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第10話 空(うつほ)なる真実
そして、学院にて Episode:08
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「あたしも忘れてた、おかえり、シルファ。それと遅れたけど、誕生日おめでとう」
言いながらディオンヌが、私の背中を軽く叩く。
「わたくしからも祝わせて貰うわ。おめでとう、シルファ」
「……ありがとう」
三人で視線を合わせてから、みんなで微笑んだ。
――素直に嬉しい。
私のことを知ってくれる人が、タシュア以外にもちゃんといる。
彼はこういうことにも、気づいて欲しかったのだろう。
「お祝いやら何かは、また後日かしらね。まだ部屋にも戻ってないのでしょう?」
「あ、ごめん、帰る途中で呼び止めちゃったんだね。シルファ、早く荷物置いてきたら?」
「ああ、そうする」
言って歩き出そうとしたところで、思い出したかのように二人が、背中に声をかけてきた。
「そうそうシルファ、ヴィルがお土産楽しみにしてたよ」
思わず吹き出す。あまりにも彼女らしい。
「まるで自分がお土産なんていらないみたいな言い方ね、ディオンヌ」
「なによ。そういうシェリーだって、何を買ってくるのかしら、とか言ってたくせに」
ディオンヌとシェリーも相変わらずだ。
今までにもあった普段のやりとり。
そのはずなのに、どこか新鮮な感覚を受ける。
「あまり期待されても困るぞ?」
冗談交じりに言うと、からかい半分の毒舌が返ってきた。
「大丈夫、期待はしてないわ」
「むしろ、楽しみすぎてお土産忘れたかと思ってたし」
「後で見たら、きっと驚くぞ」
そんな台詞を最後において、今度こそ友達二人と別れて、自室へ向かう。
まず鍵を開け、次に警報の解除にかかった。
上級隊の部屋はどれも、学院が設置した警報が着いている。
何しろ毒物や精霊石といった危険物が置いてあるから、万一押し入られたら洒落にならない。
ただ警報自体は、学院から渡された魔石が結界と組みになっていて、割と簡単に操作できた。
警報が切れたのを確かめて部屋に入り、意外に思う。
想像していたほど、空気が澱んでいなかった。
不思議に思いながらも、まずは荷物を置いてカーテンを開け、窓も開ける。
部屋に光が射し込み、潮風が吹き抜けた。
言いながらディオンヌが、私の背中を軽く叩く。
「わたくしからも祝わせて貰うわ。おめでとう、シルファ」
「……ありがとう」
三人で視線を合わせてから、みんなで微笑んだ。
――素直に嬉しい。
私のことを知ってくれる人が、タシュア以外にもちゃんといる。
彼はこういうことにも、気づいて欲しかったのだろう。
「お祝いやら何かは、また後日かしらね。まだ部屋にも戻ってないのでしょう?」
「あ、ごめん、帰る途中で呼び止めちゃったんだね。シルファ、早く荷物置いてきたら?」
「ああ、そうする」
言って歩き出そうとしたところで、思い出したかのように二人が、背中に声をかけてきた。
「そうそうシルファ、ヴィルがお土産楽しみにしてたよ」
思わず吹き出す。あまりにも彼女らしい。
「まるで自分がお土産なんていらないみたいな言い方ね、ディオンヌ」
「なによ。そういうシェリーだって、何を買ってくるのかしら、とか言ってたくせに」
ディオンヌとシェリーも相変わらずだ。
今までにもあった普段のやりとり。
そのはずなのに、どこか新鮮な感覚を受ける。
「あまり期待されても困るぞ?」
冗談交じりに言うと、からかい半分の毒舌が返ってきた。
「大丈夫、期待はしてないわ」
「むしろ、楽しみすぎてお土産忘れたかと思ってたし」
「後で見たら、きっと驚くぞ」
そんな台詞を最後において、今度こそ友達二人と別れて、自室へ向かう。
まず鍵を開け、次に警報の解除にかかった。
上級隊の部屋はどれも、学院が設置した警報が着いている。
何しろ毒物や精霊石といった危険物が置いてあるから、万一押し入られたら洒落にならない。
ただ警報自体は、学院から渡された魔石が結界と組みになっていて、割と簡単に操作できた。
警報が切れたのを確かめて部屋に入り、意外に思う。
想像していたほど、空気が澱んでいなかった。
不思議に思いながらも、まずは荷物を置いてカーテンを開け、窓も開ける。
部屋に光が射し込み、潮風が吹き抜けた。
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