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第10話 空(うつほ)なる真実

そして、学院にて Episode:01

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 ◇Tasha side

 学院に戻ってから、すでに10日近く。
 タシュアは連日、旅先から集めてきた資料を元に、調査に没頭する日々だった。

 とはいえ授業その他は通常通りあるし、自主訓練も手を抜くわけには行かない。
 そのため睡眠時間を削って、時間を作り出している状態だ。

 今日は新学期が始まってから初めての休日で、タシュアは少しでも調査を進めようと、朝からかかりきりだった。
 だがずっと徹夜に近いせいだろう、どうにも進まず一旦切り上げる。

 昼には少し早い食堂は、まだ空いていた。
 さっさと食事を取ってきて、適当な席に座る。

 いつもと同じ、高級料理店のようには手が込んでいないが、素朴で温かみのある味。

 だがデザートは、物足りなかった。
 食堂のものも十分美味しいのだが、シルファの作ったもののほうが、タシュアには好みだ。

 シルファはまだ、帰ってきていなかった。

 先日ルーフェイアから聞いた話では、状態もあまり思わしくないようだ。
 恐らくは精神的なものが原因だろうが……ともかく、帰れるような状況ではないらしい。

(何も言わず、待つべきだったのですかね)

 最初出会った頃は何に怯えているのかと思うほど、自信がなさそうだったシルファ。

 けれどいつの間にか、それは薄れていった。
 実力をつけるにつれ、自信もつけたのだろう。

 だとすれば、何も言う必要などなかったのかもしれない。
 あのまま待っていれば、そのうちトラウマも克服できたのかもしれない。

 ただ、自分の性格からすると、言わずに済ますことができたかどうか。

(無理でしょうね……)

 最後に残った飲み物に口をつけながら、思う。

 そもそもが、居る学校が学校だ。
 何が起こるか分からない。そして危険が分かっていながら対処しないのは、自分にはできない相談だった。

 空になった皿を所定の位置に片付け、食堂を後にする。

 午後からは、少し身体を動かすつもりだった。
 自主訓練は日課だし、何より全く動かないと、かえって身体が辛い。

 校舎を抜け、島内の森へと足を向ける。
 訓練施設へ行くつもりはなかった。

 あそこに居る敵は弱いものばかりで、タシュアほどのレベルになると全く相手にならない。
 しかも狭うえに他の生徒も多くて、存分に訓練など無理だった。
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