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第10話 空(うつほ)なる真実
ルアノンにて Episode:11
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壊滅した分隊は、敵の敗残兵2名を追い詰めたという。
そしてその際、片方が子供だと報告していた。
間なしに「男は終了」と、分隊から報告があったのだが……その直後、連絡が途絶えた。
最後に、「金髪の子」「化け物」という言葉を残して。
壊滅した分隊は、戦闘終了後に遺体が収容された。
だが、「金髪の子」の姿はなかった。
いくら何でも、幻覚というわけではないだろう。
だから学院内では、「金髪の少年兵」が分隊を壊滅させたのでは?と、噂になったのだ。
とはいえ、腐ってもシエラの上級隊だ。子供1人にやられるほど、弱くはない。
それが化け物とまで言う相手は何なのか、憶測は尽きなかったが、真相はわからずじまいだった。
いろいろな状況を考え合わせると、その「金髪の子」というのが、ルーフェイアだったのだろう。
この子の桁外れの戦闘能力も、納得がいった。
なにしろ分隊を、壊滅させるほどなのだ。
分校を飛び越えて本校へ直接入学したのも、そういう理由なら当然だろう。
じっさいタシュアも、同じように直接本校へ入学している。
――可哀想に。
軍事には詳しいルーフェイアだ。
相手が学院生だったことなど、最初から分かっていたに違いない。
そしてふつうの子ならもっと、憎むなりなんなりするはずだ。
なのに彼女は、そういうこと無しに学院で過ごしている。
傭兵というのは、命令というのはそういうものだと、この年で割り切るほどに慣れてしまったからだろう。
そこまでの子など、学院にはまずいない。かつてのタシュアくらいだ。
彼女の潜り抜けてきた修羅場がどれほどのものだったか、十分にうかがえた。
常に見せているどこか寂しそうな表情も、そういったところから来るのだろう。
だからためらったが……言う。
「ルーフェイア、あとで森へ、行かないか? その……花を、持って」
「え……」
ルーフェイアが、驚いた表情で振り向いた。
「中までは行けないかもしれないが、入り口に、花だけでも」
少女の碧い瞳に、涙があふれる。
「すみません……」
久々に泣き出してしまったこの子に、かける言葉が見つからなかった。
すぐ後ろに座るイマドが、少女の頭をなでる。
「行こうぜ、ほら、泣いてねーで」
「……うん」
走竜は変わらず、ゆっくりと歩いていた。
そしてその際、片方が子供だと報告していた。
間なしに「男は終了」と、分隊から報告があったのだが……その直後、連絡が途絶えた。
最後に、「金髪の子」「化け物」という言葉を残して。
壊滅した分隊は、戦闘終了後に遺体が収容された。
だが、「金髪の子」の姿はなかった。
いくら何でも、幻覚というわけではないだろう。
だから学院内では、「金髪の少年兵」が分隊を壊滅させたのでは?と、噂になったのだ。
とはいえ、腐ってもシエラの上級隊だ。子供1人にやられるほど、弱くはない。
それが化け物とまで言う相手は何なのか、憶測は尽きなかったが、真相はわからずじまいだった。
いろいろな状況を考え合わせると、その「金髪の子」というのが、ルーフェイアだったのだろう。
この子の桁外れの戦闘能力も、納得がいった。
なにしろ分隊を、壊滅させるほどなのだ。
分校を飛び越えて本校へ直接入学したのも、そういう理由なら当然だろう。
じっさいタシュアも、同じように直接本校へ入学している。
――可哀想に。
軍事には詳しいルーフェイアだ。
相手が学院生だったことなど、最初から分かっていたに違いない。
そしてふつうの子ならもっと、憎むなりなんなりするはずだ。
なのに彼女は、そういうこと無しに学院で過ごしている。
傭兵というのは、命令というのはそういうものだと、この年で割り切るほどに慣れてしまったからだろう。
そこまでの子など、学院にはまずいない。かつてのタシュアくらいだ。
彼女の潜り抜けてきた修羅場がどれほどのものだったか、十分にうかがえた。
常に見せているどこか寂しそうな表情も、そういったところから来るのだろう。
だからためらったが……言う。
「ルーフェイア、あとで森へ、行かないか? その……花を、持って」
「え……」
ルーフェイアが、驚いた表情で振り向いた。
「中までは行けないかもしれないが、入り口に、花だけでも」
少女の碧い瞳に、涙があふれる。
「すみません……」
久々に泣き出してしまったこの子に、かける言葉が見つからなかった。
すぐ後ろに座るイマドが、少女の頭をなでる。
「行こうぜ、ほら、泣いてねーで」
「……うん」
走竜は変わらず、ゆっくりと歩いていた。
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