600 / 743
第10話 空(うつほ)なる真実
アヴァンにて Episode:14
しおりを挟む
「ちょっと待っててくれるか? 着替えてくる」
「はい」
先輩がバスルームへ、着替えを持って入って行った。
――先輩、どんなのかな?
でも出てきた先輩、割と普通の黒の水着だった。
ただ、腰に水色の長い布をスカートみたいに巻きつけて、白い上着を羽織ってる。
ホントはおそろい期待してたんだけど……。
けど一緒に買ったわけじゃないし、しかたないと諦める。
「その、何か……変か?」
「え? あ、綺麗です」
慌てて答えてから、先輩をもう一回よく見る。
なんか身体の感じが、母さんみたいだな、と思った
母さんほどじゃないけど、でもとってもやわらかそうで……。
「る、ルーフェイア、なんでそこで触るんだ……」
「え?」
母さんなんか触れ触れってうるさいのに、先輩違ったんだろうか?
「あの、えっと、ごめんなさい……」
視線を落として謝る。
一瞬の間。
「これで、いいか?」
「――♪」
先輩に抱き寄せられて嬉しくなる。
やわらかくて、あったかくて……。
「ルーフェイアは……お母さんが、好きなんだな」
「はい」
母さんには会うと振り回されてばっかりだけど、でも強くて、優しくて、嫌いってわけじゃない。
「良かったな、いいお母さんで」
「えっと……」
これはさすがに、はいと言えない。
「違うのか?」
「その……うちの母、すごく変わってて……」
娘のあたしから見ても、母さんかなりとんでもない人だ。
常識とか、そういうものは絶対、どっかに落としてきてる。
――悪い人じゃないし、すごいのも確かなんだけど。
でも「いいお母さん」かって言われると、やっぱりなんか違うだろう。
「その、まぁ、ともかく大事にするんだぞ?」
「あ、はい」
どうやったら大事にできるのかは、ぜんぜん見当つかないけど。
とりあえず先輩がそのまま動かないでくれてるから、胸に顔をうずめて抱かれたままにする。
「甘えん坊だな、ルーフェイアは。
――さぁ、そろそろ行こう。日が暮れて、海に入れなくなるぞ?」
先輩の言うとおりだ。せっかく海へ来て水着まで着たのに、泳がなかったら意味がない。
「はい♪」
あたしと先輩は連れ立って、ホテルの目の前の海岸へ向かった。
「はい」
先輩がバスルームへ、着替えを持って入って行った。
――先輩、どんなのかな?
でも出てきた先輩、割と普通の黒の水着だった。
ただ、腰に水色の長い布をスカートみたいに巻きつけて、白い上着を羽織ってる。
ホントはおそろい期待してたんだけど……。
けど一緒に買ったわけじゃないし、しかたないと諦める。
「その、何か……変か?」
「え? あ、綺麗です」
慌てて答えてから、先輩をもう一回よく見る。
なんか身体の感じが、母さんみたいだな、と思った
母さんほどじゃないけど、でもとってもやわらかそうで……。
「る、ルーフェイア、なんでそこで触るんだ……」
「え?」
母さんなんか触れ触れってうるさいのに、先輩違ったんだろうか?
「あの、えっと、ごめんなさい……」
視線を落として謝る。
一瞬の間。
「これで、いいか?」
「――♪」
先輩に抱き寄せられて嬉しくなる。
やわらかくて、あったかくて……。
「ルーフェイアは……お母さんが、好きなんだな」
「はい」
母さんには会うと振り回されてばっかりだけど、でも強くて、優しくて、嫌いってわけじゃない。
「良かったな、いいお母さんで」
「えっと……」
これはさすがに、はいと言えない。
「違うのか?」
「その……うちの母、すごく変わってて……」
娘のあたしから見ても、母さんかなりとんでもない人だ。
常識とか、そういうものは絶対、どっかに落としてきてる。
――悪い人じゃないし、すごいのも確かなんだけど。
でも「いいお母さん」かって言われると、やっぱりなんか違うだろう。
「その、まぁ、ともかく大事にするんだぞ?」
「あ、はい」
どうやったら大事にできるのかは、ぜんぜん見当つかないけど。
とりあえず先輩がそのまま動かないでくれてるから、胸に顔をうずめて抱かれたままにする。
「甘えん坊だな、ルーフェイアは。
――さぁ、そろそろ行こう。日が暮れて、海に入れなくなるぞ?」
先輩の言うとおりだ。せっかく海へ来て水着まで着たのに、泳がなかったら意味がない。
「はい♪」
あたしと先輩は連れ立って、ホテルの目の前の海岸へ向かった。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
みそっかすちびっ子転生王女は死にたくない!
