいだ。
今回は任務だから教官の許可なんかは要らなくて、先輩に言えばすむだろう。
でも内容を先輩に見てもらった上で、学院へ話を回してもらわないといけない。
その上学院に在庫がないと、外へ発注を出して受け取って……になるから、最悪だと数日かかる。
こうなったら、出発には間に合わない。
その点シュマーなら、短時間でややこしいものを揃えるのにも慣れてるから、言えば翌日には手に入るはずだ。
「揃えてもって……ルーフェ、だいじょぶなの?」
「いや、この子が言うならだいじょぶだと思うね。アヴァンでも短時間で、あんだけドレスだの揃えたし」
不安そうなナティエスにシーモアが答えて、あたしのほうに顔を向けた。
「そしたらルーフェ、新型弾、手に入るかい? さすがに旧型だと、ちょっと心許ないからさ」
「あ、うん、それならすぐ」
このくらいなら、常備されてるはずだ。
「イマドとナティエスも……何か、要る?」
「あー俺、魔石欲しいわ。あれねーと、やれること限られちまってさ」
イマドは魔力の付与や操作に長けてるから、ああいうのが使いやすいらしい。
「あたしは今すぐには、ないかな。あとで何かあったら、そのとき言うね」
ナティエスのほうは手持ちでいつも完結してるから、とりあえずいいみたいだ。
「んじゃ、そういうことで。あとなんかあったら、また互いに連絡だね」
「うん」
それから準備をしに、あたしたちはそれぞれ、部屋へと向かった。
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