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第9話 至高の日常

緊迫 Episode:14

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「ルーフェイア、あなたの実力は分かったわ。あの不意打ちであれだけやれるなら、大丈夫でしょう」

 そこでイオニア先輩、いったん言葉を切って、真剣な瞳になった。

「作戦への参加を許可する。以後、連絡があるまで待機なさい」
「はい」

 うれしいはずなのに悲しそうな、複雑な表情でルーフェがうなずく。
 その頭を、イオニア先輩が撫でた。

「ただの学年首席にしとくには、ちょっと惜しいわね。やっぱり食べようか」
「ダメですってば!」

 思わず全力で否定。
 この先輩じゃ、本気でやりかねないし。

「あら、本気にしたの?
 遊んでたいとこだけど、そうも行かないわよ。すぐ詳細を、検討にかからないと」

 この先輩の相手するの、マジで疲れるかも。
 そこへ、別の先輩が飛び込んできた。

「騒々しいわね。何だって言うのよ」
「向こうが、期限を切ってきたそうですっ!」
「――!!」

 指揮所内に緊張が走る。

「向こうが指定したのは、何時だ?」
「2300、今から3時間32分後です!」

 どうやら犯人たちは、長期戦は望まないらしい。

「まったく、せっかちなのは嫌われるのに。けどこれじゃ、さっきの話を急がないとダメね。
 ルーフェイア、正式に決まったら連絡するから、それまでロアと一緒に待機してなさい。いいわね?」

 有無を言わさぬ口調に、けどこの子、うつむきながらも従わなかった。

「その、すみません、もし時間があるなら……中と連絡取ったり、したいんですけど……」
「――いいわ、許可する。その代わり、こちらとの連絡は密にしてもらうわよ」
「はい」

 状況が状況だから、妥当なセンで許可が出た。

「良かったね、ルーフェ。さ、早く行っといで」

 この子をうながす。
 ついてきたい気もするけど、どうせシュマー絡みの話だろうから、部外者は立ち入り禁止だろう。
 なのにこの子、行こうとしなかった。

「――ロア先輩」

 訴えるような表情。

「なに?」
「先輩に、していただきたいことがあるんですけど……いっしょに、来ていただけますか?」
「あ、うん。いいよ」

 なんか意図があるんだろうし。
 けどこの事件、ルーフェのおかげで案外早く片付くかもしれない。

 ――やっぱりシュマー、なのかな。

 いざ戦闘となると、かけ離れた才能を見せるこの子に少し圧倒されながら、あたしは後をついて行った。
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