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第9話 至高の日常
破局 Episode:04
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「シルファっ!」
「やべぇっ!」
「いけない、その石――!!」
タシュアと後輩二人の声が上がり、ほぼ同時に長剣が振り下ろされた。
だが、遅い。
男の手からこぼれ落ちた石が、淡緑色の光を放ち始める。
「早くここから離れなさい、呪石です!」
「なにっ?!」
呪石は要するに、呪文そのものを込めた魔力石だ。
作るのは難しいが、放つと周囲の魔力を取り込んで呪文を発動させるため、威力の桁が違う。
シルファたちもすぐに事態を把握し、動いた。
「エターナル・ブレスっ!」
「ルス・バレーっ!」
手早く二人が呪文を唱え、防御体制を整える。
その間にイマドが前へ出、魔法を放つかのように手を突き出した。
(これは……?)
それまで明るさを増す一方だった石からの光が、不安定に明滅している。
「早く、今のうち……!」
力技をかけながらやっとそれだけ言った、という後輩の様子に、タシュアは状況を悟った。
稀に呪文詠唱という媒介なしで、直接魔力を扱える人間がいる。
イマドもそのひとりなのだろう。
――食い止められるとは思えないが。
一度解き放たれた呪文は、そう簡単に押さえこめはしない。
だがこのおかげで、発動までの時間が引き延ばされていた。
即座に手もちの暗黒魔法を唱える。
「無念の声が響く闇の底にて、其は黄泉の回廊を迷わん。開け、黒き審判の門――」
空間に亀裂を作り、対象を異次元へと飛ばす魔法だ。
これで石自体をこの世界から放り出してしまえば、たとえ呪石からの強力な魔法でも、被害はない。
が、上手く空間が切り裂けなかった。
発動寸前の呪石のエネルギーが、邪魔をしているらしい。
(――させるものですか)
再度唱えなおす。
テロリストの放った石ごときに屈するなど、タシュアのプライドが許さなかった。
ほんの一呼吸にも満たない間に、もう一度石を捉え――。
「ダメだっ、もうもたねぇっ!!」
それまでどうにか押さえこんでいたイマドが、悲鳴をあげた。
にわかに淡緑色の光が強くなる。
(間に合いますか――?)
その時、不意にルーフェイアが動いた。
「やべぇっ!」
「いけない、その石――!!」
タシュアと後輩二人の声が上がり、ほぼ同時に長剣が振り下ろされた。
だが、遅い。
男の手からこぼれ落ちた石が、淡緑色の光を放ち始める。
「早くここから離れなさい、呪石です!」
「なにっ?!」
呪石は要するに、呪文そのものを込めた魔力石だ。
作るのは難しいが、放つと周囲の魔力を取り込んで呪文を発動させるため、威力の桁が違う。
シルファたちもすぐに事態を把握し、動いた。
「エターナル・ブレスっ!」
「ルス・バレーっ!」
手早く二人が呪文を唱え、防御体制を整える。
その間にイマドが前へ出、魔法を放つかのように手を突き出した。
(これは……?)
それまで明るさを増す一方だった石からの光が、不安定に明滅している。
「早く、今のうち……!」
力技をかけながらやっとそれだけ言った、という後輩の様子に、タシュアは状況を悟った。
稀に呪文詠唱という媒介なしで、直接魔力を扱える人間がいる。
イマドもそのひとりなのだろう。
――食い止められるとは思えないが。
一度解き放たれた呪文は、そう簡単に押さえこめはしない。
だがこのおかげで、発動までの時間が引き延ばされていた。
即座に手もちの暗黒魔法を唱える。
「無念の声が響く闇の底にて、其は黄泉の回廊を迷わん。開け、黒き審判の門――」
空間に亀裂を作り、対象を異次元へと飛ばす魔法だ。
これで石自体をこの世界から放り出してしまえば、たとえ呪石からの強力な魔法でも、被害はない。
が、上手く空間が切り裂けなかった。
発動寸前の呪石のエネルギーが、邪魔をしているらしい。
(――させるものですか)
再度唱えなおす。
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ほんの一呼吸にも満たない間に、もう一度石を捉え――。
「ダメだっ、もうもたねぇっ!!」
それまでどうにか押さえこんでいたイマドが、悲鳴をあげた。
にわかに淡緑色の光が強くなる。
(間に合いますか――?)
その時、不意にルーフェイアが動いた。
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