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第10話 空(うつほ)なる真実

ノネ湖にて Episode:17

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 だが同時に、どこかで納得してもいた。

 以前任務に同行してもらったときにも、戦闘関係となるとこの子は、信じられない観察力と判断力を見せた。
 裏を返せばそれだけ……過酷な環境をくぐり抜けてきたのだろう。

 泣き虫で甘えん坊のこの子が持つ、そういう一面は、驚きを通り越して悲しかった。

「村長、この子の言うとおりです。ですからもう、こういうことは二度と……」

 ルーフェイアの頭を撫でてやりながら、言う。
 きっと内心では、この子はこういう自分を、嫌っているだろう。

「……分かりました。事情をよく知らず、危うくとんでもないことをするところだったようですね。
 お嬢ちゃん、教えてくれてありがとう」

 「お嬢ちゃん」と呼ばれたのが嫌だったのか、一瞬ルーフェイアが、不満そうな表情になる。
 いちおうその辺のプライドはあるらしい。

 ――見かけが見かけだから、誰も年相応には扱わないだろうが。

 ようすに気づいた村長が、慌てて言いつくろった。

「いやいやごめん、別にお嬢ちゃんを子ども扱い――あ」

 私もクーノ先輩も、これには思わず笑い出す。
 村長もバツが悪そうに頭を掻いた。

「まぁその、もう 先生に頼むなんてことはしないから。お嬢ちゃん、それで許してくれないかな?」

 言いつくろうのを諦めたのだろう。
 そんなふうに言う村長に、ルーフェイアも微妙な表情ながらうなずく。

「許してくれてありがとう、お嬢ちゃん。
 では私は次がありますので、これで失礼をば。部屋の用意が出来たら、どうぞ移ってください」

 そう言って、村長が出て行った。

「すまない、二人とも助かったよ」

 姿が遠ざかるのを見ながら、先輩が言う。

「正直、もうこの村を出るしかないと思ってたんだ」

 そこまで聞いて初めて、いまの村長とのやりとりだけでなく、竜退治のことも言われていたのだと気づく。

「本当は正規の謝礼を、出すべきなんだろうが……」
「先輩、気にしないで下さい。それに私たちも……学院に知れたら、困ります」

 シエラ出身の先輩が笑った。
 うっかり外で勝手に依頼を受けて、大騒ぎになるというのは、他の人たちには分からないだろう。

 だが勝手に仕事をしたら、最悪だと退学だ。
 だから、見かねた自分たちが勝手に手伝った、としておくに限る。
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