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第9話 至高の日常

そしてまた日常 Episode:07

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 次にはっきり起きた時、辺りは明るかった。
 視界にタシュア先輩の姿がを見つけて、なんとなく挨拶する。

「……おはよう、ございます……」
「もう午後です」
「――え?」

 びっくりして時計を見ると、もうお昼はとっくに過ぎていた。

 ――そんなに、寝ちゃったんだ。

 自分で自分に驚きながら、そっと動いてみる。
 昨日はあんな調子だったけど、普通じゃ考えられないくらい寝ただけあって、だいぶ動けるようになっていた。

 ゆっくり起き上がる。

 先輩は椅子に腰かけ――寝てなくていいんだろうか?――て、本を読んでいた。
 話し掛けたら邪魔をしてしまいそうで、黙って辺りを見回す。

 あ、ここ……。

 今ごろになって、自分がどこにいるのかやっと納得した。

 分かってみればどうということはなくて、あたしがいるのはタシュア先輩が入院?した病室だ。
 二人部屋で確か片方ベッドが空いていたから、そこへ入れられたらしい。

 でも、そのほうがよかった。
 個室にひとりっきりとか、大部屋に知らない人といるよりは、このほうがずっといい。

 だけどこうして見ると、テロ事件があったなんて信じられないくらい、病院の中は落ち着いていた。
 あの子たちも、こんなふうに穏やかだといいんだけど……。

 あとで看護士さんに訊こううと思いながら、あたしはまた横になった。
 昨日が昨日だったから、まだすぐに疲れるみたいだ。

 ――これじゃ、いつ帰れるんだろう。

 少し心配になる。
 みんなの顔が見たかった。シーモアやナティエスやミル、それにイマドの……。

 と、病室の扉がノックされる。

「どうぞ」

 タシュア先輩が答えて、扉が開いた。看護士さんが入ってくる。

「あの時の……?」
「あら、よく覚えてるわねぇ。けど良かった、目が覚めたのね」

 入ってきたのは、事件の夜に手助けしてくれた看護士さんだった。
 今見ると、名札に「主任」と書いてある。

 ――それで、だったんだ。

 あんな状況でどうしてあれほど落ち着いてたのか不思議だったけど、病棟の偉い看護士さんなら納得できる。

「すみません……」
「いいのよ、謝らなくて。だいたい病気なんて、寝るのがいちばんの薬なんだから。
 それより、気分はどぉ?」

 言いながら手際よく、あたしの熱と脈とを計っていく。
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