沢野 りお
ファンタジー
【書籍化します!】2022年12月下旬にレジーナブックス様から刊行されることになりました!
定番の転生しました、前世アラサー女子です。
前世の記憶が戻ったのは、7歳のとき。
・・・なんか、病的に痩せていて体力ナシでみすぼらしいんだけど・・・、え?王女なの?これで?
どうやら亡くなった母の身分が低かったため、血の繋がった家族からは存在を無視された、みそっかすの王女が私。
しかも、使用人から虐げられていじめられている?お世話も満足にされずに、衰弱死寸前?
ええーっ!
まだ7歳の体では自立するのも無理だし、ぐぬぬぬ。
しっかーし、奴隷の亜人と手を組んで、こんなクソ王宮や国なんか出て行ってやる!
家出ならぬ、王宮出を企てる間に、なにやら王位継承を巡ってキナ臭い感じが・・・。
えっ?私には関係ないんだから巻き込まないでよ!ちょっと、王族暗殺?継承争い勃発?亜人奴隷解放運動?
そんなの知らなーい!
みそっかすちびっ子転生王女の私が、城出・出国して、安全な地でチート能力を駆使して、ワハハハハな生活を手に入れる、そんな立身出世のお話でぇーす!
え?違う?
とりあえず、家族になった亜人たちと、あっちのトラブル、こっちの騒動に巻き込まれながら、旅をしていきます。
R15は保険です。
更新は不定期です。
「みそっかすちびっ子王女の転生冒険ものがたり」を改訂、再up。
2021/8/21 改めて投稿し直しました。
元勇者で神に近い存在になった男、勇者パーティに混じって魔王討伐参加してたら追い出されました。
明石 清志郎
ファンタジー
昔とある世界で勇者として召喚され、神に近い存在になった男ジン。
新人研修の一環として同胞の先輩から、適当に世界を一つ選んでどんな方法でもいいから救えと言われ、自分の昔行った異世界とは別の世界を選び、勇者四人の選定も行った。
自分もそこで勇者として潜入し、能力を隠しつつ、勇者達にアドバイスなんかを行い後方支援を行い、勇者を育てながら魔王討伐の旅にでていた。
だがある日の事だ。
「お前うるさいし、全然使えないからクビで」
「前に出ないくせに、いちいちうぜぇ」
等と言われ、ショックと同時にムカつきを覚えた。
俺は何をミスった……上手くいってる思ったのは勘違いだったのか……
そんな想いを抱き決別を決意。
だったらこいつらは捨ててるわ。
旅に出て仲間を見つけることを決意。
魔王討伐?一瞬でできるわ。
欲しかった仲間との真の絆を掴む為にまだよく知らない異世界を旅することに。
勇者?そんな奴知らんな。
美女を仲間にして異世界を旅する話です。気が向いたら魔王も倒すし、勇者も報復します。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。
アーエル
ファンタジー
旧題:私は『聖女ではない』ですか。そうですか。帰ることも出来ませんか。じゃあ『勝手にする』ので放っといて下さい。
【 聖女?そんなもん知るか。報復?復讐?しますよ。当たり前でしょう?当然の権利です! 】
地震を知らせるアラームがなると同時に知らない世界の床に座り込んでいた。
同じ状況の少女と共に。
そして現れた『オレ様』な青年が、この国の第二王子!?
怯える少女と睨みつける私。
オレ様王子は少女を『聖女』として選び、私の存在を拒否して城から追い出した。
だったら『勝手にする』から放っておいて!
同時公開
☆カクヨム さん
✻アルファポリスさんにて書籍化されました🎉
タイトルは【 私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください 】です。
そして番外編もはじめました。
相変わらず不定期です。
皆さんのおかげです。
本当にありがとうございます🙇💕
これからもよろしくお願いします。
【完結】あなたの思い違いではありませんの?
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?!
「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」
お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。
婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。
転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!
ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/19……完結
2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位
2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位
2024/08/12……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる