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第9話 至高の日常

策謀 Episode:04

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(突入に先だって、グレイス様が潜入して小児の人質に紛れ込むそうです。ですから、そのために潜入する部屋を選ぶ情報が、欲しいのですが)

「なっ、本気かよ!」
「何を騒いでいるのです。ここは病室ですよ」
「――あ」

 驚きついでに、思わず声に出しちまったらしい。

「えーと、後で説明するんで、ちょっと待っててもらえません?」
「別に、説明していただく必要などありません」
「………」

――ま、いっか。

 どうせすぐに、イヤでも説明しなきゃなんねぇワケだし。
 とりあえず、やりかけの話のほうにケリをつける。

(その話、俺じゃちょっとわかんないんで……誰か看護士さんに訊いてみますから)

 さっきから出入りしてるあの主任なら、そゆのに詳しいだろう。

(で、あいつどうやって来るつもりなんです?)

 これが訊いとかねぇと、いい場所も見つけようがない。

(巨鳥で屋上へ降りたあと、そちらの病室のどれかへ懸垂降下とのことです)
(え? 巨鳥?)

 思わず訊き返す。

 そりゃ巨鳥なら高いとこまで行けっけど、降りるってなると別問題だ。

あれってば図体デカいけど、一人乗せんのが限界だったりする。
しかも騎手居なくなると、服従魔法が効かなくなるから、大好きな高山へ逃げちまうし。

 けどまぁ、ルーフェイアくらいならギリギリ乗れる……かもしんねぇけど。

(ええ。巨鳥を使って、シエラの上級傭兵も屋上へ展開します。グレイス様がキエーグの浮遊ベルトを使って、数人をまとめて運ぶ方法を、思いつかれましたので)

――そう来るか。

 あいつのやることときたら、ハンパなさすぎる。

(グレイス様の潜入と屋上からの展開、この二つを踏まえて、部屋を教えてください)

 言ってることは間違っちゃないけど、かなりムチャクチャだ。
 っても、断る理由はないわけで。

(そしたら、それが出来そうな部屋ってセンで探しますから、時間もらえませんか?)

(了解しました。では……20分後にもう一度、こちらから連絡します。
 それから、犯人側が期限を切ったことはご存知ですか?)

「マジですか?!」
「先ほどからひとりで、何を言っているのです」

 慣れないせいか、ついまたうっかり、口にしたらしい。
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