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第9話 至高の日常

緊迫 Episode:05

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「戻りました」

 運転手(教官だけど)に声をかけると、開口一番文句だった。

「遅いぞ。しかも候補生でない者まで連れてきて、どうするつもりだ」
「す、すみませんっ!」
「――ルーフェ、謝らなくていいんだよ」

 恐縮しちゃってるこの子を、そう言って安心させる。
 それにしたって教官も、関係あるから連れてきたってことくらい、わかんないのかな?

「彼女ですが、事件の直前まであの病院の、例のフロアににいたんだそうです。
 それと、タシュアとシルファ先輩の現在の居場所も、この子のおかげで分かりました」

「それは本当か?」
「はい」

 この期に及んで嘘言うほど、ボクはひねくれてないってば。

「この子が言うには、いろいろあってタシュア、シルファ先輩、それにこの子の同級生がひとり、一緒に人質にされているそうです」
「――なにをどうやったらそうなるんだ」

 教官ってば呆れ顔。
 まぁ分かるけど。

「あたしに言わないでください。ともかく中に居るのは、間違いないそうですから」

 それからまだなんか考え込んでる教官に、ボクはたたみかけた。

「ともかくそう言うわけですから、この子連れて指揮所へ行っていいですよね?」

 こゆことは当人に説明してもらうのが、なにより早いわけだし。

「許可しよう。速やかに行って、細かい説明をこの子にさせるように」
「了解です。さ、ルーフェ、おいで♪」

 あたしの言葉に、ルーフェが本日二度目のヒヨコ。もう可愛いったらない。

 そのままこの子をくっつけて、あたしは指揮所へと足を踏み入れた。
 瞬間、視線がこっちに突き刺さる。

「……!」
「あぁ~★」

 勢揃いしてる上級生の、鋭い視線にびっくりしたんだろう。ルーフェったら立ちすくんじゃうし。
 慌ててなだめようとしたとこへ、でもそれより早く声がかかった。

「こら、お前ら! こんな美少女を怯えさせるなんぞ、人間のやることじゃないぞ」

 ――それはちょっと違うような。

 けどこの先輩、いい性格してるからなぁ。

「いやいや、悪かったなぁ。ちょっとみんな気が立ってるもんだから。それでルーフェイア、何の用だい?」
「あたしの名前、ご存知なんですか……??」

 いくら同じ学校とはいえ、最上級生にいきなり名前呼ばれて、ルーフェが面食らった表情になった。
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